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伝言と、ギフトと、スキルと。



『どもー、こんばんはー。いや、業界的におはようございますの方がいいか?』


 業界って、どこの業界っすか!?


『運良くキーワードを口にしたのか、それとも君にとって、これはまさにそれだったのか。俺にはわからないけど、システムまで獲得したのであれば、君は神へと至る道を獲得したといえる。しかし、人の身が神へと至るのにはいろいろと問題がある。システムは君の表層心理も深層心理も記憶すらも読み取り、君が神へと至れるか至れないか確認する。それは君を守るためと思ってほしい。たとえ神へと至れずとも君を最強へと導いてくれるだろう』


 神への道? え? 俺、神様になれんの?


『二つ目が再生されたという事は君は地球生まれの異世界人か。なら、君がここにいるのはもしかしたら俺が関係あるのかもしれないな。もし、穴から落ちて異世界に来てしまい、帰りたいと願うのなら、帰るためのスキルも実在するとだけは伝えておく。迷惑料がわりではないが、一つ、ギフトを贈る。このギフトのみでは何もできないが、それでもあるのとないのとでは全然違うから。じゃあ、君の願いが叶う事を祈っているよ』


『三つめが再生されたって事は君は、日本人か。どうやら本格的に、俺に近しい人間だったのかもしれない。血縁や、ただ住んでいた場所が近かったとか、そんな理由で巻き込まれてしまった可能性が高い。あー……、悪いとは思っているよ。下手をすると、転移者じゃなくて、転生者だったりするからね。転移者も辛いが、転生者だって辛いだろう。昔の記憶があるせいで今世の家族とぎくしゃくする可能性だってある。

 俺にできる事は少ない。ギフトを贈るくらいしかできない。それを有効に使ってくれると嬉しいよ。そしてもう一つ、頼みたい。頼める立場ではないけれど、それでも頼みたい。二つ目のギフトは詫びと依頼料と思ってほしい。もし君以外に、巻き込まれている異世界人や転生者がいたら、暇な時でいい、ほんの少しでもいい、気にかけてやってほしい。

ごめんなさい。そしてよろしくお願いします』


 ……


『スキル開発者からギフトが贈られました。ギフト『地球の調味料』を獲得しました。対応スキルに組み込まれました。ギフト『こだわり気質な日本人へ』を獲得しました。対応スキルに組み込まれました。これにより、マスターが所持している業務魔法ではこの世界の物と地球の物の両方の提供が可能です』

「……え? 味噌とか醤油とかオイスターソースとか、マーボーとかも可能なのか!?」

『有名チェーン店も可能です』

「!!」


 システムの言葉に俺は驚きおののいた。


「え? 業務魔法って、……俺の魔力で生成されるんだよな?」

『はい。そうです』

「魔力が続く限り、作れるってこと? それを食べて生きていけるってこと?」

『経済的にも、身体的にも食べていくことが可能です』

「まじか~……」

『マスター、一つ提案があります』

「ん?」

『マスターの記憶を閲覧した結果、マスターは魔法を中心にスキル上げをしているようですが、マスターのステータスは限界点に達しています。まず、スキル『心技体』の獲得を提言します』

「いいけど。心技体って、道のり遠いよな……」


 あれは高位スキルだ。

 初級の『平常心』、下級の『冷静』もどうやってレベル上げすればいいのかわからなくて戸惑っているっていうのに。平常心は武術の訓練をしていたら上がるっぽいけど、なかなか上がらないから、魔法ばっかりあげちゃうんだよなぁ……。


『現在凍結中の『増殖』スキルと『片付け』スキルの使用許可を求めます』

「はい、どうぞ」

『ではマスター。竹を刈る時は斧などの武器を使用お願いいたします』

「平常心の熟練度上げか。了解」

『熟練度がたまり次第、上位変換への移行を開始します』


 そんな言葉が聞こえてきたので、俺もシステムに協力するために、斧を持って竹を探しに出かけた。

 今日の夜にでも心技体になったら良いなぁ。



 それから程なく竹林を見つけ、竹を斧でたたき切っていく。

 俺が選んだのはコップに程よいサイズの竹だ。

 一本切り落とした所で声がかかった。


『マスター、スキル『平常心』の一つがレベルマックスになりました』

「おっ」

『それにより、『冷静』・『武術の心得』・『武人の心得』・『心技体』・『武神の加護』もレベルがマックスになりました』

「ちょっと待とうか。なんで初級が1つマックスになったからって、極までマックスになってんだよ」

『マスターが凍結していた『増殖』が生み出すスキルの数は372あります。熟練度が1残っていれば、増殖の効果により、熟練度が372になります。スキル『片付け』を使用によりレベル9まで上がり、そこまで貯まった熟練度で、レベルマックスになります』

「おう」


 あれだな、俺がやらかしちゃったやつと同じって事だろ?

