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色々……ありえなくないですか? と神に申したい。



 翌日。ノボリを設置し、着色した空気イス(着色しないと見えないので自分でこける)に座る。

 どれぐらい人が来るかな。店は前回一日開けただけでずっと閉めっぱなしだったから客こないかもなぁ。

 なんて、不安もあったのですが。

 前よりもずっと多くの人が来た。村のほとんどの人が来ていた。

 前とは違い、家族で来たりとか友達とかと来たりとか。しかも前回が前回だったからか、みんな来るのが朝早い!


「お色直し? も、数の制限あるの?」

「あー……お色直し分は、購入制限にいれなくていいですよ」

「母さん、俺、この色が良い!」

「えー? もっとこういう色がいいんじゃない?」

「なんか女っぽくない?」

「お塩、ハカリ売り? 好きな量でいいの?」

「容器入りもかわいいわねぇ」


 わいわい、がやがや。

 賑わっている店内、いや、庭先? 俺はあたふたと動いている。

 会計して、量って、値段貼って、会計して。袋詰めて。注文受けて。

 目が回る~。

 って、思ってたら、いつの間にかお昼はとっくに過ぎてた。


 セルキーで買ったクッキーを人が居なくなったタイミングで食べる。

 とにかく腹を膨らませようと。

 今日も夕方までほとんど商品は残らなかった。

 残ったのは量り売りの塩とかだ。

 塩や砂糖などは雑貨屋で買った方がちょっぴり安いからな。そんなもんだろ。ただ容器入りは容器が可愛いからと買っていった。

 大量生産出来ないのが辛い。

 お色直しは、23世帯の60着。


 で、総売り上げは14万9793ゼニィなーりー。

 こっちは、今度の仕入れに使おう……。


 夕方前には商品は量り売りのものしか無くなったので、ノボリを下ろし、武術の訓練をする。

 MPは鑑定と調べるのスキル上げのために常時設定になってて、MPがどんどん減ってくから魔法などは使えない。

 昨日あの後、本を出しっぱなしにしているのもMPが減っていくのが分かった。

 加護が発動している間はMP回復率もUPするので、それが唯一の救いか。まぁ、それでも使用MPの方が多いから、途中で白板もストップさせてMP回復を優先させますけどね。今みたいに。

 加護のレベルが上がるかダブりが増えたらそのうちMP回復の方が量が多くなるかもと、願ってます。

 さて、風呂入ってご飯食べたら仕事の着色をして、MP回復のためにさっさと寝よ。



 おはようございます!

 4月25日、木曜日は相も変わらずMPがやばげなんで、魔法のスキル上げは最低限で、体を動かす方をメインっす。それでも調べるとかが中々レベルマックスにならない……っ! 辛い! 着色はあんなに簡単にレベルが上がったのに……。入ってくる熟練度にも差があるらしく、設定のおかげなのか、昨日の夜、『時間』がレベルマックスになりました。早かった。

 いかに調べるが歯がゆいか分かる……。

 『時間』のスキルは、ぶっちゃけて、レベル6からは壊れスキル過ぎました。と、だけはお伝えしておきます。これが初級って、大丈夫か? って思ったよ……。割と多いけどさ、レベル6からおかしいだろっていうスキルは。でも、『時間』に関しては壊れすぎだと思う。


 さて。 朝飯食べた後は神殿に行って、次の仕入れをお願いしよう。で、ついでにお色直しで着色したやつを持って行って、その後で騎士団の方に行って、セルキーへの道案内をもう一度隊長さんに頼まなきゃ。

 なにげに大忙しだな、今日。



 母さんにセルキーで買ったお土産を渡した後、各家庭にお色直しした服を持っていき、売り上げを手に神殿へと向かい、いそいそとカウンター席に座った俺に、ゴドーが問答無用で防音結界を張った。


