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だから、チートじゃ無いってば!  作者: 瀬田 冬夏
第2章 ヒューモ族
31/143

成果

余り各時間がありませんでした。短いです。



 うっそうとした森は光を通さず、少し開けたそこだけがまるで舞台のように浮かび上がっていた。

 俺はそこにのんびりとした足取りで立った。

 昼間セリア達と会った場所。

 そこに俺は一人で居た。

 地図には動物を表すマークが慌てて逃げていくのが表されている。

 戦闘をしたくないので、周りの動物たちに強者がいると威圧をかけているのだ。


「この辺りか」

『はい。マスター。ミノッポイモノが地図に出現した時間を『再生』します』


 シムの言葉に合わせて周りの景色の一部が真昼の物になった。

 ニアがたき火の前に座っていた。周囲にセリアの姿はない。

 ニアの背中が一瞬光り、ミノっぽいものが現れる。

 ドスン。と地面が揺れてニアが振り返る。そこに居たモンスターにニアは悲鳴を上げた。

 ミノッぽいものはニアの頭を捕まえた。

 ニアは痛いと泣き叫び、驚いたようにミノっぽいものはニアを離した。ニアは逃げて、セリアが森から飛び出してニアをかばう。

 ニアは本格的に泣き出して、ミノッポイものは邪魔者にいらだったようだった。

 そして、俺がやってくる。


 そこで再生を終わらせると、また夜の闇が戻ってきた。


「どう思う?」

『ニアを傷つけずに連れてこい。そう命令されていたと思います』

「……ニアが泣き出したから、慌てて手を離した、と?」

『はい。ニアにはまだ指定転移のマーカーがついていると思われます。逆探知しますか?』

「……」

『マスター?』

「……迷ってる」

『はい』

「知ってしまうとそいつに対して俺は我慢が効かなくなるんじゃないかってすら思う。だから破壊だけでいいんじゃないかって思う俺も居る」


 シムは何も言わない。こういう時、シムは待っててくれる。

 

 会ったばかりの子供のために人を殺そうとは思わない。

 でも、来週にはどうだろう。再来週にはどうだろう。

 一月経ったら?

 そもそも、ゴドーが巻き込まれたら?

