S1-1
6月7日、雨が降ってた。この時期はいつも雨が降る。でも、その日の雨は特別激しかったような気がした。
その日、僕は学校帰りに少し寄り道をした。いつもは通らない公園の道を通って帰ることにした。公園の道をしばらく歩いていると、女の人の声がした。その女の人は、見るからに年上で、この酷い雨の中傘もささずに、しゃがみ込んでいた。その女の人は白い服を着ていた。僕は気になって、その女の人に近づいていった
『陽ちゃん、元気してた。』
その、女の人は誰かに話しかけているように見えた。しかし僕には、その女の人しか見えなかった女の人は僕に気づいてないみたいで、さらに独りでに話しはじめた。
『陽ちゃんと合うの、久しぶりだね。今日ね、とってもいいことがあったんだ。何だと思う聞きたい?それはね』
この、女の人は誰に話しかけているんだろう。
僕は思いきって、その女の人に声をかけることにした。
『あの』
『みて、くじ引きで当たっちゃった』
彼女は僕に気に気づいてない様子で自慢げに人形を見せていた。僕はもう一度彼女に声をかける。
『…あの』
『誰か来たみたい。ちょっと待っててね』彼女は小声でそう言って笑顔で僕に対応する。
『どうしたの、何か用事?』
僕は、別に用事があるわけではない。ただ彼女が気になっただけだ。僕は彼女に答える
『いえ、雨の中、傘もささずにいるから、どうしたのかなって思って』
『ああ、私雨が好きなのよ。だから、雨の日になると時々、外にでて、雨を身体で感じるの』
雨が好きな彼女。それは少し変わっているかもしれない。でも、僕にもその気持ちがなんとなくだけど理解できた。