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気まぐれスキルを買うのは趣味です

誤字脱字随時修正中。



 神殿に大慌てで行って、鑑定を買うためにカウンターに並ぶ。

 レベル1で300万。レベル2で600万。買えるとしたらこの二つ。3は900万だった。全額貰ってたらレベル5まで買えてたけど、そこはまた来週考えるとして、レベル2を買った。

 神官のお兄さんがすっげー良い笑顔で鑑定のスキルを渡してくれた。

 ゴドーから聞いている分、その笑顔の意味がよく分かるよ。良かったね、お兄さん……。


 で、もちろん鑑定とは別に気まぐれスキルも買う!

 ゴドーすまん! でもそっちでも買うから許してくれ!


 さて、気まぐれスキルは、と……。こっちも人いねぇなぁ。どこもこうなのかね。


 カウンターの前に座ると、どこか日本人っぽいお兄さんがこっちを見た。


「気まぐれスキルをお求めで?」

「はい」

「……そうですか」


 やる気無い態度で見慣れたおみくじ箱を出す。この辺は全神殿同じなのか?

 5万を入れるとお兄さんはぎょっとしてた。

 きっと気まぐれスキルを買う時は一個とか二個なんだろうね。でも俺は違うぜ!

 意気込んで腕をつっこみ、ぐっと何かを捕まえて手を引き抜いた。



 結果は、拍手喝采したい内容だった!


 初級魔法(火) 消費MP10 :ろうそくの炎くらいの大きさの火が出る

 初級魔法(治癒) 消費MP10 :止血する

 品定め×2 (ダブり)

 雄叫び   消費MP5 :相手がびっくりするかも

 耐性(中) 消費MP0 :全ての耐性が(中)くらいになる。

 呪い耐性(中) 消費MP0 :呪いに対する耐性が中くらいになる。

 中級魔法(風) 消費MP150:魔法「ウィッズ・タッツ」が使える

 図鑑 消費MP15: 図鑑がかける。対応スキルが必要。

 手なずける 消費MP135 :動物が好きになる



 治癒魔法がある! 中級の風魔法がある!!

 しかも耐性もあるよ!?

 読み物ゲット! って思ったけど、自分で作るんかい! とセルフ突っ込みはした。


「……おめでとうございます」

「ありがとう」

「初級魔法などはスキル玉に戻しますか?」

「ううん。そのまま使うよ」


 それだけを答えて俺は立ち上がり、待っててくれた騎士さん達と合流する。

 みんな、そんなにいらないスキルってすぐに売るのか?

 上限がないのなら持ってたら良いのに。



 あと、それでも金は大量にあるので、騎士の二人に大金持った時どうしているのか聞いてみた。銀行なんてないし。みんなこういう時どうしてるんだろっと。


 どうやら神殿がお金を預かってくれるらしい。

 利子とか投資とかはないっぽくて、預けた金が別の支店で出せるっていう感じらしい。 俺も100万は預けた。

 で。スキルみたいに俺の中にデータが残るっぽい。

 作るのに1万払った。1万も払えないのなら自分で持てって事なんだろうね。

 神殿良い商売してんなぁ、ホント。 




 市場に向かう俺たち。騎士が周りにいるからスリとかの心配もしなくていい! すっごい気楽~!


「ご機嫌ですね」

「うん! 気まぐれで良いスキルが出た!」

「……気まぐれを買ったのかい?」

「あ、鑑定も買ったよ、きちんと。気まぐれは趣味みたいなもの」


 そう告げると、不可解そうな顔が返ってきた。もう一人は、……残念な子を見るような顔はやめい。



「でもそれだけ良い笑顔ってことは、良いのが出たんだ?」

「耐性とか中級風魔法とか」

「あ、すごい。って言っちゃ駄目だよ!」

「へ? あ……」

「聞いた俺たちも悪いけど、そこは、ランクを言うので留めるんだ」

「ランク……?」

「星とか月とかあるだろ?」

「ああ、でも全部覚えてないしなぁ」


 星、月、太陽の順で高くなっていくってのは覚えてる。

 そこは覚えてるけど、どのスキルがどれ、なんて覚えてないって。

 気まぐれスキルにしか行ってないせいもあるかもしれないけどさ~。


「……心配になるなぁ……この子……」

「心配してついてきた気持ち分かるな」


 なんかしみじみと言われてしまった。



 セルキーの市場はさすが港街! って感じだった。村と違って色んな店があるよ。あと、よく分からん料理も多い。

 試食があるものは遠慮無く試食して、美味しかったらお昼にと買い食いしていく。

 村での販売する物と俺が食べるクッキーに、お茶っ葉も買ってみる。あとを買って、お土産にちょっとだけ可愛い袋に入っていたクッキーも買った。

 ちなみに俺はチョコ系よりも、ノンフライ系のお菓子が好きでクッキーもバタークッキー系のシンプルなやつが好きだ。サブレとか旨いよな!

