不正行為はしておりませんが……。これはいわゆるチー……
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………おはようございます。
「おはよう。早いな。もう少し寝てても大丈夫だぞ」
「……いや、流石に寝れない……」
ゴドーが目を覚ました俺に声をかけてきたので、寝起きの見た目の悪い顔で答える。
俺の耳には大音量の放送が入ってくる。
朝の祈りの時間だ起きろコラ。
要約するとそんな感じだ。そんなのが、流れ続けているのだ、さすがに、眠ったのがつい先ほどといっても、起きる。そんな俺にゴドーは苦笑を一つして、朝の祈りに向かった。
その間、俺は大人しく部屋に待機し、やるだけやってほったらかしにしてた自分のステータスや新しく入ったスキルをチェックする。
チェックして、俺の口元が歪む。
ねーわ。
マジねーわ。
これ、チートじゃね?
……いや、神様が作った仕組みだからチートではないのか。
……て事は、俺以外にもこんな感じで育ってる人もいるのだろう。むしろ、多いのかも。なんせ、長寿過ぎるからなぁ。
俺のステータス、今、こんな感じ。
HP 71762
MP 204725
HP回復率 107377
MP回復率 107429
回避率 181
生命力 1500
体力 1500
筋力 1500
魔力 1500
精神力 1500
知性 1500
魔力制御 1500
素早さ 1500
回避力 1500
防御力 1500
器用さ 1500
直感 1500
運 1500
これ、絶対、カンストしてるよな? っというか、MP回復とHP回復がありえない。
HPなんてオーバーしてるし、MPも二分も経てば満タンじゃ無いか。おかげで回避率が高いのか低いのかわからない……。
俺、まだレベル4なんだけど……。これってつまりレベル上げする必要がないって事?
それとも、レベル4のカンストがこれなのか? うーむ。分からん。その辺はなんかのタイミングで検証するか。しかし、自分が異常なのか普通なのかが分からん!!
悶々としながら、ゴドーの帰りを待ち、尋ねてみた。
「ステータスのカウントストップ? なんだそれ、聞いた事無いぞ」
ゴドーが二人分の朝食を持ってきてくれて、それを食べながら尋ねてみると、そんなお答えが返ってきた。……って、事はやっぱり、俺異常?
「何かしらあったようだが、神が何も言ってこないという事はいいんじゃないか? それよりも、今日、セルキーに向かうと言っていたよな? 雨が降っているが雨具の用意はしてあるのか?」
「え!? 雨なの!?」
マジかー。って事はもしかして、延期か?
なんて思いながら集合場所に向かったのだが。
「雨か! 演習には丁度いいな!」
むしろやる気満々だった。
演習って、軍隊か。ああ、騎士は軍人とも言えるのか。俺騎士になるつもりはないぞ。
なんて言える立場でもなく雨の中歩く。
俺が住む春の国は温暖で、割と雨も少ない。二週間に一回くらいだったりする。だから確かにそろそろ雨が降るころかもしれないが……。
何もこんなタイミングに降らなくても……。
心の中で呟くぐらいは許して貰い、俺と隊長さんは黙々とセルキーの街に向けて歩いた。
雨のせいで体も地面も濡れて歩きにくいし、汚れるし、服が重くて、少し寒いし、気分が萎える。--以外は特に何事もなく、セルキーの街についた。
自分のステータスの高さを実感した。
足下は泥まみれだが、こういう時、清潔は非常に便利だ。
隊長さんもまとめて綺麗にする。
「お、ありがとう。……中々効果が高いな。素晴らしい! それに、この雨の中、弱音を吐くかと思えば我慢強く体力もある。雨の徒歩での遠征など、騎士ですら嫌がるし体力が減るというのに。エド、どうだ? 本格的に騎士にならないか?」
あ……。やべ、訓練に混じってるせいか! 目を付けられた!?
演習とか言ってたのそのせいもあるのか!
