S2-2
サキちゃんと一緒に帰った日のことは、あまり覚えてない。ただ、どんな時間よりも、幸せだった。その、幸せをもう一度味わいたい。そう思った僕は一大決心をする。
サキちゃんを校庭に呼び出したのだ。
『ごめんね。待たせちゃった』
『ううん、今、来たところだよ』
『よかった。で、話って何?』
緊張してなかなか言葉がでない。しばらくの沈黙が続く。僕は懸命に声を絞り出す
『あのさ…付き合ってほしいんだ』
『いいよ』
一瞬の出来事だった
『え、いいの』
『キミヒロ君、私と付き合いたいんでしょ』
『え、うん』
予想だにしない展開に、僕の頭はついていけてない状態である。『キミヒロ君優しいし、別に今、好きな人いないし、いいよ。付き合おうか』
『う、うん』
玉砕覚悟で告白した。なのにこんなにもあっけなく付き合えることになった。正直、実感がない
『どうしたの?キミヒロ君から付き合いたいって言ったんだよ。一緒に帰ろうよ。』
『うん』
『あ、帰りにおいしいケーキ屋があるんだけど食べて行かない』
嘘、じゃないんだ。サキちゃんと付き合えるんだ。
『ねぇ』
『うん』
『どうしたの、元気ないよ』
『…そんなことないとないよ』
『そう、キミヒロ君はどんなケーキが好き』
『…チーズケーキかな』『私もチーズケーキが好きなんだ』
『そうなんだ』
『どうしたの?なんか変だよ』
『なんか実感なくてさ』『そんなこと考えてたの?ならこれなら実感でるでしょ』
サキちゃんはいきなり僕の手を握った
『…うん』
『よかった。早くケーキ食べに行こうよ』
僕はサキちゃんと付き合うことになった。サキちゃんがそばにいてくれるなら他には何も望まない。僕は本気でそう思っていた。