 ……作り方知ってたらなぁ……。自分で作るんだけど。


 そして、そして! 本日のお目当て! 海の幸!! しかし問題が!


 なんでこの世界は冷蔵庫がないんだぁぁぁぁ!!


 また心の中で魂の叫びを上げる。が、気づいた。

 待て! 実家に無かっただけであるのかもしれない!


「冷蔵庫とかってあったりします!?」

「レイゾウコ?」


 騎士の二人は聞き覚えが無いという様子だったので、冷やして鮮度を保つ物だという話をしたら似たような物はあるらしい。ただ、受注生産なんだって。って事は無理じゃん!

諦めて、甲殻類っぽいのを買った。まだ生きてるし、夕方までもつかなって。

 市場は色々面白かったけど、帰りの事を考えるとあまり重たいのも買えないので、軽めものを中心に買った。その中には、騎士の人たちへのお礼のクッキーもある。

 それをまずはセルキーの騎士隊の人たちに、村に帰った後は村の騎士隊の皆にクッキーを渡した。

 んで、後は母さんとゴドーにだ。


「ゴドー! 結界よろしく!」


 神殿に行き、すぐさまカウンターに座り、そう言うとゴドーはすぐに結界を張ってくれた。


「……お帰り、そろそろ神殿は閉まる時間帯なんだけどな」

「そうなんだ。それはごめん。とりあえずお土産」

「ありがとう」


 嬉しそうに受け取り、それから成果を尋ねてくる。


「どうだった?」

「すっごい売れた。2000万超えた」

「そうか」

「……驚かないんだな」

「それぐらいの価値はあると踏んでたからな」

「マジかー」

「君の金銭感覚がおかしいと昨日さんざん言っただろう」

「言われましたけど!」


 肯定した後、ため息をついた。


「なんせ俺は超常識と言われる常識の半分は知りませんですしね。おかしいですよ」

「……ああ、あれか。スキルのやつか」

「そ、それ。知らないこと多かった」

「だろうな。あれの2%は君たちのような短命種がほとんどだと思うぞ」

「学校行ってないしね……」

「生まれて数年で放り出されるからな。だから、神殿や騎士隊もそうだろうが、手を貸そうとする組織があるんだ。大人になって独り立ちするのが悪いとは言わないが、短命種に関しては例外とした方がいいのでは、と。昔から意見はあるが、……結局、上がるだけで変わったりはしないんだけどな」