「いや、俺には無理ですよ、ザッツさん」
そんな面倒なお仕事はしたくありません。
隊長さんにお断りをし、宿屋を探す。
変な宿屋に当たりたくないのであれば、騎士達に聞く方がいいとのこと。それと、受付で騎士に紹介されたというと安全面が上がるとのこと。
そんな話をしながら、宿を取り、前回行った宝石商へと向かう。明日の午前中にもう一度伺うので、その時に前回分の料金を払って貰おうとしたのだ。
なのに、なぜか。よくわからない大歓迎を受けた。
「ありがとうございます! 一生の記念です!」
「伝説、いえ、ただの神話かと思っていました!」
「これで孫が生まれたら自慢できます!」
などなど、いったいなんだというのだ。
事情を知りたくても興奮して話が通じないのだ。
なにが? どうしたの?
そう聞こうとする度に別の人がお礼を言いにきたりして、話が一向に進まん!
みんなが落ち着き、話を聞けるまで、十三分要した。
「えっと、神の声というのはそんなに珍しいのですか?」
「ええ、神殿の話では、神が認めた時にのみ聞こえるといいます」
どうやらヤヨイやヘイアンが宝石にと認められた時響いた声は、俺以外にも聞こえてたらしい。おかげでこんな歓迎を受けたわけだ。
ついでに、それを取り扱っているという事が喜びに拍車をかけたらしい。
これで、間違いなく売れる、と、言っていた。
聞くと、あの出来事があって、物珍しい物が大好きな貴族達がヤヨイ、ヘイアンを探しているらしい。
それじゃあ、偽物もいっぱい出回るのでは? そう思ったが、それが本物か偽物か、神官には分かるらしい。なんせ神が認めたもの。偽物は神殿にとっても困るらしい。
だからしっかりとチェックしてくれるとの事。それと宝石商の多くは鑑定持ちだからよほどの事では偽物は出回らないだろうとの事だ。
へー。と相づちを打ちながら俺は別の事を考える。
神の声ってレベルアップの時に聞こえてくるあれだよな? 珍しいのか?
うーん、宝石商の方達だからかな? 非戦闘員だし。でもスキルのレベルアップにも聞こえるよな?
なんて思いながら、イゴルさんと話をしていると、リエさんが入ってきた。重そうな荷物を持った男性と共に。
「お待たせしてすみません。残りの代金をお持ちしました」
男性が重そうに持っていたのは、どうやら俺への金だったらしい。
お確かめください。って言われた金袋に俺は一人で数えるのかよ、と泣きそうになったが、鑑定を使えばいくら中に入っているのか分かるのでは? と思ってみると出来ました。
買ってて良かった鑑定!
「はい。確かに残りの代金、1584万ですね」
「確認はよろしいので?」
「鑑定のスキルを使いました」
イゴルさんの質問にそう返したら、三人ともどこか感心したようだった。
金袋をナップザックに入れ、俺は代わりに五つの包みを取り出した。
それを見て三人の気が引き締まっていく。
「今日はあまり用意していなくて」
作る時間が無かったわけでは無いが、時間が掛かりますよ、な、アピールである。
……どれが需要有るか分かんなかったからっていうのもある。
二つはヘイアンシリーズ。三つはヤヨイシリーズ。うち一つが夜光となっている。
俺としては前回と同じ値段で売れれば良いなって思ったのだけど。
神様効果はでかい!
五つとも価値が上がってた。無地のヤヨイは12万。透明なガラス玉の中の中央に色付きガラス玉が入っているような形にしたやつ、ビー玉の中にビー玉が入ってるってイメージだったのだが、そちらは100万。バラが描かれた夜光は1500万になった。
倍以上である。
ヘイアンシリーズも対になるアクセサリに使いやすいと高評価だった。
締めて、1632万。数は少ないが、前回の半分にまでいったよ。
同じように作る人が現れるまで金に苦労しなさそうだな……。
で、注文も受けた。次回、作って欲しいという図案も貰った。『江戸』の様にロゴを作ったそうで、宝石を入れる木箱に使いたいという事らしい。それなら焼き印でもいいのでは? と尋ねたら焼き印だと真似されてしまうかもしれないと。その点ヘイアンシリーズだと表と裏は真似できたとしても、中は真似できないからもってこいらしい。
簡単なお仕事なので、喜んで受けますが。
ロゴを入れる木片に位置を確認して、印を付けると、それもナップザックに入れた。
前回と今回とで俺の所持金が凄い事になっている。
ナップザックだってそれなりに重いが、このために重力の魔法を放出さんによりレベル上げしたようなもの。それに今の俺の腕力ならなんら問題ない。
……ナップザックに穴が開かないように金袋はそれぞれに重力魔法かけておくか。
初級魔法(重力)のレベル8は半分の重さを一回でカットしてくれる。それも12時間。
昔と比べて、軽くするのが凄く楽だ。
不遇スキル? 使えないスキル? けしてそんな事は無い!