 分かってるぞ。あれが怖いから、増殖各1個しか増やしてないからな。


『これにより再度増殖で増えた『平常心レベル1』の熟練のは『71802』になります。これらが増幅で372個増えると、熟練度が『26710344』になります』

「ちょっと待て」

『はい』

「それって下手したらそれだけで上級くらいまではレベルマックスにならないか?」

『はい。高位の8まで上がります』

「……まじか」

『あとは出来上がった初級10の熟練度を使えば極まで達成できます』

「…………だろうね」

『マスターは37の熟練度がありましたので、同様の片付けで達成しました』

「そう……」

『それにより、現在、ステータスの限界は取り払われました』


 言われてステータスを見てみると、呆れた事になっていた。


「なんかすっげー、一気に増えてないか?」

『1335程増えています』

「……そうか」


 神へと至らなくても、最強にしてくれるって言ってたっけ。

 ……なるほど、こうやって最強にされてくのかね、俺……。


『スキル『未記入の白板』同士とスキル『待機』を使用し、スキル『増殖』による増加を破棄ではなく、待機状態を提案します』

「そうだな。これ以上急激に強くなっても、俺自身が振り回されそうだ。待機状態で頼むよ」

『かしこまりました。他スキルも整理してもよろしいでしょうか』

「……どうぞ」


 どんな事になるのやら、ととりあえず許可を出して、俺は先ほどまでしていた作業へと戻った。


 



「さて、シムさんや」


 俺はシステムにシムと名前を付けた。

 安直? こういうのは分かりやすいのがのが一番だ。


 現在の、スキル『システム』を獲得して、数時間後の夜である。……まだ一日も経っていない、数時間後である。大事な事だから二回言った! 


『はい。マスター』

「えー。やりすぎだと思うのは俺だけでしょうか?」

『お言葉ですが、マスター、買い集めたのはマスターです』


 うぐっ。


 あれからシムは、スキルがレベルマックスになるたびに『極』までスキルを上げた。

 おかげで極スキルは12種類になった。それが可能になったのは多数の増殖のせいである。

 確かに買い集めたのは俺だけどさ。


 ……増殖って、着色とか加工とかど同じグループだからそっちを使ってると増殖にも熟練度が入ってくるんだよね。で、着色とか加工とかって、気まぐれスキルに結構入ってるんだよね。そもそも、使い方の分からんであろう増殖も結構入ってたんだけどさ。


 明日店を開けるって糸に着色とかしてたから、レベル上がった。増殖含めて。どんどん上がって、今現在、増殖がスキルを増やす数は1000を超えた。


 ちなみにこれ、増殖がマックスになって増えた新しい増殖の数は入ってない。使ってた増殖がレベル10になったために起きた現象で、シムが買い集めたと言っているのは、その点だろう。増えた増殖はシムが言っていた「待機フォルダ」の中にレベル1の状態で、きちんと別にされているらしい。


 聞いたところによると、待機中のスキルは138万超えてるんだって……。

 破棄しちまえよ、もう。って思ったけど、強敵が現れないとも限らないので俺の安全面のためには待機状態で持っていたいらしい。

 俺の作業が増えるわけじゃないから良いかって放置する事にしたけど。しかし、こうやって一日の終わりに改めて自分のスキルとステータス状態を見ると呆れてくるんだけど……。


