デメリット
エロ? いや、下ネタ注意?
あと、たぶん説明会
あと、後半は眠気と闘いながら書いたので、変な風になってたらごめんなさい。
【良い物見られたわぁ】
【儂にはあの童が少々哀れに思えてきたがのぉ】
【あら。爺さまには言われたくないと思うわよ。爺さまがここまで意地を張らなきゃエドちゃんはこんな事する必要なかったもの】
【ふん。お主らには分からんよ】
【そうね。でも一つだけ言える事はあるわよ。爺さまは間違えたの】
【偉そうに言うのぉ】
【それは言うわよ~。だって、エドちゃんは、唯一、本当に夏の国を救おうとしていたんですもの】
【カカカ! なんじゃそれは! 水を生む魔道具でも分け与えるのか? それとも水をただでくれるとでも言うのか!?】
【夏の国の住人を強化する事よ】
【……どういう意味じゃ?】
【そのままの意味よぉ? エドちゃんはまっとうな手段で夏の国の住人に水と砂漠を緑化する方法を与えようとしたのよ】
【……冗談じゃろ】
【いいえ、本当よ。その方法はアタクシの依り代が聞いてたし、その子越しにアタクシだってその内容を聞いているワ。だからはっきりと言えるの。爺さまは夏の国の住人を救いたいっていいながら、その唯一の方法を殺してしまうところだったのよ】
【…………本当に……スキルを全て獲得したのか、その童は】
【獲得してるってば。ね? エドちゃん】
「神殿で買える物に関しては極まで全部持ってます」
【……それをつこうて夏の国を救うのか?】
「え? それをしちゃうと俺罰則受けるんですよね? しませんよ。俺がするのは、夏の国の住人の強化です。魔力を上げたりMPを上げたりです。あと、砂漠の緑化運動と、あとは信頼出来る人間には『環境魔法』を覚えて貰うつもりです」
【……出来るのか?】
「スキル自体は簡単ですよ。人選の方がむしろ問題で。でも、それももしかしたら解決したかなぁ」
俺は先ほどのアルフ族の少年を思い出して答える。
【は……。はは、クカカカカ! これはこれは、痛快じゃ。童。名は?】
「エド。エドです」
【もしお主が本当に夏の国を救うことが出来たら、儂の本当の加護をくれてやる】
加護? と首を傾げる。だって一応スキルで加護持ってるよな。スキルだから違うってことだろうか?
【ああ、エドちゃん、こういう事よ】
内心不思議に思っていると月の神がパチンと指を鳴らした。
『ギフト、『月の神の加護:寵愛』を取得しました』
やめてぇぇぇ! なんかそれすげー怖い!!
『ギフトの中身は不明となってます』
さらにこえぇぇぇ!!
ウフフと笑う月の神。美人なおネエさんは怖いです……。
「あの、ツキヨ様」
【ツキヨちゃん】
「…………ツキヨちゃん、これってどういう加護なんですか?」
【アタクシの寵愛を一身に受けるっていう加護でっす!】
おふっ……。
【なんぞ、本当にその童が哀れに思えてきたのぉ……】
【ちょっと爺さま酷いわよ!】
【酷いかのぉ?】
哀れみを湛えた瞳が俺に向けられて、俺は泣きたい気分になった。
【本当はもうちょぉーっとエドちゃんと遊びたかったんだけど、爺さまが落ち着いたのなら、そろそろ帰りましょうか。姉様の時間に干渉しすぎるのもよろしくないし】
月の神は大鎌を空へとぶん投げる。
いや、ぶん投げるっていうのはちょっと可笑しいか。所作はとても大変美しかったので。
……しゃべればしゃべるほど残念な人なのだろうか、この神……。
大鎌は空へと円を描きながら昇っていき、三日月となった。そして夜空がヒビが入り、パラパラと黒い欠片が空から落ち始めてくる。最初は少しずつ、次第に大量に。
五秒もしないうちに真昼の明るさを取り戻した。
日の光の中、佇む月の神は、まさに太陽の光を浴びて輝くようで、先ほどとは違う存在感があった。
微笑む姿もどちらかというと清らかさがっ!?