俺は見送りに出たみなさんに頭を下げて、通りを行く。
まずは神殿に行って、前回と同額のお金を貯金。
で、ガチャを十回引く。ここまではテンプレでしょう。
ここは耐性が出やすいのか、水魔法耐性弱と中をゲットし、循環っていうスキルもゲットした。これ、もうちょっと前に欲しかったなぁって思うスキルだ。HPとMPの回復力がちょっとだけ早くなるっぽい。もう今の俺にはほぼ無意味。
もったいないと思うが仕方が無い。それ以外はダブってた。
鑑定を買うかどうか迷って、そういや今なら白板常時でも問題ない事を思い出し、調べると鑑定をセットする。
これで熟練度上げて買うかどうかは来週決めよう。
あとは、海鮮と壺とか小物入れを仕入れよう。あとちょっと良い布を仕入れるか。
神殿のトイレに入り、自分の家を思い浮かべる。
そして一歩踏み出すとそこは今、思い浮かべた家だった。
昨日大暴走したスキルは『時間』。それの上位が『加速』→『鈍足』→『移動』→『時空魔法』→『時空神の加護』となっている。
今行ったのは、『時空魔法』プラス『移動』だ。移動のレベルマックスは『スキルを含めた視野の範囲内ならどこでも移動可能』であること。時空魔法はいくつかあるがその中に『遠く離れた場所の空間の様子を知る。長距離転移に必要となる』。つまり、こうなる。
テーブルに預かってきた木材を置き、金をどうしようかと考える。持ち歩くよりも置いていった方が安全だとは言いづらい。鍵はあるが、金庫があるわけではない……。
あ、そうか。こちらも時空魔法を使えば、術者以外の出し入れが難しくなる。
ゲームなどである時間が止まる形での収納を時空魔法は可能とする。しかも同じ時空魔法持ちじゃないと干渉できない。
これを使えば、小さな箱でもどんな金庫よりも強固なものになる。
同じ時空魔法持ちなら開ける事が可能かも知れないが、この村にそんなやついるのかね?
これで安心して置いていける、と思ったのだが、ふと、布っていくらするのだろう。という疑問が浮かんだ。
布って高いんだよなぁ……。
そんな思いが渦巻いたので、結局置いていくのはやめて、金袋に時空魔法をかけた。
さらにナップザックと金袋を『結ぶ』。これで、スっていくこともできないだろう。
結ぶの紐を切るには、特定のスキルが必要なので、安心感がある。
神殿のトイレにもう一度戻り、神殿を後にした。。
前と同じ市場を通り、クッキーや小瓶やら前回と同じ物を同じ数買い、お茶も買う。
他にもパイっぽいみたいな物を買ってみた。
クッキーは騎士達に持っていき、前回と同じように渡す。その対価にではないが、おすすめの布屋さんを教えて貰う。
10メートルを3巻き買って、果物や野菜、そして、フフフ。鮮魚もだ!
やったね! 今なら鮮度を落とさないんだぜ! 冷蔵庫よりも凄いのだ。
布でほぼ半分の金を使い切ったが、そこは仕方が無い。しかしこうやって考えると布って本当に高いな……。地球で、機械化して値段を安くしようっていうのがよく分かるよ、ホント。
宿に戻ってザッツさんと一緒に夕食を食べる。夕食は俺が出した。あ。宿代も出したよ。お世話になってるし。隊長さんは良いって言ってたがそこは気持ちである。
特にもめごともなくセルキーでの一日は過ぎていった。
……テンプレなら、ごろつき等に絡まれる展開じゃないのか? って思うが、そんな目に遭いたいわけでもないので、ありがたく平穏な一日を過ごした。