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だから、チートじゃ無いってば!  作者: 瀬田 冬夏
第2章 ヒューモ族
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王都についた。(だけで終わったともいう。)

短いです。ごめんなさい。



「おにーちゃん、セリアおねーちゃん、おかえり~」


 戻ってきた俺たちをニアが笑顔で出迎えてくれた。


「おー。ニア良い子にしてたかぁ?」

「いいこにしてたぁ」

「そっかぁ。じゃあ、きっとお兄ちゃんが甘くて美味しいご褒美をくれるわよぉ~」


 …………おい。セリア、ちゃっかり何言ってやがる。


「ほんとぉ!?」


 目をキラキラさせて俺を見るニア。その横で、おこぼれを貰おうとしているセリア。

 俺が兄貴と知って遠慮が無くなってきたな。実に妹らしいが。

 だがしかーし! 同じ前世()は踏まないぞ!


「そうだな。でも今日は俺は材料を出すだけで、作ってくれるのはセリアお姉ちゃんだぞ」

「え!?」

「結構力がいる作業だからニアは横でセリアを応援してるといいぞ」

「うん。分かった~」

「え、ちょっと!?」

「と、言うわけで頑張れ、手作りアイスクリーム」

「えー!? 何ソレすっごく大変そうなんだけどぉ!?」


 文句は聞かず、生クリーム、牛乳、砂糖、卵、バニラエッセンス、塩、氷を渡す。

 あとはレシピもだ。


「……お兄、なんでアイスのレシピなんてもんがすらっと出てくるのよ。どんだけ女子力高いのよ……」

「それ、スキルの複合技だぞ」

「そんなのもあるの!?」


 心底驚いているセリアに俺はふと気づく。

 ……そういや設定とか結びのスキルの使い方教えてなかったな。……今はいいか。


 もうちょっと本人に試行錯誤を頑張って貰おうという気がしてきたので、俺が教えるのを後回しにする事にした。

 忘れ物が無いか、たき火はきちんと消えているか、その他諸々確認した後、俺たちは出発する。


 ニアとセリアはマジックミラーの先の異空間にてアイス作りだ。

 俺は御者台でのんびり周りの景色を眺めていた。

 ウチの黒天馬、くーとろーはどこに行きたいといえばだいたい分かるらしいので、目的地を告げるだけでいい。

 御者に居なくても大丈夫なくらいなんだけどな、本当は。

 

牧歌的な風景を楽しむこと約十分、馬車の方から楽しげな声が聞こえてきた。


「おにーちゃん、アイスー? できたよぉー、甘くておいしーのぉー」

「お、ありがとうよ」


 窓からニアが皿に入ったアイスを差し出してくるのでそれを受け取り礼を言う。

 ニアはそのままそこに留まっていて、俺が食べるのを今か今かと待っていた。

 先にニアが味見してくれたようなので俺は気軽に一口目を食べる事が出来た。


「うん。上手い」


 普通にアイスだ。


「わーい! やったぁぁ」


 ニアは手を叩いて喜ぶと馬車の中に引っ込んでいった。セリアに報告に行ったのだろう。

 平和だなぁ。なんて思いながらアイスをちびちびと食べていく。



 王都が見えて来始めると、街道では別の馬車や旅人達とすれ違い始めた。

 何名かはうちの馬を見て、ぎょっとしてたけど。

 俺はフード付きのマントを出して人目を避ける。

 入り口では検査も受けるので、ニアとセリアには普通に馬車内に座って貰った。

 簡単に馬車の中もチェックを受けたが特に税金を払う事はない。


 チェックをしてもらうついでにこの馬車をとめられそうな宿屋も教えて貰う。

 その宿は上流階級の人達が使う宿らしいが、前回もそんなもんだったので、そんなものなのだろうと諦めて、ゆっくりと街を移動する。

 ニアもネーアも王都は初めてなのか、窓から身を乗り出して周りを見ている。


「おーい、二人とも、危ないだろ」


 注意はしたが……本来注意する側のセリアも一緒になってやってるから効果ねぇだろうなぁ……。

 すれ違う馬車があるまでは大丈夫だろうか。


 周りを注意しながら宿屋へ俺たちは向かった。






「そういや、結局お兄は学校どうするの?」

「行くよ。そういうお前はどうすんだ?」

「んー……。パスかなぁ」

「やっぱりなぁ。お前、あの時すでに『いやだなぁ』って顔してたもんな」

「うー、だってさぁ」


 なんて会話を俺たちは双六をしながら繰り広げる。

 軽く王都を観光し、日が暮れてきたから宿に戻ってきた。

 夕飯をどうするかとなったのだが、もうちょっと待って連絡が来ないようだったら先に食べようという事になった。

 もしかしたら今日は戻ってこれないのかも知れないし、と。

 で、俺たちは時間を潰すために双六で遊んでいる。

 文字は日本語なので、俺とセリアがニアに内容を読みながらだけど、ニアはそれなりに楽しいようだ。

 トランプとかでも良かったんじゃないかなって思うんだけど、セリアが双六がしたいと言い出したので、双六にしてみた。

 

