ウェザリング
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そして、その最後のウエザリング塗装をする週末を迎えた。
再度、塗装が乾燥したボディーを確認する。
この映画『トランザム7000』の劇駐車、ファイアーバード・トランザムのボディーカラーは、「スターライトブラック」という、完全な黒ではなく、わずかに青みを含む深い黒で、光の当たり方で「濡れたような黒」に見えるのが特徴だ。
装飾として一番目を引くのは、ロングノーズのボンネットに貼られる、「金色の大鷲」のデカールだ。
足元のホイールは、ゴールドのスノーフレークホイールで、外装のアクセントに、「金色のピンストライプ」もある。
今日は、前回エアブラシでベースの黒色を吹いて、しっかりと乾燥が終わったところに、ハイライトとして、ブルーグレーをほどよく吹いて、黒の深みを損なわない光の当たり方を強調させる。
更に、ごく薄いニュートラルグレーを、ボンネット中央・屋根に極薄で散らしながら吹く。
こうすることにより、日焼けというより「光の当たり方」を表現するのだ。
当初の予定では、その上に光の当たり方で濡れたような黒に見えるように、ウレタンクリア塗装をするつもりだったが、それは塗装の厚みが難しいと判断してやめた。
だが、塗装はまだ終わらない。ウエザリングが残っている。
路面の「埃や砂汚れ」を表現するために、下部にライトサンド系を薄く散らし、タイヤハウス内には、ダークブラウンで「埃」を表現する。
そして、マフラー周りの焼けを、スモークグレーに、茶系を軽く足して雰囲気を出すのだ。
更に、タイヤの使用感を出すために、タイヤ側面に、艶消しブラックにライトグレーをほんの極わずか混ぜて、ゴムの劣化と乾燥した質感を表現する。
タイヤの接地面には、軽く砂色のカラーパウダーをまぶす。
ちなみに、これらの技法は。タミヤのウェザリングマスターという、パウダー状の塗料の「ライトサンド」や「スノー」をエッジに薄く乗せるだけでも手軽に再現できるのだ。
悠希は、最後まで自分だけで完成させた、このプラモデルを見て、自画自賛する。
「う~ん。我ながら、我ながら」
ガンダムからはじまった、悠希のプラモデルの造形は多岐にわたるが、こうなったのは間違いなく、叔父の影響だろうと思う。
父親の方は、手先が正直不器用だったが、悠希はそれに似ず、叔父と同じように手先が器用だったことが良かった。
叔父曰く、「細かい力加減が上手い」とのことだ。
その叔父は、もっと手先が器用だ。
それは造形のときの、デザインナイフの扱い一つを見ただけでわかる。
何度か、間近でプラモデル作りを見させてもらったことがあるが、優しく作り方を教えてくれているときとは違い、無言のまま真剣な眼差しで作っている。
その姿がカッコいい。
叔父は、フリーのモデラーだが、メーカーからの依頼で、ジオラマ製作などの造形も行なっている。
時には、メーカーの企画会議や販促会議に参加することもあるそうだ。
そんな叔父と、久しぶりに会えることになった。




