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バブル世代

作者: 葉沢敬一

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

 昭和のとある時期にバブル時代というのがあった。


 若い男は彼女を作るのに必死で、彼女を作るのに良い車を買うのは当たり前。そして流行の服を着て、海外旅行へバンバン行って、豪華なパーティが経費で落とされて、会社はいろんな分野に手を出してテレビにCM出して、人手がたりなくなって倒産が発生する事態。金持ちは土地や株や絵画を買い漁って値段がガンガン上がる。


 そんな中、就職した。僕は単位が微妙で卒業が怪しかったから、就活も12月にようやくやっていて、それでも工学系だったので、メーカーの子会社に潜り込むことができた。


 本社の研究所に派遣されてコンピュータを作ることになった。まあ、ネットとか無い時代で、ようやくパソコンがなんとか仕事に使えるレベルの時代だ。その頃、初代Macintoshが出ていたのを覚えている。


 テレビでは漫才ブームで「ネアカ」がいいとされていたが、僕は対人恐怖症で声も小さかったので、職場で馬鹿にされ、出張先の本社のOLから通りすがりに「暗いわねぇ」と吐き捨てるように言われたことがある。


 バブル世代だというと、良い時代だったと言われることがあるが、暗い僕にとっては針の筵みたいな時代だった。おとなしいというだけで迫害されていたのだ。一時期のオタクのように。


 暗いことは「個性」ではなく、「治療されるべき病気」と思った僕は、カウンセリングを受けて喋らないことを大学から来ていたカウンセラーから非難され(非指示的療法全盛の時代だった)、結局、精神神経科の扉を叩き抗不安剤を服用することになった。


 そして、30年経った。抗不安剤はまだ服用しているが、実際のところコミュニケーションの訓練が未熟だったのではないかと思っている。フリーランスになり、初対面の人とも世間話を平気でできるようになり。重い荷物抱えた女性がいたら「持ちましょう」と声を掛けられるようになった。


 コミュニケーションにはコツがある。会話は一方通行でなく、1/3~2/3話すし、相手に語らせるのが良いと知った。別に喋らなくてもいい。リアクションすれば良いとも知った。


 若い頃は人間関係構築するのに苦労したが、年取って平気になった。

 苦しみは時間が解決する。一人の時間が大切なのは今も昔も変わらない。

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