「ンむ!?」
何がどうなったのか、俺は一瞬にして唇を奪われていた。
逃げようとか抵抗しようとか思ったのは、キスされていると認識した一瞬だけだった。
触れるだけとか挨拶のキスとかそんなんじゃない。ガッツリとしたやつだ。それなのに、何も出来なかった。頭ん中真っ白になって、何も考えられなくて、気づけば、荒い息で膝をついていた。
「な、な……な?」
【ごちそうさま】
ごちそうさまじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
【じゃあの、……強く生きよ】
哀れんだ目を最後まで浮かべたまま武神様は消えた。
老人の姿をしていたバースト族は、少年の姿に戻り、地面へと倒れる。
それを確認して月の神も帰って行く。神の姿が消えて、こちらもゴドーに戻るかと思われたが、現れたのは前に見た女神様。
女神様はこちらをぐるりと見た後、しゃがみこんで俺の両頬を捕まえた。って。
ムッチューーーーーーーー。
先ほどとは違い、子供のようなキスを数秒押しつけ、出てもいない額の汗をぬぐい、やりきったという満足そうな顔で女神様は消えた。
『ギフト、『太陽の女神の加護:寵愛』を取得しました』
謎ギフト、二つ目げっどぉぉぉ……。
その場には気を失って居るであろうバースト族の少年神官と、どこかきょとんと佇んでいるゴドーと、びっくびくの俺。
「…………」
「…………」
俺とゴドーの無言は続く。
「あ、トキミさまなら私は依り代じゃないから出てこないぞ」
「……あ、そう。それは良かった」
疲れ切って地面に大の字になる。
「…………なんだろう……武神様との闘いより、その後が疲れた…………」
「そう言わないでやってくれ。確かにエドから見れば羽目を外しているように見えたかもしれないが、あれでもあの方はエドに合わせたんだ」
「あれで!?」
「あれで」
マジかい。と突っ込みたかったが、恐怖が勝って言葉を飲み込む。
「あの方は月を司るけど、他にも色々司っていて」
「そうなんだ。まあ納得出来るかな。凄い強いのは分かった」
「うん。確か……、闇と夜伽と冥府の神だったかな?」
へー……………………………。
「………………一カ所可笑しいの入ってた……」
「うん。たぶん、エドからしたらそうなんだろうな。で、さっきの話に戻るが、キスぐらいは大目に見てくれ。本当は、分身一人お持ち帰りして、あれやこれやとしたかったらしいから」
「…………………………」
「流石にエドに嫌われますよと進言したけど」
「ありがとう! ゴドー! 本当にありがとう!」
「いや、まぁ、お礼はいいんだが、伝言が一つあって」
「うん?」
「前世の考え方を引きずるのもいいけど、体はヒューモ族である事は自覚しなさいって事らしい」
「……自覚?」
「ああ。禁欲生活は止めろとのことだ。下手をすると快楽殺人者になりかねない、と」
「はぁ!? なんでそんな話になるかな!?」
「えっと。抑制された分、どんな形での興奮でも、肉体が勘違いしてしまうか分からないから? とかいってたかな? エドはスキルの影響で抑制が上手くいってるけど、基本ヒューモ族は種族的に、強くなれば強くなるほど、次世代に残すためにハーレムを作るようにイデンシ? に組み込まれているらしい。長命種は長命になればなるほど、子供が減る傾向にあるから、逆に多くなるよう組み込んだ? らしいから、今は精神が勝ってても、いつ肉体の欲求が勝つか分からないから、ほどほどでガス抜きしろっと。」
えっと……つまり……。
『快楽殺人まで行かなくても、闘いに喜びを見いだせば、戦闘狂になったり、ロボに感動と興奮したら、それを性欲と勘違いしてロボにしか興味がもてなくなる、と言う意味かと』
なんでロボなんだよ……。
『マスター達の世界の男性はロボが好きだとありましたので』
……ああ、そう。
『あと、ヒューモ族の女性は男性と違ってお尻はものすごい激痛らしいので、推奨はしません』
誰もそんなこと言ってない。ってか、男だって痛いだろ。
『それは違います。ヒューモ族の男性は、最初からそれ用に作られてます』
……ああ、うん。あの神様ならなんだかしそうな気がするよ。
先ほどあったオネェの神様を思い出し、俺はため息をついた。
シムと俺の会話が落ち着くのを待っていてわけではないだろうが、ゴドーは口を開いた。
「それと」
「まだあんの!?」
「ああ、きっとたぶん次の伝言が本命だと思うのだが」
「なに?」
今の内容でも十分に大問題だというのに。これ以上の爆弾が出てくるのか!?
「いつでも呼んで。との事らしい」
「恐れ多いので遠慮します」
即座に俺は首を横に振って拒否した。
そもそも呼べってどうやって呼べって言うのか。と思って、ふと先ほどの用途不明の加護を思い出した。
まさか、そのための加護なのか!? 冗談じゃねぇぞ!?
ストーカーか!? とか一瞬思ってしまった。
……流石にそれは、酷いか、と考え直したが。
「なんか、疲れたなぁ」
「お疲れ。しかしあまり一人で無茶なことはしないでくれ」
「はは、いや、あれは想定外だよ。まさか武神様が出てくるとは思わないじゃん?」
「それは……そうだな」
ゴドーもしばし考えたようだったが、どれだけの不運が重なれば、神と戦う事になるのか。
「でもまぁ、被害はこれ以上増やさないようにするよ」
本格的な討伐は、今日は無理だろう。これ以上はキツイ。
数日後にするとして、シム、情報操作で、彼らが『仕事』を行わないように考えを誘導させといて。
『かしこまりました』
「それじゃあ、戻るか」
言いつつ、自分の影に手を付き、ひっぱり上げる。
ドポンッと音を立てて地面から引き釣り出されたのは……。
病気にかかってたアルフ族だったんだけど。
「あれ? 女の子?」
「いえ! 男です!」
マジか。女の子にしか見えん。あれか? これが男の娘か!?
