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ただしどちらとは言ってない

「<トリプルスロー><チャージスロー>」



三本のナイフで逃げる場所を少なくしておき、僅かに間を空けてそこに来た巨狼に強めの一撃を与える。

もちろん他の三人に比べたらダメージソースとしてはクソだが、隙を突いてちょこちょこやってりゃ蓄積されるだろう。


それにこの目的は牽制や動きの制限であり、あくまでパーティーへの援護だからこれでいいはず。その証拠に巨狼に当たる攻撃は増えており、息が荒くなっている。


しかしそれはパーティーの人も同じようで途中で参戦した俺以外はポーションがほぼ底をつき、魔法使いの方もMPが少ないらしい。



「相手もあと少しだから派手に行くわよ!<ファイアボム>」



そう言った魔法使いが広い範囲に炎と爆風をまき散らす威力の高い魔法を唱え、それに当たった巨狼がよろける。


それを好機と両手剣の男がスキルの準備をしながらそちらに走り、俺もそれを見て隠していたナイフを<チャージスロー>を使い投げた。



「えっ…?」



あと少しでスキルを使える距離になるとき、地面に刺さったナイフに括り付けられたロープに足を取られて勢いのまま巨狼の前に倒れた。


そのナイフを投げ、足を引っかけた張本人である俺はロープを引っ張って回収しながらながら言った。



「忠告したのに人の話聞かない人ですね。ちゃんと足元に気を付けないと」


「おまっ、なにして」



最後まで言う前に巨狼の足が男の頭を踏み潰し消えてしまう。


仲間を妨害するという俺の行動に魔法使いは戦闘中だというのに眉を吊り上げてこちらを睨み付けた。



「あなた裏切るつもり!? いくら瀕死と言っても一人で倒せるわけないわよ!」


「…とりあえずそれに関して言いたいことは二つです」



できるだけ苛立たせるように心がけながら回収したナイフを弄び、興味なさげに魔法使いの方に指を立ててゆっくりと言う。



「ひとつ、俺は一回も手を組むなんて言ってない。ふたつ、俺の目的は倒すことじゃない」


「わけがわからない。普通ならあいつを倒すでしょう?」


「話したいけど残念ながら時間がもうないようですね。それではさよなら」



俺と魔法使いが言い合っているうちに巨狼がどうにか阻んでいた鎧の人を突破し、横なぎに前足を振るって魔法使いを吹き飛ばした。


ローブという軽装で耐えれるわけなく木に叩き付けられ、ポリゴンをまき散らしながら消失した。


それを肩を竦めて見送ったあと、手にした武具を構えることなく持っただけの鎧の人に問いかけた。



「さて、最後に残ったみたいだけどどうする? ちなみに武器装備全部外せば耐久力減らさずデスルーラさせてやるぜ」


「…一人で立ち向かうと言ったら?」


「これを見てもやるって言うならどうぞ」



そう言われたのでポーションの入った瓶を揺らしてみせ、近くに来ていた巨狼の方に手を伸ばせばさっさと渡せとばかりに瓶をひったくられて苦笑いをする。


そんなことを知らずに巨狼は器用に蓋を抜いて中身の液体を飲みほし、次の渡せと俺の体を頭で小突いた。



「正直勘弁したいが最後まであがいてみせよう」


「へえ、そうか。まあ一人だけ装備なしで死に戻りしたらかっこつかないしな」


「そうではない。だが説明する必要もないから言わないでおこう」


「そうかい。そんじゃあ俺は黙って見てるからどうぞごゆるりと」



声を聴いても性別を判断できなかったからできれば知りたかったんだが残念だ。せいぜい性格が武人みたいだなーなんて思ったくらいだな。


俺が一歩下がると同時に巨狼が飛びかかり、それをすぐさま大楯で防ぎ逆の手に持った槍での数度の攻防をするが、いくら技術があろうとパーティーで戦って拮抗する実力の相手に一人で勝てるわけもなくあっけなく押し倒され噛み付かれてしまった。


その重装ゆえにすぐには死ななかったがそんなのは気休めでしかなく、少しづつダメージが入っていくし完璧に抑えられているため反撃はできない詰みの状態だ。



「ああそうだ。戻ったらあの魔法使いの人に言っておいてほしいことがあるんだけどさ」



残りのHPが危険状態を示す赤になった時に魔法使いの人に言われたことを思い出して言った。



「普通の思考してるやつがこんな初期防具で森うろつくわけねえだろ。変な考えしてるからこんな行動取ったんだ、ってね」



最後まで言い終えたか言い終えないかで鎧の人のHPはゼロになり砕け散ったのを見て大きく息を吐いた。


この行動は掲示板に晒されてもいい覚悟でやってみたが、今後どうなるだろうか。まあ顔隠してたしそこまで特徴的なことしなかったから平気だろう。それに晒されたところで関係ないしな。


そんな考えをしていたからか、巨狼がさっきまでの仕返しをするべくこちらに頭突きをかましてくるのに気が付かずに10分ほど転げまわる羽目になった。

剣Lv34 回避Lv29 隠密Lv24 料理Lv22 投擲Lv18 影魔法Lv23 魔法熟練Lv26 隠蔽Lv20 罠Lv11 盗賊の技術Lv26


普通に倒すと思った? 残念! (PCを)油断させるだけでした!


感想ありがとうございます。自分はこういう読んでる人を誤解させる文章好きなので今後もこうなると思いますw

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