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戦いの後、諸々の前

またまた短いですが

 さっくりと飛竜を倒したケンはさっさと飛竜をアイテムポーチに収納し、先ほどまでとは違う喜色の混乱に渦巻く街を尻目にギルドへと戻っていた。恐らくあの場にいた冒険者が漏らしたのだろうが、街の住民もギルドで震えていた冒険者にもギルドマスターが連れていた少年が飛竜を倒したらしいと噂が広まっていた。


「あらあらぁ、ケンちゃん大人気ね」


「俺の愛らしさにようやく世間が追いついてきたな」


「いや、それは違うだろ」


すかさずアンナがツッコミをいれる。アンナとしては不本意だろうがこのやり取りも随分と板についてきたものである。


「愛らしさは置いといて、ケンさんが注目の的だというのは間違いないですね。それに近日中に領主の方から何かしらの接触があると思います」


「ふーん、まあ、別にどうでもいいや」


カトレアが今後のケンの処遇に思いを馳せるとアインスが疑問を挟んだ。


「どうでもいいって・・・・・・。ところでギルドマスター、今回、領主軍や貴族の私兵たちが姿を見せなかったが・・・・・・」


「ふん、大方、自分たちだけ逃げる算段してたか縮こまって震えていたかのどっちかだろうよ」


「まあ、あの領主じゃな・・・・・・」


事実ほとんどの貴族達が私兵を伴い我先に逃げ出そうとたため、街の混乱に一層拍車をかけていた。しかし、事態が収まるや否や踵を返して自分たちは住民の避難のために安全確保を優先していたのだと嘯いていた。領主に至っては領主館の周りを兵に囲ませて、ガタガタと震えているだけであった。


「それにしてもケン殿!先ほどは疑ってしまい申し訳なかった。ケン殿の凄まじき力、正直冒険者として嫉妬の念を禁じ得ない」


アインスは深々と頭を下げた。


「別にいいって」


「しかし・・・・・・」


「俺はほら、安心しておっぱいを愛でられるようにしただけだからさ」


「うぉおお!さすが兄貴ぃ!そのおっぱいへの愛の前には飛竜すらも敵ではないんですなぁ!」


「おっぱいの前に立ちはだかるもにのは死を持って思い知らせてやろう。おっぱい道は修羅の道!戦いに血塗られた道の果てにおっぱいは微笑む・・・・・・」


「深い!深すぎる!儂も負けてはおれん!」


「ちなみに俺は尻道という冥府魔道も歩む求道者でもある」


「な!尻までも!兄貴はどこまで性欲にその身を捧げているというんだ!?」


「さぁケンちゃん、いらっしゃい。戦いに疲れた戦士にひと時の安らぎを」


「おっぱーい!」


「・・・・・・なあ、こいつらいよいよどうしようもないぞ」


「さ、さすがケン殿!その愚直な姿勢があなたの強さの秘訣なんですね!」


「くそ!こいつもか!こんなのばかりか!!」


「・・・・・・本当にどうしましょうか。事後処理だってたくさんあるというのに・・・・・・」


アンナが嘆いているとそこに一筋の光明が差し込んだ。それは無明の闇を照らす救いの光だった。


「ッ!?・・・・・・受付嬢!カトレア、さんといったな」


「ええ、アンナさん。心を強く持ちましょう、お互いに・・・・・・」


 ふたりは固く手を結んだ。







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