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到着と説明

「もうこの洞窟から出たいのだけど」



しばらく歩いていたが、クラリアが明らかな退屈を含ませた声音で言って足を止める。置いていくわけにもいかず、必然的に俺も止まって肩を竦めた。



「なんだ、何時まで続くのかわからなくて怖くなったのか?」


「違うわよ。貴方が何かへまをやらかして面白くなると思ったら全くないから飽きてきてるの」


「洞窟でへまやらかすって貝でも踏めってか」



しれっとひどいことを言ってくるんだなこいつは。グロットシェイルがいると分かってから俺の後を恐る恐るくっついてくることがなかったら完璧な言動だ。俺としては腕に引っ付いてもらっても構わんのだがね。


まあ飽きてきているのはこっちも同意見だ。思ったより広かったここは景色も変わらないし、なによりどんどんと湿度が上がっている気がする。


だが帰る前に何か発見したいし、蒼く輝く水面とやらも見てみたいからここで戻るのは論外だ。それに―



「大丈夫さ。目的地が見えてきたしな」



ランタンを掲げればぼんやりとした光の中で人工物が浮かび上がる。情報通りなら、あれが目的地のひとつである遺跡なんだろう。


早く行きたいという気持ちがあるが、どんなに鈍感でも近づくなという意識が感じられるほど地面の盛り上がりが増えている。ここで焦って踏めばデスルーラでもう一回遊べるドンとなるので、さっき以上に慎重に進んでいく。



「よーし到着。長かった長かった」


「ほんとよ。その長い時間かけた意味はあるんでしょうね?」


「多分あるんじゃねえの。色々なところでぜひどうぞって言われてたし。まあ少なくともこの光景を見れたしな」



グロットシェイルのせいで目の前にあるのに安全のために回り道しないといけなかったので、クラリアが苛立ちゲージが上がって言葉に棘が…っていつも通りか。



「どこがよどこが。単に朽ちてるだけの建物じゃない」



風化のせいでところどころ崩壊している壁や、ヒビや苔が生えながらもしっかりと立つ柱がぼんやりと浮かび上がる所とかが普段見れそうにないものが見れたとお得な感じがするんだよな。


俺は遺跡を照らしながらそう答えたが、望んでいた答えではなかったようで依然として表情を変わらない。



「ま、そいつはいいじゃないか。それより中に入ってみようぜ。二足歩行の機械とかあるらしいからさ、な」


「なんでそこでいきなりテンション上がるのよ貴方…」


「二足歩行ロボに廃墟ときたら男はテンション上がるもんだぜ。かっこよかったらな」



その不機嫌そうな表情を吹き飛ばす様に笑い、意気揚々と黒い石でできた半開きの扉から中にすべりこむ。


それぞれの辺に次の部屋への通路がある正方形の部屋で、床には何かのかけらや砕けた瓦礫が散乱している。

部屋の中は相変わらず暗いが、壁には何回も使われて申し訳程度の短さになっている松明が掛かっているのでそれに火を点ければいいだろう。


続いて入ってきたクラリアが埃っぽい空気に顔を顰めて杖を取りだし、小言で何かを呟いて杖の宝石から風を吹かせ部屋の埃を吹き飛ばした。



「これでマシになったわね。マシになった程度だけど」


「おお、ありがとよ。とりあえずモンスターの出ないここで、この遺跡という名のダンジョンの注意点を教えよう」



埃が吹き飛ばしてくれたことにお礼を言って、安全なうちにこの特殊なダンジョンについて説明をすることにした。



「まずこのダンジョンはそれぞれ正方形の部屋が、上から見ると3×3に配置されてんだ。部屋からはそれぞれ隣り合った部屋に移動できるが、中央の部屋からは左右とこの入口の部屋にしか来れないから注意だ」


「来たことないはずなのに随分と詳しいのね。きちんと予習済みってこと?」


「ああ、先人達の知恵ってやつさ」



得意そうに指を立てて、この世界に来る前に調べた情報をすらすらと語っていく。


自分で調査したことじゃないのに得意げにするなって? 簡単だからって、それを調べたのは俺の力なんだから良いじゃないか。



「そしてこの遺跡の特徴は、今の状態ではモンスターが一切いないってことだ」


「今の状態でってことは何かアクションをすれば出てくるってことかしら?」


「そうだ。部屋それぞれに決められた条件があって、それを満たすと晴れてモンスターがスポーンするってこった」



俺の引っかかりある物言いに察したクラリアに、ニヤニヤと楽しそうに笑いながら言った。

剣Lv36 回避Lv39 隠密Lv33 料理Lv26 投擲Lv22 影魔法Lv25 魔法熟練Lv28 隠蔽Lv26 罠Lv11 盗賊の技術Lv39

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ぎりぎりお年玉と言い張れる時間

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