S1-2
僕にも理解できる。
…雨が好きな気持ち
言っておくが普段から、雨が好きなわけではないただ、今の僕にとって雨は、楽な気持ちにさせてくれる。快晴に照らされてできる、下手な作り笑いより、よほど気持ちが楽だ。きっと彼女もそうなんじゃないか…僕はそんなことを考えていた。『風邪ひきますよ』
『大丈夫よ。私の家すぐ近くだから、すぐに着替えられるわ』
彼女は笑顔で答えた。でも、どうしてだろう。
さっき一人で話しているときの笑顔とは違う気がする。どこか…悲しい。そんな気がした。
『それでも風邪ひきますよ』
そういいながら僕は鞄から傘をだす。
『ぼく、傘2つ持ってるいるのでこれ、使ってください』
彼女は『ありがとう』といいながら傘を受け取った。しかし、その直後彼女は不思議そうに僕に尋ねた。
『どうして、2つ持ってたの?』
『この前、学校に忘れてきちゃって…』『あら、そうなの。ありがとね』
彼女は軽い会釈をする。僕も小さく会釈をしかえす。
『あなた、名前は?』
『露木キミヒロです』彼女は僕の名前をきいて少し微笑んでいる様子
『キミヒロくんね。私はね、雨谷さくらっていうの。』
そう、言いながら彼女は思いがけないことを口にした。
『私達って気が合うかもね』
僕は彼女言っている意味が理解できなかった。
『どうしてですか?』
すると彼女はこう答えた『あなたが梅雨で、私は雨。両方とも天気が入ってるでしょ。なんか親近感わかない?』
『でも、漢字が違いますよ』
『細かいことはどうでもいいの』
さらに彼女は言葉を続ける
『あなたが梅雨で、私が雨。そして今は雨が降ってる。ほら、こんな偶然なかなかないでしょ』
『そうかもしれないですが…』
ぼっくはそっけない感じで返事をした。
『そもそも、こんな人通りの少ないところで会ったんだから、何か感じるじゃない』
さくらさんの言うとおり、ここの公園は人通りが少ない。近くにもっと大きくて、きれいな公園ができたためである。
さくらさんにとっては、冗談半分で言った言葉だったんだろう。でも、高校生の僕には、どんな言葉を返したらいいかわからず、ただ黙ってることしか出来なかった。