いちおう宣伝もしてます
木の上から飛び降り、左手に持ったカランビットを猿の首に当てるように体重をかけ切り裂く。
高くなったスキルや体重をかけた弱点への攻撃での補正、攻撃力の高い武器のおかげでその一撃でポリゴンへと変わる。
そのまま左足を軸に回転、近づいてきていた違う猿に回し蹴りで体勢を崩して右手のボウイナイフを顎下に突き刺して倒した。
「次はあっち!」
盗賊の技術でどこに敵がいるか確認してすぐにそちらに<影針>を使い加速してすぐに接敵、通り過ぎるようにして2匹で争いあっていた熊のうち一匹をボウイナイフで突いて戦闘を開始する。そして数分後には倒して飛び回る。
これをMPかHPなどのゲーム内の事情か、もしくは俺自身の精神力が持つまで続けて街に帰り納品時に少し残した肉を持って巨狼に料理を作るのが最近の日課になっている。
ただ移動中を人に見られたせいでその挙動から初期装備の奴だとか言われてたまに話しかけられるが、止まる気もないし顔もフードを被ってるから特定されないので何かあるわけでもない。
「止まるっすよそこの人」
「ごめん今急いでる」
今みたく巨狼のところで見たパーティーが絡んでくるが用件を一切聞かず森の奥に行くなどして逃げている。この森が大きくて助かります。
それでも奥に行き過ぎると納品できる皮も肉も落とさないジャイアントスパイダーが出てくるからめんどくさいけどな。
「すげえ…、あの黒いのって何だろう…」
「それにあいつらを軽く蹴散らしてるけどどれだけスキルレベル高いんだろうね…。他に行けばいいのに…」
それにしても森の浅いところを往復しまくってたからイベント初日に比べて見物人も随分と増えてきた。
話しかけても無駄だというのが分かってるのか遠巻きに見ているだけなので基本的には無視してるけど気が向いた時だけ話しかけている。
「けっ、どうせ俺はこんなことできるって自慢したいだけに決まってるだろ」
「いんや。単にここが一番狩りやすいからやってるだけだぜ?」
「うわっ!」
「ハハハッ、ナイスリアクション。それはともかくこれどうぞ」
ちょうど見物していたパーティの頭上の枝に飛び乗って声を掛けたら予想以上に驚かれた。
あまりにも驚いたのがおかしくて笑ってしまったが、本来の目的であるフリードの店のポスターもどきを手渡してまた狩りに戻る。
ポスターを作ったのは俺とハイルで、それをフリードと共にあーでもないこーでもないと改良したものだ。それをこんなふうに渡しているので少しずつだが客は増えているらしい。
しかしこのイベントの目標、上位に入って宣伝は出来そうにない。
「なんで個人ないのかねえ…」
なんとこのイベント、団体単位でのポイント加算で個人評価はない。
もちろん賞品は多くならないから山分けになるが、それでもソロよりも狩りの効率がよくなるしほとんどの奴らはパーティーでやってるわけでして。
そんな状態でもなんとか食いつこうと努力してるが俺の順位は三桁前半でイベントは今日で最終日。予算いっぱい買ったMPポーションも底をつきそうだしこれは二桁にすら行けそうにないな。
溜息をついて目の前の熊を処理、これから先はどうやって宣伝するかを考えていた。
「あ、これうめえ」
そのあと制限時間のかなり前に狩りを切り上げて腕輪の機能を使い巨狼のところに行くことで現実から目を逸らしていた。
もうどうにでもなーれと狩った肉の半数を納品せずにネットで集めた知識使って料理して一緒に食ってるが自分でも思っている以上にこれはうまい。現実でもやろうかなーと思ったけど今はそれから逃げたいので思考をカットして飯と巨狼に集中した。
その後はもはや恒例である毛の手入れと過度にモフろうとして吹き飛ばされるっていうのを繰り返していた。
「あーあ、イベントもこれで終了か」
モフりたいという欲もなくなり巨狼にもたれ掛かってメニューの時間を見てそう呟いた。
現在時刻21時でイベントは終了。あとは明日まで集計と祭りの準備があるから上位五チームの表彰は明日、祭り開始の18時からだそうだ。
一応プレイ人口と比較すれば3桁は上位っちゃ上位だがその表彰される奴らと比較すると有象無象に分類される。賞品も普通にやってりゃ手に入りそうなものだしな。
「ま、どうでもいいか。ってどうした?」
そう呟くと巨狼がぴくりと耳を動かしたので聞いたが特に反応がなく肩を竦める。
明日現実は日曜日だけどやりたい放題狩りして夜更かし、なんて気分でもない。しばらくぼーっとした後に街に戻りログアウトした。
剣Lv35 回避Lv35 隠密Lv30 料理Lv26 投擲Lv20 影魔法Lv24 魔法熟練Lv28 隠蔽Lv24 罠Lv11 盗賊の技術Lv30
イベントの間はどうしたって? キングクリ○ゾンだよ!




