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上に立つ者は愚者か賢者か

はたまた変人か

「あいつ見つけたらとり一発殴る」



いつも通りの屁理屈理屈で逃げようと思ったが女将さんには勝てず、結局食事代としてはちょっと高い金額を支払いましたとも。

金には困ってないがそれとこれとは別で、支払わないなら食うなと説教かましていいくらいだ。


しかし居ない奴のことをぶつぶつ言ってても仕方ないから気を切り替えて、確認のためと腕輪の能力を使い白銀狼がいる場所に跳ぶ。


しかしいつもだったらどこかしらに寝そべっていたいるはずなのに、今日に限ってはどこにもいなかった。



「…ああ言ったけど大丈夫だよな」



もしかしたら討伐したけど目立ちたくないから誰にも言ってないなんて事ではないがと不安になるが、探索しようにもここは森の中に入れない。それでも何かないかと見回せば違和感に気づいた。


芝と茂った木という風景に何かが追加されたわけじゃない。だが、一度でもここに来たことがある人間なら分かるだろう。



「枯れ木とぬかるんだ地面がない」



あれだけ増えていた枯れ木と地面の半分を占めていたぬかるみがなくなって普通の森の広場みたいな雰囲気を醸し出している。


半分とはいえ昨日までは生命さえ感じさせなかったのに白銀狼が居なくなってこうなってるとは不安が加速される。気づかなきゃよかった。



「あーもう、どうしろってんだ!」



苛立ちで頭をかきむしりながら叫んでも当たり前のように誰も答えてくれない。


しかしここで叫んでいても無駄だ。一度街に戻って役場の人間に聞いてみようと腕輪に手を掛けたところで森の中から叫びながら何かが飛び出してきた。



「はっはー! 悩んでいるようだな少年!」



そんなことをのたまって来やがったのは腰まである蒼みがかった銀の髪を持つ25歳前後に見える女性だ。黙っていれば深窓の令嬢とでも言えそうなのだが、今の第一声でいろいろ台無しになってるような気がする。



「…悩んでいるようだな少年!」


「いや、聞こえなかったわけじゃねえから。単に馬鹿が来たから対応に悩んでいただけだ」


「何気に酷いなっ!? でもその素直な性格はよしだ!」



そう言ってこちらに近づいてきてバシバシと背中を叩いてくる。その見た目からすると真逆の行為はギャップ萌えとでも言えばいいのか…って違うだろドアホ。


しかしこいつは誰なのか。まあプレイヤーにはこの隔離されたフィールドの、立ち入り不可な森から出てきたんだから白銀狼クラスの重要なNPCと考えるのが妥当だ。

白銀狼が擬人化したって線はありえない。あいつが擬人化したとしても髪色違うし性格はクーデレだろう、絶対にクーデレだ異論は認めん。


そこ考えたところ思考をカット、どうせ推測にしかならないから聞けばいいやと口を開く。



「で、あんた誰だ。俺は知らないやつに相談を持ち掛けないたちでね」


「ん。確かにそれは話に聞いてた少年らしいな。私はセティン、魔族の上に立つ王女をやっている」


「…………さて、帰るか」


「待て待て待て。さもこんな狂人に付き合ってられるか俺は街に戻るぞ、なんて死にそうなフラグを立てるんじゃない」



てめえが狂ってるって思ってんじゃなくて面倒事に巻き込まれそうだからだよ、と心の中で思いながらも腕輪に触り街に跳ぼうとした。


いつもだったらすぐに跳ぶはずなのだが、未だに目の前で女性がニヤニヤ笑っている。その表情を見て何度も試すなんてせずに諦めた。



「で、魔王さんが何の用だ。俺はちょっと探してる奴がいるからさっさと帰りたいんだが」


「なんだ、悩みとはそんなことか少年。その探し人とはもしかして白銀の毛を持つ者かな?」


「ああ。ついでに四足歩行で鋭い牙と爪持ってる。あと割と食いしん坊だ」


「なぜ普通に返す。そこはなんでお前がそんなことを知っているんだ!と逆上するところだろう」


「めんどい」


「まさか四文字で返してくるとは驚きだぞ少年」



そう言われるがあることがわかったせいで俺は本当にやる気がなくなったので目だけで先を促すと、セティンは胸を張って言った。



「ならば少年の代わりに毛皮を納品したのが私だという情報はどうだ!」


「なあセティン。お前はひとつ最大のミスを犯している」



こいつはどうして俺を怒らせたいのかわからない。だがそれを無駄だと知らせるために知らせてやることがある。


立てた指をついっと腰のあたりを、正確には服についている光り輝く白銀の毛を指差して言った。



「その毛、白銀狼のだろ? しかも最近ついたやつ」


「腰についている毛に気づくとは…さては少年、私の体を舐めまわす様に見ていたな?」


「ファッキュー」


「図星だからと言って六文字で返すのはいけないぞ少年」


「つか白銀狼はどこ行ったんだよ。お前さっきまで一緒だったんだろ」



こういう手合いには無視が一番有効だ。だから表情を変えずにそう言った。断じて図星だからじゃないからな。

剣Lv36 回避Lv37 隠密Lv30 料理Lv26 投擲Lv21 影魔法Lv24 魔法熟練Lv28 隠蔽Lv24 罠Lv11 盗賊の技術Lv31


よし、そこそこ早く更新できた!

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