「……仕入れのお願いをしに来ただけだったんだけど……」

「こちらの方で聞かれたくない話がある」

「ああ。なるほど。何かあった?」

「まずは、私と神殿長の罰が決まった」

「へ?」

「スキルの売買の自由は認められている。それに縛りを入れようとしただろ? 神にバレたので、お叱りを受けたってわけだ」

「ああ……。どうなったの?」

「まず、お前に出していた条件は撤回される。好きに売ってくれて構わない。売ったとしても神殿のサポートはそのまま続ける。あと、これからはエドの購入した物の半額は神殿長が持つ事になったから」

「え……かえってそれ買いにくい」

「そうか?」

「うん」

「ではそれは伝えて、別の罰を考えて貰う」

「せひともお願いします」

「で、私の方は、休日は無給状態で働く事になった」

「ただ働き?」

「そう。気まぐれスキル購入者の、購入後の相談を受けろとなった」

「……つまり?」

「先週の日曜日みたいに、お前の話相手になれって事だ」

「ほほぅ。でも、俺来る日曜セルキーの街にいるはずだけど」

「そうか分かった。で、あと私達が迷惑をかけたという事で、その詫びの品にと神が二つ提示してきた。一つは、神殿で販売していないもの含めて、全てのスキルが入っている気まぐれスキル一回か、エドが作った……、ヤヨイとヘイアンシリーズだったか? その両シリーズを神が宝石と認めるという事だ」

「え!?」

「エドが使ってたスキルを使えば元にも戻せるのだろう?」

「うん。レベルマックスがそうだった」


 着色レベル10の内容が『他者が施したのを含めた着色効果を無効化する』だったから初めはしょぼいなって思ったけど、塗ったのを無かったことにするっていうのは難しい事に気づいた。

 似たような配色を塗っても元の石ではなく何かしらの違和感があったのだ。だから、レベル10としては間違ってないのだろうと思った。しかし、これを使えばあんな高額商品として化けてくれた物もただのその辺に転がっている石ころになってしまう。