「問題は、他にもあるんだよな。学校に通うってなると家を借りないとな。流石にずっと宿屋暮らしってわけには行かないだろうし」

「ああ、そっか。そうだよね」

「学校にそこそこ近い方がいいだろうし、ってなるとどこの学校に通うかによって住む場所も変わってくるだろうし」

「学校っていっぱいあるの?」

「松竹梅のランクであるらしいぞ」

「……そういえばさ、なんで松竹梅なの? 松なんて松ぼっくり以外かわいいとこなんてないのに、なんで一番上?」

「知るか、ググれ」

「ググれたらググってるよぉ! ネット欲しい~。マンガ欲しい~。アニメとドラマと映画がみたい~」

「あー、マンガかぁ。そういや中途半端に話し覚えてるやつとかあるよなぁ。最後まで見たはずだけど、ぼんやりとしか覚えてないなぁ……」


 後で出して見てみるかなぁ。

 本当は家の事や学校の事など、きちんと話をした方がいいのだろうに、何故かしょうも無い話の方が盛り上がっていく。

そんな中、突然、声が響いた。


(「エド? 聞こえるか? ……これでいいのか? ……違うか? エド、聞こえてるか?」)


 脳裏に聞こえてくるのはゴドーの声。

 どうやら伝話を使ったようである。

 シムの声は女性の声だが、違和感は一切ない。でも、ゴドーの声が直接頭に響いてくるのは違和感があった。

 同じ声が響くでも随分と違いがあるのだな、と知る。


(「はいはいこちらエド。聞こえてますよ。どうぞ」)

(「あ、良かった。通じた。なんというかこれ、変な感じだな」)

(「そうだな。俺もそう思ったよ。どうぞ」)

(「えっと、もうすぐ王都に戻るのだけど、神殿の転移門を使用していい事になった。宿屋の名前と場所を教えてくれ、……どうぞ??」)


 俺が遊びで無線の使い方してたからゴドーがよく分からないなりに使い始めた。

 やばいちょっと笑いそう。


 とりあえず、笑うのは堪えて、宿の場所と名前を伝える。するとゴドーから、予想してなかった言葉が返ってきた。


(「実は一人神官が増えるんだが、部屋はまだ空いているだろうか」)

(「……シェーンの所が二人部屋になってるから相部屋でいいのならそれでいいんじゃないか?」)

(「そうか。分かった、そうかからないうちにみんなで帰る」)


 そんな言葉と共に伝話が終わった。


「みんな帰ってくるってさ」

「ほんと? じゃあ、ご飯はみんなが帰ってきてからだね」


 セリアがサイコロを転がしながら顔を向ける事無く応える。

 ……なんでそんな事が分かるんだとか一言ないのか。俺、セリアに伝話の事教えてねぇんだけど。

 ……ないんだろうな。

 なんだろう、これ、俺ならそんな事やれて当然とでも思われてんのかな?  そんな信頼嫌だなぁ。

 そう思いつつ、コマを進める。


 ゴドー達は十分もしないうちに王都へと転移してきた。

 地図で確認する限り、ネーア、バロン、タンガもその神殿のゲートを使わせて貰えたのだろう。

 許可が下りれば神官じゃなくても使えるっていいねぇ。

 四人と一つの光点は一塊で移動してくる。

 宿に入ってきて、階段を上がってくる。

 ニアに声をかけて、ドアを開けて貰うか。

 なんて思ってたら、地図上の五つの光点の中で、唯一、知らない人を表す色が変化した。


「え……」


 一瞬、頭の中が真っ白になった。そして扉が勢いよく開け放たれる。


【酷いではないか!!】


 扉が壁を打つ音と、ニアよりも小さい少女の怒鳴り声が俺たちの耳を打つ。

 その少女を見て、持っていたサイコロが机の上に落ちてコロロと回る。


【何故来なかったんだ!? エドが来るのを楽しみに待っておったのに!!】


 その少女を見て、俺は声にならない悲鳴を心の中で上げる。



 神様きちゃったぁぁぁぁぁぁぁ!!


 






 




短いですが、時間的にもう寝ないと明日がやばい!

土日は更新お休みです。

でも土日に頑張って書きます!

ではお休みなさい。

(更新されるの朝なのに、すみません)

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