「その説は大変お世話になりました。で、そこは置いといて。終わっちゃう前にスキル引かせてよ」

「気まぐれを買うのか? それだけの金が入ったら色んなスキルが買えるだろうに」

「買えるけど。実際鑑定買ったし」

「買ったか。どうだ?」

「んー、面白かったよ、やっぱり、有ると無いのとでは変わるね。で、それはいいんだよ! 気まぐれ買わせてくれよ」

「はいはい」


 おみくじ箱が置かれて俺はお金を入れる。


「……おい」

「ヒヒヒ。神殿長、戦々恐々するんだろうなぁ」

「……するだろうな」

「セルキーでも気まぐれ引いたんだけど、向こうの神殿長も今頃こわごわとしてるかな?」

「いくつ買ったんだ?」

「十個」

「ならどうって事ないだろう」

「そっか」

「残念そうに言うな」

「そうだな。来週も行くし、来週にもう十個かうかな」

「……いったいいくつ買う気なんだか……」

「全部揃えるまで、かな? ゴドー的におすすめスキルあったら買うけど、それは来年以降にするよ。神殿長のひやひやが続くように」

「……嫌いなのか?」

「好きも嫌いも無かったけど、嫌な事を部下にさせるっていう考え方は嫌いだ」

「だから、気まぐれ、百個も買うと」

「金使う場所他に浮かばないかなぁ」

「もはや神殿の支援はいらないと思うが」

「や、雑貨屋で買いたくないからそっちは助かる」

「そうか」

「それに別の街での売り上げなんて、村の人たちからしたら外国の話みたいなもんでしょ。同じ土俵に上がって売り上げを出しますよ。頑張って」

「そうか」

「あ、今日、お茶も買ったから今度飲みに来てよ」

「ああ、分かったお邪魔する」

「んじゃ、俺帰るよ」

「ああ、クッキーありがとう」

「どういたしまして。じゃあな」


 神殿を出て歩きながら、スキルを軽く確認する。

 今日だけで、110個。本当に上限ないのかね。この世界のスキルって。

 家に帰ったらスキルのチェックして、それからスキルの熟練度上げするか。

 俺はわくわくしながら薄暗い道を家へと向けて帰った。

 暗くても初級魔法(光)(明かり)があるからモーマンタイ~。



 家について、軽く清潔魔法を使う。それからエビ? カニ? な甲殻類を水炊きにして食べる。久しぶりに海のものを食べたがやっぱり美味しいね! ちょっと冷めても生活魔法(熱)で温めればいいし。生活魔法、なにげに凄い便利だ。

 清潔魔法を使えばゴミと認識した殻は一瞬にして消えるんだが、折角なので肥料にしよう。

 前に作った竈に持っていき、殻を入れ、着火……しかけて念のためバケツを持っていって中に水を入れる。調べるで火の大きさを確認し、火を付ける。

 甲羅が焼けて白くなるまで、火が見える範囲で土魔法を使ってみる。

 バケツ一杯分の土が出てきた。

 ……鑑定から見ても、品定めからしても、庭の土よりも、こっちの土の方がまだ栄養ありそうだなぁ……。

 どっちがいいのか並行してやってみるか。

 畝を作るように土を出現させて、種を植える。

 うーん、どうせならきちんとスキルの確認をしていくか。

 かなりダブったし。


 生活魔法はいいとしてー。火も終わったし、水……はさっきのバケツでやれば良かったな。バケツ一杯分っていうし。やってみるか。

 バケツの水を捨てて初級魔法水を使ってみた。

 確かにバケツいっぱいぶんだった。満杯。溢れる一歩手前。

 生活魔法のコップ一杯はコップに対し七か八分目くらいだったけど、そこは攻撃魔法との違いなのかもしれない。

 風は火のそばでやると危ないか。初級とはいえ。ちょっと離れた所で森に向けてやってみるが、夜だからさっぱりわからん。

 もうちょっと明かりを増やそう。


 使ってみた。カラッカラに乾いた運動場を思い出した。

 風吹いたらこんな感じで土埃あがったなあ。ってそんだけ。

 後は、使いどころを間違ったら砂埃まみれになりそうだなって思ったよ。


 で、次は重力か。

 重力もダブったし、威力上がるのかなぁ。と期待して近くにあったちょっと大きい石に使ってみたが、いまいち分からない。

 ならばと、かつてから使う機会を待っていた放出と一緒に使ってみよう。どうせあれもチェックしないと行けないんだし。

 と水かめを持ってきて中に水を満杯まで入れ、そして放出を使い、重力魔法を重ねかけていく。そして当然のように重力のレベルが上がる。いいね! とっても嬉しいよ! マックスにはならなかったっぽいけど。


 ふっふっふっふ。これで少しは軽く……なってるといいな! と、水かめの縁を指で弾いたら、スケートで滑っているかのように移動していく。


「は?」


 目が点になった。

 そんな俺を無視し事態は悪化する。

 風が吹いて水かめが空高く舞い上がり、離れていくのだ。


「わっ! ちょ!?」


 どんだけ軽くなってるの!? って思ったが、高台になっているのが災いしてすでに手に届く範囲にない。っていうかあれ、重力切れて落ちたら大惨事だぞ!?


「ひ、引っ越し!!」


 水かめを指定し、家の中に引っ越し先をしていする。

 そこに水かめが出現して、俺は安堵で脱力し、orzなポーズをしばらくしてた。

 まさか、風に飛ばされるくらい軽くなるとは……。水かめを机の下に移動させ、浮かないようにする。

 あとはそっと家の外に出た。

 あー、びっくりした。

 放出はやっぱり危険なスキルである。

 お前の使い方が悪いだけだ、と言われそうだけど。

 次は……光か。光は今日さんざん使ってるからな。特にいいかな。パス。

 で、治癒か……。

 水でナイフの汚れを落とし、清潔魔法を重ねがけして、竈の上で火魔法でナイフを温める。さらに清潔魔法を使い、それから指をちょっと切ってみた。あんまり痛み感じなかったから、ちょっと深く切りすぎた。でも、治癒魔法で綺麗に血は止まる。

 便利だけど止血だけなんだよなぁ。ちょっと無理をするとまた出血しそうだな。

 そしたらそれでまた治癒魔法使うか。

 で、次。闇、パス。雷、パス。氷、パス。って、対象者がいないと難しいのはどうしようもないなぁ。明日にでも川でって、待てよ闇はもしかして、光にかけられる?

