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目的の海蝕洞がある砂浜は、船が多く発着する港を少し過ぎた奥まったところにあった。


荷物を乗せた船やそれを下ろしたりする人員や商人たちがいる港の喧騒はここではほとんど聞こえず、波の音と時折通るプレイヤーがいるだけだった。



「んー、結構いいなここ。考え事する時とかによさそうだ」


「そんな風に考え事するような人間じゃないでしょう貴方は」



現実では見ることは困難であろうコバルトブルーの海を見つめて背伸びをしながら言うと、ついてきたクラリアがそう言ってくるが、結構俺も考えてんだぜ?


そう言ってやりたかったが海から目を離すとクラリアはすでに、砂浜の突当りにある崖にある横に大きく平均身長の人がぎりぎり立って通れるほどの穴に向かっていたのでのんびりと追いかけた。



「短い付き合いでそこまで見抜くとはやはり天才か…」


「天才なのは決まってるでしょ。それよりここに来たってことは海蝕洞行くつもりよね、あんなところで何をするのよ」


「別に特別何かすることがあるわけじゃねえよ。ちょっくら見に行くだけだ」



歩幅の違いでただ歩くだけでも追いつくことができ、すぐにクラリアの隣に並ぶことができた。


ちらりとこちらを見た後に聞いてきたのでそう答えると、疑わしそうな視線に変わった。



「本当にそれだけかしら? その割に随分と一人で行動したがってたようだけど」


「お前が何らかの問題を起こしそうだからに決まってんだろ。暴れたりとか勝手にどっか行ったりとか」


「失礼ね、時と場所を考えて暴れるわよ。弱い奴と戦ってもつまらないもの」



冗談ではなく本気で答えているんだよなこれ。どんな教育をしたのか親の顔を見てみたい…ってこいつの親はセティンか。ならこれも納得だな。



「…何か失礼なこと考えてないかしら?」


「さあ? 何のことやら。それより滑りやすいから転ぶなよ」


「あら、珍しく優しいじゃない。裏があるのは見え見えだけど」


「よくお分かりで。そういうわけで転ぶときには俺を掴むなよ」



いい教育だろうと脳内で豪快に笑っているセティンを振り払い、一応注意しながら頭を天井にぶつけない様に若干屈みながら洞窟に入っていく。


入口通り過ぎて暗くなったところで閉じていた目を開けると、先ほどまで目をつぶっていた方だけ視界が明るくなり入口とは違い広くなっている洞窟内がぼんやりと見え、現実と変わらぬその現象に一人頷いた。



「これホントに痛覚とかあったら現実と分らねえな」


「何一人で納得してんのよ。こっちは暗くて見えないんだけど」


「へいへい。こんなこともあろうかとー」



半分だけが薄暗い視界でインベントリを探り、買っておいた魔法の力で火を起こせるというランタンの火を灯した。


きちんとした灯りを確保したところで再度中を確認すると、水平に広がるはずの海蝕洞ではありえない高くなった天井や松明を置いていたのであろう黒ずんだ窪みなど人が手を入れた跡があった。


つまるところ、ここはそれほどの労力を使ってまでのことをする意味があったということだ。さらに奥に遺跡があることを考えると…



「ほら、こんな入口で上ばっかり見てないで。貴方が居ないとよく見えないじゃない」



そこまで考えていたがその言葉で思考を辞めて前を向いた。


俺を呼んだクラリアは少し先に行ってこちらを睨み付けているので、聞こえない様に小さくつぶやいた。



「…言い出しっぺの俺より楽しみにしてんのな。まるで裏山に初めて来た子供(ガキ)みてえだ」


「誰がガキよ!ただ貴方がもたもたしてたのを急かしただけ!」



なるべく聞こえない様にしたはずだったのだが、どうやら聞こえていたようで指をこちらに突き付けてそう言ってきた。


自分では弁護してるつもりなんだろうが、急かす理由を言わなきゃそれも無駄ってやつだ。



「へいへい、まあ確かに入口に留まってたら冒険者らしくねえもんな。お前が楽しみだからじゃねえよな」


「にやけながら言ってるからフォローになってないわよ…!」


「はっはっは、俺は気にしてないから大丈夫大丈夫」


「だったらその顔をどうにかしなさいっての」



背負っていた杖を構えたクラリアに笑いながら舌を出して洞窟の中に後ろ向きで走り出す。


粒子の細かい砂のため足場は悪く走りづらいが、流石にクラリアに追いつかれるほど速度が落ちるわけじゃない。



「そのにやけ顔を変えてあげるから待ちなさい!


「誰が待ってやるかってーの。悔しかったら捕まえてみな」


「ちょっと本当に待ちなさいってば! ここ走りづらいんだからあっ!?」


「あっ」



俺に追いつくために必死の表情で走っていたクラリアが、自分の持つ杖に足を引っかけて転び地面に顔から突っ込び間抜けな声を出した。


さっきから言っていた足場のせいでなく、しかも十数歩しか走ってないのに転ぶのは恥ずかしいだろう。


流石にそんな人に追い打ちをするほど外道ではないので、座り込んで下を向いたまま肩を震わせるクラリアに近づいてやさしく肩を叩いた。



「別にお前が自分が持ってた杖に躓いたところなんて見てないから元気出せ、な?」


「…しっかり見てんじゃないのよこのっ!」



顔を赤くし照れ隠しで振るわれた杖で同じように俺も顔に砂をつける羽目になった。

剣Lv36 回避Lv39 隠密Lv33 料理Lv26 投擲Lv22 影魔法Lv25 魔法熟練Lv28 隠蔽Lv26 罠Lv11 盗賊の技術Lv37


更新遅くてすいません。どうにもポケモンが面白くて…

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