コダキタ 第二話 「見ぬが花」
人は自分にとって都合の悪い事を必至に忘れようとする。
放課後 好意に狩られた僕は1枚の手紙を書いた。
あのゴーストガールに周囲の目避けつつ話しかけてみようという作戦である。
僕の浮気ではなく、正気を疑っていた七歌には花中先輩の供養がしたいと説明した。
「早く帰ろうよ。」
夕焼けに包まれるコダキタを後にした。
一人の男が足を組みながら野菜の直売所の前にあるバス停の前にもたれかかっていた。同じクラスの祐介である。
「おい、待てよお前疲れてないか。」
「いや、七歌のおかげでいつも元気だよ。」
「いや、そうじゃねえよ!何か霊的にやばいもんに近づいてねえかって。まあ幽霊なんて存在しないけど。」
「そういうの信じてないわ。無宗教なもんで。」
「ん、やっぱり何か心当たりあるのか?」
「朝殺された花中さんを見かけたから、供養しようと思ってさ。」
「あーお前も同じ口かあ、実はな俺も小平駅の近くで見かけてそれをお前がみつめてたからな。心配なんで忠告しようとしたらさ、教室でずっとイチャイチャしてたから悪いと思ってここで張ってたんだよ。」
「心配してくれてありがとう♡」
「お、そうだな。ところで供養って具体的に何するの?」
「手紙を渡そうと思って。」
「変わってるな。」
ずっと長話をしていて存在をすっかり忘れていた七歌がここですかさず言う。
「ホレチカが考えたんだよね。」
よく考えてみると確かにださい。やっぱり渡すのはやめとこうか。それよりもとっとこ2人の時間を楽しみたい。
「俺もついて行ったらだめかな?」
「だめ。」
「イヤ。」
「じゃあこれ持って。何かあったら地面に落としてね。」
「もしかして祐介ってそういうの信じてる人なの?」
彼女が僕の言いたいことを代弁してくれたが、気持ちは嬉しいのでもらっておいた。
駅の近くに行くとやっぱり居る。
相変わらず長い髪が綺麗だ。
「やっぱり出たか。」
後ろからは祐介が出た。
あの七歌が「祐介刺すぞ。」と忠告。
彼女のほうがゴーストガールより怖い。
第三話 治にいて乱を忘れず。 成仏作戦