「じゃあ、帰るか」
俺はそう一声かけて、ゴドーと黒天馬。そして、元奴隷三人と、奴隷の少年を連れてセリア達の元へと転移した。
武神様が現れた時、何名かは逃げたが何名かは馬車に留まっていたのだ。奴隷商の兄ちゃん達を転移させ、記憶をいじって、いじった内容に合わせて金を持たせた後、分身達はそれぞれ一人ずつその残った元奴隷達を守ってた。
武神様が契約奴隷も強制奴隷も等しく無かった事にしちゃったんで、その閃光に巻き込まれなかった、バースト族の少年だけが、未だに『強制奴隷』のままだった。
しかもいつの間にか持ち主が俺になってるし。
『馬車の御者台に彼らの主が居たのでしょう』
……閃光に焼かれて死んじゃったわけか。
『はい』
なんとも、運の悪い事だ、と俺は苦い思いをする。
冥福を祈り、数秒だけではあったが黙祷する。
「エド、お帰り!? 何があったの!?」
街道から少しそれた所に馬車が止めてあって、こちらを見たセリアが慌てて駆け寄りかけて、ゴドーが張ってあった結界に阻まれる。
その結界もすぐに外されて、俺たちは合流を果たす。
「さて、たぶん、色々聞きたい事やらなんやらあると思いますが。俺、そろそろ本気でギリギリだと思うので、俺が目覚めてからでお願いします」
「へ!?」
「エド?」
疑問の視線が向けられてくる。ごめん、気持ちはよく分かるんだ。でもごめん!
「ゴドー! 後はよろしく頼む! たぶん、長くても二、三日で目を覚ますと思うから」
「ちょと待て!? それは一体どういう意味だ!?」
慌てて事情を知ろうとするゴドーに俺はへらりと笑って、スキル『多重分身』を切った。
三つに分かれていたスキルが一つになり、そして、本来あり得ない複数の同時間の記憶が一つになるためにぶつかり合う。
それは人格すら壊しかねない強烈な焼き付けと痛み。
「あっあぁっぁああぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁ!!」
俺は頭を抱えてのたうち回る。
「エド!?」
「ひっ!? ちょ、大丈夫!?」
「ご主人様!?」
心配してくれている声はこの時にはもう俺の耳には入らなかった。
自分の叫び声だけが反響している。
痛い苦しい。痛い止めて。もう嫌だ痛い。
イタイイタイイタイイタイ。
男性に魔法を使い記憶を混濁させて、武神様に腕を破壊させて、転移に転移に転移を繰り返して抱きしめられて、結界を張って攻撃の余波から守る。加護は破壊されて空が割れる。
正しいのか正しくないのか分からない記憶の断片達。
俺は肺の中にあった空気を全部吐き出したのか、目の前が真っ白になって。真っ黒になって。記憶が連続写真のように切り替わる。
高位スキル『分身』および極スキル『多重分身』は強力なスキルである。
本人と同じステータスで、高位スキルは上級までのスキルが自由に使えて、極に関しては極スキルまで使えるのだ。
そのためなのか、他のスキルでは見られないデメリットが存在する。
それとも作った時にはこんな事が起こると思ってなかったのか。
どちらかは分からないが、結果的には変わらない。
分身は同じ場所で似たような作業をするのならなんら問題ない。
馬車を改造した時はこのような痛みはなかった。三つの視点の記憶があったとしても、俯瞰した視線に切り替わって脳が記憶するだけだ。
だけど今日のように離れて全然違う事をすると、その違い分、痛みが走る。
スキルの耐性も効かない脳を直接ほじくり回されているような痛みだ。
最初、このスキルを使った時、危険性を知らなかったから、調子に乗った。
初日はお互いに見比べ合い、おもしろがって、終わった。やったことといえば一人で作るのが面倒な料理を一緒にやったくらいだった。
問題なのは二回目だった。行ける場所を増やそうと四方に散った。一人は海まで行ったり、一人は山に行ったり、一人は家で大人しく魔道具作ってたり。三者三様の事をしていた。その日、統合した後はのたうち回って、目からも鼻からも血を出して気絶した。
シムが原因をすぐに調べてくれた。
本来なら、使いたくないスキル。
でも使いこなせたらとても便利なスキル。戦力増強もたやすい。だからちょっとずつの範囲なら使用してたりもしてたのだが……。
流石に片や逃亡、片や神との全力戦闘ってのは、違いすぎる……。
こうなったのは、まぁ、当然の結果だったのだろう……。
ハーレム物を書いてみよう。と思ったのがきっかけです。
でも中々ハーレムものって書けない。
基本的にお気に入りキャラ、ヒロインを作っちゃったらそっちをかわいがっちゃうタイプなので。
だから、その種族の設定をハーレム(エロ)にしてみよう。って思ったのです。
実際に分身さんお持ち帰りされちゃうパターンも考えてたのですが、ゴドーが、「嫌われるますよ」と言ってくれるだろうと思うと、そのネタは消えました。
加護:寵愛についてはまだなーんも考えてません。
きっと実際、二人の神も考えていないに違いないんだ。
なんだかメインヒロインの立ち位置にいるゴドーさんですが。本来はセリアさんとくっつく予定でした。
さぁって、どうなるかなぁ。
誤字脱字見つけたので修正