殴りこみ上等
森を抜けた先は森だった。何を言ってるかわからないと思うがガチでそうとしか言いようがない。
さっきまではなんといえばいいのか、さっきまで居た森とは雰囲気が違う。す○屋と吉○家ぐらい…って違いよく分からんか。
まあここ最近の狩場、街の近くの森で間違いないだろう。熊と猿もちょくちょく見えるし。
何とか速度に慣れ、ようやく余裕が出てきたので顔を隠すためにフードを被りながらシロの頭を軽く叩く。
「おいこら、下ろせよ。お前じゃ街に入れないだろおぉぉぉ!?」
なぜか更に速度を上げられ面白語尾を少ないながら狩りに来ていた奴らに晒しながら、周りが線に見えるほどの速度で移動し続ける。
そんな速度でいたらすぐに街を囲う城壁が見るのは当たり前だ。そして流石に速度を落とす、かと思っていた時期が俺にもありました。
「いい加減に止まれって。門番に見つかるぞ」
全く止まる気配がなく、飛び降りようにも下手な車より早く走るシロから落ちる勇気もなくついに街の門を守る兵士たちがこちらを見つけられる距離まで近づいた。
最初にこちらに気づいた兵士は先ほどまでしていた欠伸が嘘のように、周りの兵士に向けて何かを指示しているのが分かる。
そして大まかながら兵士の必死な顔が分かるころには門は閉じ始め、プレイヤーと思わしき数人と一緒に全員が武器をこちらに向けて構えていた。超優秀じゃんこいつら。
「見事に警戒されてんじゃねえか」
セティンが何か手回ししてるからこんなことしたと思ったらそうでもないらしい…と思ったけど城壁の上を確認すると、警鐘を鳴らしに来た街の兵士を止めてる奴がいるから最低限はしてるのか。
「だったらちゃんと末端まで連絡しろよばーか」
思わずそう呟くが、セティンがそうしたらハプニングがなくて面白くないだろうと言うのが容易に想像できる。
だがここに居ない誰かさんのせいで俺たちは敵意を向けられている訳であって、兵士を飛び越えるとしても門はシロの巨体をすべりこませるのが困難なほどに閉じているのであって。
「…あーあ、敵対したくはなかったんだけどねえ」
恐らく、少しとはいえ街の兵士やプレイヤーの皆さんと戦うと思うと憂鬱になるが仕方ないと袖に潜ませたナイフに意識を向ける。
シロだってもう少しは考えてると思ったんだけどなあ、セティンに何かそそのかされたのだろうか。じゃないとこんな素っ頓狂な行動をするとは思えないしさ。
「アオォーン!」
「全員衝撃に備えろ! 必ず奴を止めるんだ!」
しかしそんな予想や憂鬱さえも吹き飛ばすようにシロが吠え、体全体に力を入れ、文字通り空を駆けた。
「は」
スローになった視界で見えた兵士達は驚きのあまり情けない表情をしていたが、白銀の毛をかすかに発光させたシロの首にしがみ付いていた俺はどうだったのだろうか。
後日その場に居合わせたプレイヤーが背中に何者かを乗せた巨狼は白銀に光り、空気で作った階段を駆け上がるようにして城壁を越えていったと語ったそうだ。
そして背中の何者かこと俺は吐息のような言葉にならない言葉を漏らし、だんだんと事態を把握して表情に喜色を滲ませていった。
「マジかよシロ。お前飛べるのか! すげえじゃん!」
俺が影針の補助を受けてやる紛いものとは違う、空を飛ぶという本当の魔法のようなものを体験し子供のように喜んでしまう。
城壁の上に着地し、屋根伝いに走り始めたシロの首に強く抱きつきながら上機嫌に笑う。
「よっしゃあ! このまま表彰式に殴り込みだ!」
「ガウッ」
剣Lv36 回避Lv37 隠密Lv30 料理Lv26 投擲Lv21 影魔法Lv24 魔法熟練Lv28 隠蔽Lv24 罠Lv11 盗賊の技術Lv31
初めてアクセス見たら結構あって驚いた(小並感)