 もう一度塗り直せといえばもちろん塗り直すけど、不安にもなる。


「その両シリーズを宝石として認め、完成品となった場合、作った本人以外は着色効果を無効化に出来ないという効果を付けるというのと、どっちが良いかって事らしい」

「着色の方で。宝石の方でお願いします」

「いいのか? こんな機会、次があるか、分からんぞ?」

「そうなんだけど。それは分かってるけど、元がただの石だって分かってるから、俺の心が苦しいンよ。あんな高額になったし。だから、神様に宝石と認めて貰う方が良い」

「分かった」


 ゴドーは頷いて、目を閉じた。

 祈っているかのように見える。


『『ヤヨイ』シリーズおよび、『ヘイアン』シリーズの一部を宝石と神が承認しました。

 『ヤヨイ』シリーズ・『夜光』を魔法石もしくは魔術貴石と神が承認しました。』


 そんな声が聞こえてくる。目を開けたゴドーと視線がかち合いお互いに笑い会う。


「おめでとう」

「ありがとう」

「ところで、前に貰った魔術貴石は返した方がいいか?」

「いいよ。あれはゴドーにって上げたんだから」

「そうか。なら良かった。実はあれ、もう神の所にあるんだ」

「オイ」

「価値が上がったから返してくれと言われたらどうしようかと思ったよ」

「思ってないって顔で言うなよ」

「そんな事はない。返してくれと言われたら返すつもりだった」


 神様に渡しててよく言うよ。


「ではあれはそのまま神へと献上する事にして」


 ごそっとゴドーは箱を取り出した。

 コンビニのくじ引きで引くような感じで丸い穴が開いた箱。


「中から三つ取ってくれ」


 言われるまま箱をに手を突っ込んで折りたたまれた紙を三つ取る。

 促されるまま開けると、「250」「309」「369」とあった。


 「250」とかかれた数字がぼやけて「高位魔法(土)」となり、「309」とかかれた数字がぼやけて「殲滅魔法」となり、「369」は「隠密」となった。


「……ゴドー?」


 殲滅魔法って……。


「三個中二個も取り扱いのないスキルを獲得したのか。君、運が強いんだな」


 いや、運が良いなじゃなくてさ……。


「……さっき一個って言ってなかったか?」

「それは、私と神殿長が君に迷惑をかけた分だ。こちらは、君が献上したヤヨイシリーズの礼らしい」

「献上したのは、ゴドーじゃん」

「いいんだよ。名目はなんでも。気まぐれスキルを買って、試行錯誤を繰り返している君に神が何かしたかっただけだろうから」

「……そういうもの?」

「そういうものだ」

「そっか……。ところで……、殲滅魔法って……」

「ああ。神もびっくりらしいぞ。大虐殺する時は、悪人だけにしてくれ、との事だ」

「まんま……、文字のまんまなスキルなのか…………。ああ、まじめに文字のまんまのスキルだぁ……」


 調べるで恐る恐る確認とったけど、頭を抱えた。


「そんなに凄いスキルなのか」

「凄すぎて使えんくらいのレベルだ」


 なんだよ……。「目の前にいる敵(五百人まで)を即死させる」ってばかげた能力は!!

 これ、レベル1の能力だぞ!? 消費MP3000つっても、俺、連発出来るくらいにはMPあんのよ!? 俺一人で世界征服出来ちまうんじゃないか!? なんでこんなスキル作ったんだよぉ……。


「そうか」


 対するゴドーもあっさりと一言だ。


「……世界征服できそうなくらい凄いスキル貰ったんだ」

「そうか。やるのなら、スキルを集め終わった後がいいと思うぞ」

「……ゴドー……そこは止めようや」

「何故?」

「何故って」

「神が入れたという事は少なくともお前にはその権利があると思われたんじゃ無いか?」

「……絶対違うと思う。ってか、いらない、そんな権利」


 そんな権利いらない。まじいらない。世界征服とか、めんどくさそうな事、マジいらない。


「くっくっく……」


 ゴドーは俺の様子を見て楽しげに笑っている。

 からかってやがる。と思ったが。


「そんなお前だからきっと当たったのだろうな」


 本気で言っているようで、俺はため息を一つついて、それ以上は口にしなかった。


 さっき、三個中二個とゴドーは言っていた。

 たぶん、『高位魔法(土)』だろう。等級に『高位』があるって初めて知った。あ、いや、殲滅魔法は極らしいから最上位は極なのだろう。


 はぁ……。っていうか、さ。隠密、に殲滅って、ナニコレ俺に暗殺者にでもなれってのか? 忍者か!? 忍者なのか?

 そんな事を考えつつ、今日来た本来の目的の仕入れをお願いし、その後は騎士団に行き、改めてセルキーへの道案内を頼んだ。

 あと、騎士の訓練にも参加させてもらった。

 筋肉痛になりそうである……。


「明日の午前中には出発。夜にはセルキー到着。用事を終わらせた後、日曜日の朝にセルキーを出発。そういう流れになったから、日曜の夜には居ると思う」


 俺の相談相手にと任命されちゃったゴドーにそれを伝えて、道の途中で手頃な石を持って帰り、清潔にて綺麗にした後、その小石をテーブルに置き、一拍置いて、ナイフを手に持ったまま、スキル『時間』を発動させる。

 その瞬間、全ての音が止まった。空気の流れも水の流れも全てだ。


 これが、『時間』スキルの後半レベルの効果。

 時を止めてしまうのだ。レベル10でも五分が限界だが、その間、同じスキルのレベル6以上を持っている者以外全て止まってしまう。

 その間の物の硬度はほぼなくなっているようで、石ですら、豆腐のようだ。豆腐よりももっと柔らかい。

 粘土の様に、机の上で小石を優しく、ころころ回して丸くさせたり、ナイフで削ってそれとなく形を整えたりしてみる。

 『時間』は重複してるので、俺はたぶん、時が止まった中での『五分』以上止められると思う。

 まぁ、五分でも連続して使えばいいだけだが。だって、これ、消費MPたったの10なのだから……。

 色々ありえんって……。


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