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第4話 委員会

少し間が開きました。

 凛と食堂で一緒に昼食を食べた次の日。



 今日は委員会を決める日である。


 仲の良い生徒同士でやりたい委員会を話し合ったり、出来るだけ楽な委員会を考えている生徒がちらほら見える。


 あとは、部活に専念したい生徒や、早く帰りたい生徒は入るつもりは無いのか興味無さそうである。



 僕はどちらかと言えば後者で、図書委員会とかがいいと思っている。


 委員会に入らないという選択肢もあるだろうが、帰宅部で委員会も入っていないという理由で実行委員などはやりたくない。


 それなら委員会の方がマシだし、入っていた方が印象とかも良いだろう。



 あと、それだけではなく、男子たちの間では凛がどの委員会に入るのかが気になっているようである。


 と言っても、委員会の当番で一緒に活動するのは同じクラスの人だけなので、主にクラスメイトが凛の入る委員会について話し合っている。




 僕も委員会について知らないことが多いので、榎本くんに入る委員会を聞いてみることにした。


 榎本くんはお姉さんがこの学校にいるようで、委員会について知っていることがあるのではと思ったのだ。



「ねぇ、榎本くんってお姉さんいるんだよね?」


「おう、確かにいるけど…あんなゴリラみたいなのに興味あるのか?」


「ゴリラって…別にそういう訳じゃないけど、委員会とか詳しいのかなって」


「あぁ、そういう事ね」



 榎本くんは納得してくれたようだ。


 お姉さんに対して「ゴリラ」と言うのは驚いたが、実際に一緒に過ごしていればそういうものなのだろうか。


 僕は兄弟とかは居ないのでよく分からないが、なんだか大変そうだとは思う。



「まず、この学校には風紀・放送・図書・学習・保健・広報の六つの委員会と生徒会、まぁ学級委員的なヤツがある事は分かるよな?」


「うん。それは知ってる」


「その六つに各クラス男女一人ずつ入るんだけど、楽なのはやっぱ図書だな」


「やっぱり?」


「おう、基本座ってるだけだからな。クラスの他のやつよりも楽だとは聞いてる。でも、あんまオススメはしないぞ」


「?」



 僕が何故入らない方がいいのか分からないでいると、榎本くんが教えてくれた。



「俺の姉さんが入ってるんだ、やめといた方がいいぞ」


「うーん、あんまり関わることは無いと思うから大丈夫じゃないかな?」


「まぁ…気にしないならいいんだけど」



 具体的に何を気にするのか教えられていないため、よく分からないがやめといた方がいいということは分かった。


 まぁ、僕は榎本くんとも仲がいいと思うから、お姉さんとも話せるんじゃないかな?


 僕は深く考えないことにした。




 ☆☆☆




 六時間目。



 先に学級委員だけ決めて、学級委員中心に他の委員会も決めていく。


 最初に風紀委員が決まり、次に図書委員だ。


 何故か凛がこちらの様子を伺っている様な気がするが、気のせいだろう。



「それじゃあ次に、図書委員やりたい人ー」



 僕は手を挙げる。


 幸い、他に男子は手を挙げていないようで、僕は図書委員に決定した。


 もしかして、凛が手を上げるタイミングを伺っているのだろうか。


 女子も手を挙げていなかったので、学級委員が女子に図書委員をやりたい人が居ないか聞く。



 すると、僕の右斜め前の方で、手が上がる。


 と同時に、男子たちの溜め息が聞こえてきた。


 どうしたんだ? まさか凛が手を上げたんじゃないよな?



「はい。じゃあ、図書委員は笹木くんと御厨さんお願いします」



 そのまさかだった。


 驚いて凛の方を見ると、ニコニコした凛がこちらを振り返って見てきた。


 そしてニヤッとしてからまた前を向いた。



 恐らく、初めから僕の入る委員会を見てから決めるつもりだったのだ。


 男子たちと同じような作戦を凛も立てていたのだ。



 少し男子たちからの視線が痛いが、なんか申し訳ない。


 別に僕は態と一緒の委員会に入ろうとした訳じゃないので、許して欲しい。




 ☆☆☆




 その後は順調に委員会が決まり、荷物を鞄にしまう。



「なぁ、笹木くんだよな?」


「え、うん。そうだけど…」



 僕が荷物をしまっていると、クラスメイトの……浜野結斗(はまのゆいと)くんに声を掛けられた。


 浜野くんは榎本くん程では無いけれど、顔が整っている方だと思う。


 でも、僕は浜野くんとは話したことがないので、接点は無いはずだ。


 僕が声を掛けられた理由を考えていると、笑顔で浜野くんがこう言った。



「図書委員俺に代わってくれる?」


「え?」



 そういう事か。凛と一緒の委員会に入りたいのだろう。


 そういえば、浜野くんは凛の隣の席だったかもしれない。


 もしかして、浜野くんは凛のことが好きなのだろうか。それなら、僕は出来るだけ代わりたいとは思っている。



 …だが、そう言ってくる浜野くんの瞳の奥に、どこがドス黒いものが見える気がする。


 少し心配だし、大丈夫なのだろうか。


 そう思い、凛の方へ目をやる。


 凛もこちらの様子を伺っていたのか、僕がそちらを見るなり首を振ってくる。


 代わっちゃダメということだろう。



「ごめんね。流石に決まったものだから変えれないと思う」


「チッ…そうか、悪かったな」



 さっきまでの笑顔が嘘のように不機嫌になり、浜野くんは肩を怒らせながら自分の席に戻って行った。


 何とかなったと安堵しつつも、多少不安が芽生えた。

読んでくださりありがとうございます。

主人公の性格に関しては、そういうものだと思ってくれると助かります。

不快にさせてしまった方は申し訳ありません。


ブックマーク、評価感想よろしくお願いします。


誤字脱字、アドバイスなどよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 流石にクラスメイトの一部は凛の気持ちを察し始めると思うんだけどな まぁ察したところで、どうでもいいってタイプの自己評価が高い連中が絡んでくるんだろうけど
[一言] 幼馴染って宣言して完全に狙って同じ委員にしてるのにそこを取ろうとするのは逆にすごいと思うw こういうのって男女あれこれ関係なく仲の良い人と一緒の方が安心って選ぶ人は多いだろうから好かれようと…
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