「でもこうやって見ると、持ってるものと持ってないものとの差が激しいな」


 俺は苦笑を一つ返す。

 スキル図鑑で見比べてみたら分かる。

 スキル名で役に立つって分かっている物はほぼ持ってない。耐性系とか持っているのはセルキーで買った気まぐれのみ。


「やっぱ、この村でこれ以上気まぐれを買うのは無理かな……」

『これ以上神殿長を追い詰めるのは止めておいた方がいいと思います』

「……2000個買っただけで追い詰める事になるのかぁ……」

『マイナスになる事を考えると十分にそうなります』


 まぁ……、それはそうだろうな……。

 ……仕方が無い、諦めるか。今度からセルキーで……。


『それに断捨離でスキルガチャは出来ます』

「え!? まじで!? 断捨離レベル3までいったの!?」

『はい。達成しました』


 断捨離のレベル3は、スキル1個破棄する事により、同等級のスキルがランダムで1個貰える事だ。


「だから俺のステータスこんなに上がってるのか」

『いえ、そちらは一切関係ありません。片付けの影響です』


 ……あ、はい。そうですか。

 断捨離でスキル破棄したから貰えたステータスボーナスってわけではないのね……。

 というかどんだけ、片付けたのかなぁ。この子……。

 いいけどさ、勝手にやってくれてるわけだし。


『さっそくなさいますか?』

「うん。やろう!」

『どのランクを何回なさいますか?』

「うーん、まずは初級、10回かな?」

『かしこまりました。では、初級『描く』を10個生け贄にします』


 そう言って現れたのは、ガラガラだった。

 ぐるりと回せば赤玉とか白玉とか出るやつ。福引きかい。とつっこみたいが、スキルの大元を作ったのが日本人から神に至ったっていうのなら、なんとなく納得できる。


 初級から極まで順にやった結果。60回中31は持っていないスキルだった。

 未所持は三分の一に減っていたとは言え、偏りがあったし、半分の確立で当たる物と考えて良いのだろう。


『そういう意味で言いますと、中級から極までであれば確率は80%でした。マスターは90%の確率で引いています。これに関しては試した回数が少ないので、マスターの運が良いとは一概に言えませんが』


 俺、運の値もそうとう高いのだけど、それでも運が良いとは言えんのか……。


『むしろ、出目に重点を置くべきかと』

「それは、まぁそうだろうけどな」

『マスターは防御と攻撃に関しては他者を寄せ付けませんが、治癒系統の魔法がレベルが上げにくかったのですが』


 そうね。今の俺じゃ止血しか出来ないもんな。治癒魔法は需要があるからか、下位でも割と高い。むしろ初級治癒でもよく入ってたなって気がした。


『治癒魔法の極を手に入れたので、下位の魔法がなくても問題ありません』


 そうだな。それはとってもありがたいよな。うん。


『次に、『精霊の衣』に関しては精霊の力を鎧のようにまとい、自由自在に扱うスキルです。魔法は精霊の力を借り、それを自身の魔力にて増幅し、発動します。その借りる力が、つねに100の状態になれるというわけです』


 あー、そこまで言ったらほんと、高火力だねぇ。俺、ステータスも高いし。

 でも、殺すだけだなら、『殲滅魔法』があるからなぁ……。


『はい。ですが、『魔法が使える』と見せかけるには程よいかと』

「まるで魔法が使えないように言うなぁ。弱くても使えるぞぉー」

『失礼いたしました。次に、『神の投術』は所持していた『神の地図』と相性が非常に良いです。元々持ってはいましたが、今回それも出たので、大変素晴らしいかと。そういう意味ではレシピもそうですね』

「神の地図ってあれだろ? 世界中の地図が分かるんだろ? 人工衛星で見るかのように。それってそんなに凄いのか?」


 グー○ルアー○みたいなもんだろ? まぁ、地図って前は軍の機密事項っぽいかったし。


『レシピとの組み合わせは、その材料がある場所を示してくれます』


 なるほど! それは便利!


『神の投術と神の地図の組み合わせは、神の地図経由で、ナイフなどを投げられるようになります』

「なんで暗殺スキルばっかり増えてくかなぁ!!」

『あと、断捨離なのですが』

「ん? あれ持ってただろ? あ、熟練度が入りやすいとかそんな感じか?」

『いえ、同等同レベルによる交換なので、断捨離レベルマックスを獲得しています』

「……え?」

『これにより、次回から初級レベルマックスにより、全等級のレベルマックスが獲得出来ます』

「………………チートだろぉ」

『不正はしておりません』


 いや、悪かったよ、怒んないでよ。

 …………でもそうか。


「もう、ホント、神殿でスキル引く必要ねぇなぁ……」

『はい』


 半分放心した気持ちで呟いたら、どうって事ないという感じで、同意された。




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