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戦闘以外もあるもので

「ふう、これくらいでいいかな」



一人で昨日の猿型モンスター(ドロップアイテムからフォレストモンキーと判明)の群れ10匹3セットと熊(フォレストベアという名前)3セットを狩って掻いてもいない額の汗を拭う。

ちなみにフォレストモンキーからは爪や毛皮、肉などが。フォレストベアからは毛皮と肉と爪と牙というありきたりなドロップアイテム+手という際物が出てきた。肉以外は使わないので売るかハイルに全譲渡しようかと思っている。


一度も街に帰らなかったせいで一杯のインベントリからついさっき覚えていた影魔法、〈影収(かげおさめ)〉で自分の影の中にぽいぽいとアイテムを投げ込んでいった。

このもう一つのインベントリというべき魔法で、入れたアイテムの重量が0になるので重量超過もなく、アイテムの取り逃しがなくなるので使い勝手がすこぶるいい。ちょうど狩りに来ていたパーティーの視線は気にしちゃダメだろう。



トレインしない様に隠蔽と隠密を併用した高コスト技を使い、MPポーションを使いながら〈影針〉を使用して手早く森を抜けて街に戻る。

フィールドと街を分ける門に入れば相変わらずの活気に包まれる中央通りを横目に、一つ外れた通りをしばらく歩いて俺が昨日ログアウトするときに使った宿に入って借りた部屋で料理をするためにインベントリから料理セットを取り出した。



ちょうどいいから説明すると、このゲームの生産は主に三種類の方法がある。

まず第一に店で売られている各種レシピで作る方法。これはレシピに載っている材料と道具さえあれば作れるので低いうちはLv上げには適している。しかし店売りのレシピではある程度行けば誰でも作れるし、数が限られてしまう。


第二の方法はこのレシピに手を加えること。例えば銅素材を使う所を鉄に変えたり、材料を増やしてみたりと多種多様だ。この改造を使えばほとんどの道具類はカバーできるので片手間にやる人間はこの二つのどちらかだ。


最後の方法、一から作り上げるorレシピの原型をとどめないような魔改造である。自由度の高いこのゲームならではの方法だが普通では考えられないようものを作ろうとなると設計や使う材料の配分に悩み、品質の低下などの原因で心が折れる。しかしこの苦労を乗り越えて作られたものは本当に自分に合った特別なものができるしスキルの上昇率が高い!ってハイルが言ってた。



「ではレッツクッキング!」



まずは材料はフォレストベアの肉をあらかじめ買ってあるレシピでステーキを作る。その結果


フォレストベアのステーキ

フォレストベアの肉を焼いた物。焼き方が甘くやや硬い。


凄く解りやすいのができた。というかまんまで逆にどう突っ込めばいいのか困る代物だ。ただ俺のスキルが足りないのか失敗品なのは確かだ


切りわけるためにナイフを入れるが全く切れる気配がない。しばし格闘したのち、諦めてフォークを突き立てて直接噛り付いて噛み千切ると獣臭い香りと血が混じった味をゴムを噛んだかのような感触と共に伝えてくる。


味が完璧に再現されていることに驚き、そしてそのあまりの不味さに驚き、ステータス画面を見て空腹度の回復具合をみて三度驚く。

なんとあの初期のパンの2倍近くは回復している。ただ肉を焼いただけでここまで回復するとは。流石序盤では強敵扱いされるであろう熊素材でできたステーキだ。


味は不味いけど性能は今にしてみれば過剰すぎるほどある。味は不味いけど。これならいつか成功した暁に露店でも作って売りさばこうか。



「ちょっとあんた、中で何やってんだい!」



などと考えていたらドンドンと部屋の扉を叩く音と、その向こうから女将さんの怒鳴り声がしたのではいはい、と軽く返事をして扉を開けると横に肉付きのいい女性が腰に手を当てて顔を真っ赤にしてこちらを睨みつけていた。



「あんた、窓から煙出すほどの火遊びを宿の中でやるんじゃないよ!」


「料理してたら煙が出ました不可抗力なので許してください」



そのリアルのおふくろもかくやという迫力に負けて頭を下げて謝罪する。


そういやこのゲームのNPCって高性能AI搭載とか公式が言ってたような。これで現来のゲームより会話などができ更に現実的な世界を味わえます、というコミュ障には辛い仕様だったな。



「悪いと思っているならいいんだよ。ただしもうしないこと」


「えー。それだと街中で焼肉するとかシュールな光景さらすことになるんですけど」


「だったらうちのキッチン使いな。話は通しといてあげるから」



不満げに言ったらなんとこの宿の設備を貸してくれると太っ腹なことを言ってくれましたよこの女将。…外見的にも太っ腹だなそういや。



「何か言ったかい?」


「いや、何にも言ってませんよ?」


「そうかい。何か失礼なことが言った気がしたんだけどねえ」


「それよりさっそく使わせてもらってもいいですかね」


「いいよ。ついてきな」



どうやら高性能なAIは心の中も読めるようです。怖いのでしばらくは大人しく料理スキルを上げておこうと思う。

















「にいちゃん、野菜炒め追加だ!」


「ちくしょー騙された!」



フライパンからできた料理を盛り付けている最中に従業員からの追加ですぐに野菜を切り始める。


しばらくスキル上げをやっていたら混み始めた宿屋の厨房で戦力として数えられて夜中まで料理を作る羽目になったのだ。お蔭でLvは上がったけど何故か釈然としない理由は解り切っていた。

スキルLvが上がりやすいのは適正Lvの遥か上の相手と戦っているからです。


剣Lv21 回避Lv17 隠密Lv12 料理Lv16 投擲Lv7 影魔法Lv15 魔法熟練Lv14 隠蔽Lv8 罠Lv5 盗賊の技術Lv9

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