表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

S1-4

僕はさくらさんから煙草を受け取る。本当なら、ここで、本当なら煙草を受けとってはいけないと思う。

でも、さくらさんが煙草を吸う姿は、とても綺麗で、ここで自分が煙草を吸わないのはなんだか勿体無い気がした。

僕が煙草を加える。すると

『つけてあげるわ』

さくらさんは、僕の煙草に火をつけた。

僕たちはしばらくの間、煙草を味わう。

『たまに吸うと気持ちいいわね』

『…そうですか』

『…あなた慣れてないわね』

『…はい』

さくらさんの言うとおり僕はまだ煙草になれてない。正直僕は、煙草のよさをまだ実感できてない。『どれくらい前から吸ってるの?』

『…三日前からです』

『…なら仕方ないわね。始めは肺にいれないで、口の中に煙をためることを意識するの。やってみて』

僕はさくらさんの言われた通りにやってみる。『こうですか』

『なかなか上手いわね。いわゆる

「ふかし」

っていうやつね』

さくらさんの言うとおりにやると少しだけど、煙草のよさというものが、実感できる。

『まずはここから始めなさい。肺にいれるよりは、健康にいいわよ』

『はぁ』

『でも、吸いすぎちゃダメよ。高校生だし、お金も、もったいないから…』

『…あの』

『何?』僕は疑問に思っていることを言葉にする

『どうして、俺に教えてくれるんですか?』

『なんでだろうね。そうだな、傘のお礼ってこてにしといて。傘を貸してくれた優しい高校生へのお礼ってことに…でも、傘のお礼が煙草の吸い方じゃまずいか』…不思議な人だ。普通なら怒るのに、煙草の吸い方まで教えてくれる。

それに、終始笑顔を絶やさない。

『十分ですよ。俺もよくわからなかったかし、ありがとうございます。』『どういたしまして』

『俺、もうそろ行かないと』

『そう、じゃあこれ』

さくらさんは僕に傘を返そうとする

『あ、その傘使わないのでいいですよ。持っていてください。風邪ひくといけないし…』『じゃあ、次に会うときまで預かっておくわね』『また、会えますかね』『たぶん会えるわよ。雨の降る日にね』

『雨の降る日にですか…わかりました。じゃあその時まで預かっててください』

半分は冗談だった。本当に会えるとは思ってなかったし、傘も本当にいらなかった。僕もさくらさんも本気にしてなかったんだと思う。ただ、さくらさんと話して、、重い気持ちが軽くなった気がした。それだけで十分だ。

僕は、軽く会釈し公園を離れた。

……


……


『…ごめんね。ようちゃん。タバコ嫌いだったもんね。もうそろそろいくね。大好きだよ。ようちゃん…またね』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