 試してみたら出来た。闇のレベルと光が同レベルだから、重複してる分、光が勝ったのか、光量を落としたような感じになっていた

 次は、超常識辞典か。こちらも出して見たけど、特にページが増えているわけでもないし、重複した分で何か変わっているわけでも無い……。と。

 普通の本だったら、貸し出し用という名の布教活動に使われる所だろうけど、スキルだしなぁ……。それとも、まさか、誰かに貸し出しって出来るのかな?

 一冊を出しっぱなしにしてみるか。

 次は家庭の医学。こっちもダブったけど特になしか。

 こっちも貸し出し用に置いてみるか。

 次は描くとかく……机に描いてみるけど、特に何も変化なし。よし、次。

 ……雄叫びか。これも明日。パス。次。

 次が『時間』……現在の時刻が分かる。

 あ、地味に便利これ!

 作業する時とかどれくらい経ってるかわからなかったからなぁ。

 どうせなら壁にかけるとか出来ないかなぁ。

 壁に手を置いて、時計と唱えてみるが無駄だった。

 時計仕掛けに出来る対象があれば可能なのかなぁ。数字が動く形のやつ。それならそれで作るけど、でも出来ればこー……ペタっと張りたい、ペタっと。冷蔵庫にタイマーを貼るかのように……。

 あれ? 今一瞬、何か過ぎったような……?

 うーん。うーん? とりあえず後回し。次。極小カット!

 目に見えない程の小さく切るってかいてあるけど、本当に目に見えん!

 鑑定で確認したら切れているとの事だった。

 目に見えないってことはミクロとかそんな感じか? って事は、10回やったとしても見えるわけない? ……パス! 次。次は『設定』。

 設定? 内容は設定が1つ出来る様になる。対応スキルが必要との事だが。

 普通、設定ってon/offが最初に思い浮かぶか? 後は、パソコンの設定だったら、コントラストとか、画面とか、ネットワーク……携帯とかだったら音量とか。

 スキルの設定……。……あー……なんか閃きそうだぞ。これもパスして後で家の中でじっくりやろう。とりあえず、ちょっとメモ。

 服に『スキル設定。スキルを設定?』とかいとけばOK。次。加護系はパス。で、録音もどうしようもないからパス。

 着色は適当な石を……真っ黒に塗ってみるか。

 おー……ちょっと早くなってるか? 収納は……。あとで巾着でも作ったらそれに使おう。で、次は。夜目。……周り明るくしちまったからな。これも自動で切り替わってくれないかなぁ。

 ちょっぴり木の下に行って夜目をこらす。

 結構カニを焼いた匂いってするなぁ……。苦情が来るかも知れん。そろそろ焼くのを止めて叩いて土に混ぜるか。

 そんな事を考えつつ俺は森から出ようと振り返ろうとして、違和感に顔の位置を戻す。

 今、何か動いた?

 気のせいとするには不安が強い。忘れてたが、夜行性の動物だっているのだ。

 なのに俺は無防備にも結界の外に出てしまっている。


 落ち着け、落ち着け。と深呼吸をすると落ち着いてきた。

 俺は夜目をさらにかけて持続時間を長くし、ゆっくりと後ろに下がりながら剣の柄に手をかける。しかし、剣は付け焼き刃、かえって危険かもしれない。なら、やるなら、水。


 といっても攻撃魔法じゃないけどな!


 俺は即座に魔法を放った。

 大量の水が地形を無視して、俺の目前から森に向けて勢いよく流れていく。

 俺は一気に後退し、結界石が作り出す結界の中に入る。

 水が流れる方向とは別に草木が揺れる音がする。

 やっぱり何か居たらしい。

 俺は水を止めて、結界の中を歩く。

 危なかった。敷地内といっても日本とは違って獣に襲われる可能性があるって事すっかり忘れてた。

 火を消して初級風魔法で匂いを散らす。

 後は家の中でやれることをやろう。



長くなったのでいったんここで切っちゃいます。

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