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残念、それは呪われている▼

「あいつはセクトハンプ。二回連続で同じ攻撃するとダメージを無効にする敵だ。だから違う攻撃でやるか、一発重いのを…」


「〈エアハンマー〉」


「知ってた」



「あいつはシルトマジー。一緒に出ている奴とは逆に生半可な魔法は全て弱体、無効に「<局所化><加速>《エアハンマー》」するはずの魔法使いキラーなんだけどなあ」


「あんなのより強力な無効化持つ奴なんてゴロゴロいるわよ。ほら、次行くわよ次」


「ですよねー」








「そうじゃないだろ…!」



この遺跡に入った時にした宣言通りに突き進み、最後の部屋に続く廊下で俺はがっくりと膝をついて頭を抱えた。


いくら相方が魔王の娘だからと言って、原則入った者の起こしたアクションに有利な魔物が出てくる遺跡をすんなり攻略しすぎだ。


これじゃあ遺跡を攻略しているというより、蹂躙しているという表現の方があってるぞおい。



「なによ急に座り込んだりして。気分悪いのなら宿まで送るわよ?」


「気遣いありがとう。だけどお前ひとりにしたら保護者どもになに言われるか分かったもんじゃねえし、準備万端と言いたげに光る杖をこっちに向けなくていいぞ」



気遣うような表情で向けられたデスルーラ用の杖を押し戻しながら、気力を振り絞って立ち上がる。


この先はモンスターが湧く条件が分かっておらず、今のところ安全なのではないかと言われる部屋である。


つまるところ、俺たちが新たな条件を偶然見つけるまで敵が出てくることはなく、前の部屋が実質最後という事だ。


なのにこのヌルゲー。さっきも的あてみたいで楽しいと言って、空中を拘束で飛び回る蟲系モンスターが十数回蜂の巣になったりしてたし、もはやモンスターが哀れである。



「次は最後の部屋だ。まあ、敵はいないけどな」


「何よ、面白くないわね。最後なんだからどでかいボスとかいないのかしら」


「残念ながらそんな物はないんだよ」



やる気満々のクラリアに肩を落としながら答えて、傍らに書かれた文字を読むことなく中に入る。


今までよりいくらか大きな部屋の奥には、当時は立派であったと思われる所々が破損し苔むした祭壇と、更に奥には四つの柱に囲まれぼんやりと蒼く光る水面があった。


その光景にランタンを掲げていた俺の隣でクラリアが感嘆の声を上げた。



「凄い光景ね。これ見るためなら毎日来てもいいかも」


「それなら行き帰りにあのクソ長い洞窟行かなきゃだけどな」


「単なる例えよ、分からない奴ね。それよりさっきから何やってんのよ」


「お目当ての物をね。お、あったあった」



適当に返しながらそこかしこを照らし、目当ての物を探し当てたのでジト目で睨まれながらもそれに近づいていく。


壁にもたれ掛かるようにして倒れているそれは、3メートルほどの大きさを除けば錆びた騎士の鎧と剣と言えるものだ。


これを着て敵味方入り乱れる戦場に立ってみたいと思うが、片腕がなくなり足が半ばから砕けているため無理だろう。まあそれ以前に着て動けるかという問題があるのだが。


事前情報にあったロボットかと言われると首を横に振らざるおえないが、これはこれでロマンがある代物なのでこの部屋に入る前と違ってテンションが上がる。



「それ、随分と悪趣味ね」


「こんなロマンがありそうな鎧のどこが悪趣味ってんだよ。これ着て戦ったらさぞ爽快だろうに、壊れてるのが残念だよ全く」


「私が言ったのは鎧本体じゃなくてその中に描いてある魔法陣のことよ」



いつの間にか隣に来ていたクラリアに水を差され、内心毒づきながら胴体の前面にぽっかりと空いた穴の中を照らす。


照らされた鎧の内側には一部が擦れて見えないが、線と文字が複雑に絡み合ってできた魔法陣がびっしりと描かれていた。


そういうものを読み解くことができない自分はこれを使って動けるようにしてたのだろうかとしか思わないが、意味が分かるらしいクラリアは醜悪なものでも見る様に眉を顰めた。



「呆れた。人体のリミッター解除、痛覚や理性を消し去る催眠、果てには着用者の全魔力を使って自爆するのもあるじゃない」


「何それ怖い。完璧な状態だったとしても試しに着用とかできないじゃん」



まるで狂戦士の甲冑じゃないかと言いたくなるほど酷い機能のオンパレードである。これはおいそれと着れるものではないということか。


しかしそんな物騒なものがあるとは過去に何があったのか非常に気になる所だ。ゲーム的に考えればこいつを使わざる負えない何かを封じていて、条件を満たせば現れるみたいなことを仕込んでいそうなのだが。



「分かってるだろうけどあちこち破損してるし、肝心の魔法陣も擦れて使えないから誰かが直さない限り着ても無駄よ。まあ、直せる人がいたとしてもこの機能を見ればやろうと思うわけないけど」


「俺としては色々な機能をカットして直してほしいものだがね。自爆のところがなければ決戦兵器として使えそうじゃん」


「これのリミッター解除、使ったら数日動けなくなるレベルだけどいいのかしら?」


「はっきりとしたデメリットがある強化ってロマンがあって好きだぞ俺は」



呆れたようにこちらに視線を向けるクラリアにケラケラと笑って返している時、背後からバシャりという音が聞こえる。


咄嗟に剣を引き抜き反応が遅れているクラリアを守る様に前進し、空いた手でランタンを音がした方へかざす。



「なんだプレイヤーか。驚かせやがって」


「え、ええ!? 何なのよいきなり!」


「おうコラやめーや」



照らし出された先で奥にあった水面から這い出てきたのか水滴を垂らしながら何かを小脇に箱を抱えた人影が見え、それがプレイヤーと分かりホッとして力を抜いた。


後ろで今更ながら反応して構えられた杖を剣で押し下げ、苦笑いのまま人影に視線を向けた。



「なああんた、水中で何やってたんだ」


「すまないっ!」


「は?」



人と分かれば別に警戒する必要はないと話しかけるが、相手側が険しい表情でこちらに走ってくるのを見て思わず間抜けな声を出す。


見た感じ武器を持っているように見えないが、その表情とこちらと必死さを見て何かがあると思い警告の意味も込めもう一度剣を前に出す。


そんな俺の行動を見ても相手は止まらず、箱を抱えていない方の手で後ろを指差して言った。



「少しだけでいい、時間を稼いでくれ!」



その瞬間奥にあった水面が爆発したかのように水を巻き上げ、もう一つの人影が飛び出した。

更新が大幅に遅れているのは主にモ○ハンのせいです。全てあいつが悪い(暴論)

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