アップデート直前と直後
「………」
あれから数日間、イベントの準備のために森で熊と猿を狩ってその合間に巨狼とあって餌付けしてぶち殺される毎日を送っていた。
しかしもうスキルレベルがあの森で上昇がかなり遅くなってくるくらい狩ってるが、暗緑の獣珠もドロップほとんどしないし巨狼のほうも飯は食ってくれるが未だに毛皮をきれいにできていない。
そんなこんなでイベント初日、一時間前からヘッドギアを付けたまま布団で胡坐かいて腕組みしたままアップデートが終わる時まで少しも動かない意気で時計を睨み付けている。
「ふーん、発想は人それぞれってとこか」
というのは座って数分たったらやめて掲示板で色々な情報を集めている。今は祭りに来るって言われているお偉いさんの外見予想スレを見て人の欲望の深さを思い知っているところだ。
「縦ロールの強気姫とかはまだいいけど『色白で銀の腰までストレートの髪で外では厳しく方々で恨み買ってる夫に尽くして薄い本のような展開になりそうな薄幸そうな婦人がいい』とかそれお前の願望だろ。しかも具体的過ぎるわ」
ただそいつのせいで具体的に書くという流れになったのかそのあともそんな願望が混じり合った具体的な予想が繰り広げられている。
時計を見ればアップデート終了まで残り20分ほど。どうせ暇だし俺も流れに乗って何か予想でも立ててみようじゃないか。
「んじゃまあレッツ妄想っと」
えーと、適当に髪型とか書いておけば…って予想書き込みテンプレできてる、しかも無駄に項目多いし。まあ使うけど。
「ふー。やっと終わった。こんなに真剣に考えたのは久々だな。時間やばくなったけど」
無駄にクオリティーを高めようとあーだこーだとテンプレに書いては消してを繰り返してようやく掲示板に書き込んだのはアップデート終了間際になっていた。
もう終わったらすぐにインするとかは諦めて水分補給や小腹を満たしてからにすることにした。
結局あとで入るのがめんどくさいから風呂にも入ったから40分ほど過ぎてしまった。まあ待ち合わせしてるわけでもないからいいだろう。
布団に寝転んでヘッドギアの被って電源を入れてゲームの世界へ。いつも通りの宿屋で目覚めて体を起こした。
「やっぱ冒険者少ないな。ほとんどが狩りに行ってる感じかな」
窓から道を見ても前日と違いほとんど人が通っていない。
部屋を出て一階の食堂を見ても女将さんと厨房に一人従業員がいるだけで客がいない。だからかなんとなーく暇そうだ。
「あんたまだ出てってなかったのかい。もう狩猟祭は始まってるよ」
「色々やってたら時間がたってたからな。そういや暇そうだからひとつ聞いていいか?」
「別にいいけど暇そうっていうのは余計だよ。せめて客がいないって言いな」
ここ以外泊まっていないしたまに厨房の戦力になるからすっかり顔なじみの女将の前の机に座る。
見た通りのことを言ったら本気じゃないだろうが怒られたので軽く肩を竦めて気になったことを話す。
「この狩猟祭って肉と皮を納品すりゃポイントゲットって仕組みだけどどこに納品すりゃいいんだ?」
「街の役場。中央広場のあの大きい建物に祭り専用のカウンターがあるからそこにもっていけばオーケーさね」
「ああ、あのでかい建物か。入ったことねえしちょっくら行ってみるか」
「ひとつ言っておくけど前日までのアイテムを納品しようなんて狡いこと考えるんじゃないよ。それだと評価下がるから」
椅子から立ち上がりさっそく昨日狩ってきた肉を納品しようとした矢先に言われてぴたりと足が止まる。
「…マジで?」
「本当さね。ちなみに普通は教えられないからあんたは運が良かったのさ」
「ありがとうございますお礼に肉をいくらかあげます」
「ふふん、助かったよ。それじゃあさっさと冒険者らしく冒険に行ってきな」
「了解です」
教わったのはよかったがインベントリの中の肉数十個が無駄になった。売ろうかと考えたが後日の祭りで食えるので肉は買わないだろう、つまり需要がないから安くなるだろうし三個ほど残してあとはすべて渡してしまった。
その後の女将さんの発破もあったのだからさっさと街の外に出ようかと思ったが、その前にしばらく行けなくなるだろうから巨狼のところに行っておこう。
影の中の初期防具を取り出して代わりに今持っている武器装備を全部突っ込んで準備完了。路地に入って人がいないことを確認してから残り二個しかない貴重な暗緑の獣珠に触れた。
移動ができる影魔法、影渡と違いほとんどラグがなく一瞬で目的地につく。ピンチで逃げようとした時に影に飲まれる前に攻撃当たって死亡、とかあったから酷く羨ましい。
「火を頼むカミノ!」
「分かってるわよ〈ファイアエンチャント〉!」
「エンチャント終わったら早く来てくださいリッターさん! こいつ思ったより速いっす!」
「今行くから待ってろ!」
さっさと料理作ってデスルーラして、なんて計画は先客の存在によっておじゃんになりそうだ。
剣Lv34 回避Lv29 隠密Lv24 料理Lv22 投擲Lv17 影魔法Lv23 魔法熟練Lv26 隠蔽Lv20 罠Lv11 盗賊の技術Lv26
ある程度いったら影魔法の解説をここにいれようかなーと考え中