合わせ目消しは、どれにする
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「でも、先生。塗装をしないんなら、本当はランナーパテっていうのがイイんですよねぇ?」
環季がそう聞く。
「環ちゃん。本当にいろいろと調べてきたんだねー……」
「はい! もちろん」
環季のこの行動力には、勇気も感心する。
「でも、そのランナーパテができるまで、最低1日はかかるから」
「そうみたいですね」
そのランナーパテというのは、パーツが付いていた同色のランナーを細かく切って、それを小瓶などに入れ、そこに悠希がガンプラの合わせ目消しに使っていたような、プラモデル用のセメント接着剤を入れて、ABS樹脂製のランナーをドロドロに溶かして作るパテのことだ。
これならば色も素材も同じなので、完全にきれいに合わせ目を消すことができる。
「だから、カラーパテにしたんだけどなぁー。駄目なのかぁー……」
そう言って環季は、肩を落とす。
「いや。駄目じゃないんだけど、きちんと色が合うのかどうか不安で……」
肌色系のカラーパテだからといって、色が完全に合うかどうかはわからない。それが悠希の不安だった。
「それじゃあ、ミスターセメントSPっていうのが、良かったですかねぇー」
そこで環季がそう言った。
「!? おっ!? あっ!? それーーーっ!」
悠希も、そのことを思い出した。
「確か、あったはず……」
悠希は部屋の端に置いていた、ブリキ製のお菓子箱の蓋を開けて、中からクレオスのミスターセメントSP (スーパーパワー) 流し込みタイプの角瓶を取り出す。
ブリキの箱の中には除湿剤も入れてあったので、旧盤の使いかけのモノであっても、特に問題はないはずだ。
悠希が、このミスターセメントSPを使わずに取っておいたのはたまたまなのだが、これよりもタミヤのセメント接着剤の方が入手しやすかったので、そこからはほとんどタミヤのものを使っていた。
「一応。念のために調べてみるね」
そう言って悠希は、スマートフォンで「プラモデル・合わせ目消し」で、動画を検索する。
「これかな……」
その検索の結果で出てきた動画の中に、「ミスターセメントSP」を使った動画を見つける。
「あっ。これですよこれ。わたしが見たのは」
悠希の見ていたスマートフォンの画面を覗き込んで、環季がそう言う。
確かに、この画像を見ると、「合わせ目」はきれいに消えている。
「でも、環ちゃん。どうしてカラーパテにしたの?」
それが悠希には疑問だった。
「だって、四角いのは、もう売ってなかったから」
これを聞いて、「あぁ。そういうことか」と悠希は妙に納得した。
形が違う = 中身が違うと思うのは、何も知らなければ当然のことだ。
実際に、「ミスターセメントSP」は、旧盤の角瓶から、新盤の丸瓶に変わって、中身も変わったのではという噂があるが、その確認が取れていないので定かではない。
どちらにしろ、悠希も「肌色の塗料」は持っていないので、エアブラシ塗装しないのであればどれかを選ぶしかない。
「さて、どれにしようか……」
悠希は、そのことに悩む。
「それじゃあ! せっかく買ってきたので、これにしまぁーーす!」
そう言って環季は、「カラーパテ」を選んだ。