 知らないよりは知ってた方がいいのだろう。でも知っているからこそ、カッとなって何かをしてしまうんじゃないかって思ってしまう。


 だって……。暗殺スキルなら腐るほどある……。


 それに思い至ると、自分自身で頭を抱えたくなる。


「ってか、暗殺スキル多すぎね!? スキル開発者は何を考えていたんだ!?」

『それに対する回答を持ち合わせていません』

「持ってたらびっくりだよ!」


 そう突っ込んで、俺は鼻息を荒くする。


「よし決めた。シム、逆探知後、破壊しろ。ただし、俺には教えるな。もし俺たちに何かしかけてくるようなら、『忍』と『縁切り』の使用を許可する。スキルを全て消せ」

『かしこまりました』


 命令を下し俺はその場を後にした。

 うーん。俺、やっぱり甘いのかも。

 覚悟が足りないって言う意味で。





「おはよう。起きたのか?」

「……おはよう……。相変わらず朝早いっすね……」

「祈りの時間があるからな」


 偉いワ~。神殿に居なくてもするのか、ホント偉いワ~。俺、絶対無理。


 あくびをしつつ、のびをする。

 朝起きて、まずする事と言えば。


「ゴドー。スキルひかせて~」

「今か!?」

「そうだよ。今日一日を無駄にしないようにって考えると朝早いほうがいいもの」

「……分かった」


 良い物くるといいなぁ~。

『幸運を使用なさいますか?』

 あ、そこまでガチは求めてないのでいいです。


「さあ、こい!」


 ぐいっと取り出したのは。


「ぱんぱかぱーん『咆哮』~。やったね! 下級だぜ」

「昨日よりは1つアップか。おめでとう」

「ありがとう。明日は期待に応えて、初級に戻ると思うぜ」

「上がるんじゃなくて下がるのか。ところで、随分と陽気だが、どうした?」

「どうもしないぞ? 強いて言うと、旅行とかはテンションあがんね? ってくらいで」

「……ふむ。子供が休みの日に早起きするのと同じような状況か」


 なんか俺としては納得できない喩えで納得してた。追求はしないでおいた。やぶ蛇になりそうだったから。

 俺とゴドーはそれぞれ朝の日課をこなし、朝食前に女子部屋をノックし、中に入れて貰う。


「ニア、おはよう。今からゴドーに、ニアの生活魔法水を買い取って貰うから、大人しくしておけよ」

「うんわかったぁ」


 分かってない様子だけど、頷いていた。ゴドーはさっそくニアから生活魔法(水)のスキルを取り出し金に換える。

 俺はそこから生活魔法(水)代を取り出し、ゴドーに渡す。ゴドーは新しい生活魔法(水)をニアに授けている。

 俺はそこから十万ゼニィを取り出し残りをセリアに投げ渡す。


「色々物入りになるだろ。使え」

「……いいの?」

「必要だろ?」


 二人の荷物は少ないし、ネーアに至っては何も持ってきていない。

 着の身着のまま連れてくることになったのだ。


「……アタシもこれで水を買って頑張ればもっと早く借金返せるかな」

「お前が水を育ててどうなるんだよ……。水を育ててるのは魔力を増やすためだってのに」

「う、だって」

「……はぁ……。買うなら平常心にしろ」

「平常心? 平常心ってあれでしょ? びっくりしにくくなるとか緊張しにくくなるとかそんな感じのヤツでしょ?」

「そうだよ」


 そんな内容しか書かれてないのに、武術系スキルをサポートするスキルだよ。


「うーん…………。分かった。エドを信用する。それを育てて売ればいいのね?」

「違う。お前はニアとネーアの護衛。そのためのスキルだ」

「……『平常心』が?」

「緊張しないって事はそれだけ普段の実力が出せるってことだろ?」

「なるほど!」


 あっさり納得しやがった! もうちょっとごねるかもって思ったけど、すんなり納得したなぁ。なんか前世で経験あるのか?


「ところで」


 セリアは声を潜めてきたので俺も注意を向ける。


「あの人、本当にゴドーさん?」

「は?」


 ゴドーを見て、戸惑いを隠せないようにセリアは確認してくる。


「だって、あんなかっこいい人じゃなかったよね!?」

「あー……。ゴドーのたぶん、ユニークスキルだよ」

「ユニークスキル!? イケメンになるのが!?」

「違う。昨日のゴドーの方。ゴドーだって認識してるのに、顔がいまいち印象に残ってないんだろ?」


 問いかけると、セリアは何度も頷く。


「『黒子』ってスキルらしくて、宣教師になるって貰ったボーナススキルらしい」


 俺が買った一万というスキルは、そんな名前のスキルへとボーナス変化されました。


「黒子?」

「そ。黒子ってさ、見ても見えない認識だろ? 舞台とかだったら」

「うん。そうだね」

「まさにそれと一緒。目に入ってるんだけど、目に入っていないっていう印象なんだ。認識障害みたいなものかな? まぁ、前は前髪とかで顔を隠してたからそれに比べたらいいんじゃないか?」

「……そんなスキルがあるのね」

「似たようなスキルは売ってるんだけどな。ゴドーのあれは、たぶん今のところ、ゴドー専用だよ。神官で同じスキルが欲しいっていうやつが出てこない限り」


 スキルの『かくれんぼ』とか『影が薄い』とか似たようなものはあるといえばあるのだけど……。

 ゴドーの『黒子』の方がずっと強力で、目の前を通り過ぎても、見えなかったっていう認識になっちゃうんだよな。本人が望めば。


「……そうなんだ」

「そ。まあ、ああやって顔出ししてるのは、そっちの売り上げ貢献のためらしいから。そう思うと心強いだろ?」

「う……うん。まあ、そうなんだけど……。顔面偏差値が高すぎて、ちょっと、くじけそうなんだけど……」

「頑張れ」


 どんよりとした空気を背負ったセリアに俺はそう声をかけるしかなかった。

 アルフ族のネーアも、その血を引くニアも、美が三つくらいついててもおかしくない程の美少女だし、ゴドーは神がかってるし。


「…………ガンバ」

「………………なんか改めて言われると、涙が出てきそうになったわ……」


 だって、俺もセリアもどっちかっていうと、なぁ?

 平凡が少数っていうこのメンバーがおかしいとは思うんだけどな。思うんだけど。


「……確かに涙が出そうだな」

「でしょう?」


 うん。深く考えてはいけない、間違いなく。



 



読み返す時間も無かったんで、誤字脱字が凄そうだ……。明日はもうちょっと頑張ろう。


21日誤字脱字修正

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