13.♡月♡日
すごく久しぶりの更新です☆
よければご覧下さい☆
⇢アナベルからスカーフをプレゼントしてもらったあの日以来一度もアナベルに会えていない。
よほどの理由がない限りはアナキスを欺いてフルート侯爵邸へ下手に出向けないのが歯がゆかった。
何度かアナベルがフルート侯爵領の街へ出かけるであろう時間帯を狙い街へ行ってみたがアナベルの姿はなかった。
アナキスも多忙なせいかフルート侯爵邸へ戻れていないようでアナベルの様子を聞くことはできなかった。
しかし、俺は諦める事なくもはや日課にまでなりつつあるフルート侯爵領へ足を運ぶという行動をし続けた。
アナベルを見ることすら出来ないのはもはや拷問だった。
アナベルの顔を見て出来ることなら皇宮でのようにアナベルを自分の腕の中に閉じ込めておきたい衝動に駆られて仕方がなかった。
何度足を運んでもアナベルの姿を見ることが出来ないと肩を落としていたその日街にはアナベルの姿があった。
アナベルの姿を見た瞬間俺は有頂天になった。
たとえアナベルに会えなくてもこうして陰からアナベルの愛らしい姿を見ているだけで俺は満たされた。
しかし、そんな俺の有頂天な気持ちもアナベルの横にいたに人物を見て一気に冷めた。
アナベルの横にはロザンが居たのだ。
何故ロザンがアナベルと一緒にフルート侯爵領の街にいるのか意味がわからなかった。
ロザン本人からはもちろんアナキスからもロザンがフルート侯爵領へ訪れるなど聞いてもなかったからだ。
俺は2人が並んで歩いている姿を見てロザンに殺意すら湧いた。
それでなくともロザンがアナベルに向ける表情が気に入らなかったというのにアナベルと2人で笑い合ってるなど許せるはずがなかった。
俺はすぐにでもロザンを殺してやりたい衝動をどうにか抑えながら2人を監視した。
あまり近づくとロザンがきっと俺の気配で気づくと思い俺はなるべく気配を消しながら最大限まで2人に近づき監視した。
2人は人気が少ない場所へ移動した。
恐らくアナベルがロザンが皇太子だと周りにバレてはいけないと思い気を使って人気のない場所へ移動したのだろうとすぐに理解した。
そんなアナベルの気遣いにすらも気づいていないのかロザンは人気のない場所に移動したからか先程よりアナベルとの距離が近い気がするし何故だか緊張した表情を浮かべてアナベルに何か言いたそうなくせに躊躇った表情を浮かべていた。
俺は本能的にはロザンがアナベルに余計な事でも言おうとしているのだと思いまたしても殺意が込み上げてきた。
俺はいよいよ2人の姿を見ている事に限界がきていた。
今すぐにでもロザンの首根っこを捕まえて喉を掻き斬ってやりたい衝動にかられた時、、
ロザンが何かを思い出したかの様に慌てて立ち上がりアナベルをその場に1人残して足早にどこかへ向かった。
俺はロザンが居ない隙に何か理由づけしてアナベルに接触しようとしていたその時だった。
俺とは別の方向のアナベルが座っている場所のすぐ側の小さな茂みから誰かが飛び出した。
俺は飛び出した人物が着ている制服を見てアカデミーの者だとすぐにわかった。
その人物はアカデミーの制服を着た女で歪んだ表情を浮かべて勢いよくアナベルの方へ向かった。
アナベルは状況が把握できず驚いた表情でその場に座っていた。
俺はその状況を見てすぐにアナベルが危ないと思いアナベルの方へ走り向かった。
その女の表情は嫉妬と憎しみに満ちていた。
その感情は間違いなくアナベルに向けたものだとすぐにわかるほど露骨に顔に出ていた。
俺がアナベルの元へ着くより先に女がアナベルに近づき女は凄い勢いでアナベルの髪の毛を掴み引っ張った。
アナベルは混乱と恐怖と痛みで表情を歪めた。
そして女はアナベルに髪を鷲掴みにしたままポケットからナイフを取り出しアナベルめがけて思い切り刺そうとしたその時…
俺は咄嗟にアナベルの前に立った。
急にアナベルの前に俺が立った事に驚いた女はアナベルの髪から手を離してナイフを持つ手を止めようとしたが間に合わず女が前に差し出していたナイフが俺の腹に思い切り刺さった。
俺を刺した女もまさか俺を刺してしまうとは思わなかったようで驚愕して俺にナイフを刺したまま離れその場へ座り込んだ。
それと同時に女は俺がカイザー公爵の息子である事に気づいた。
自分が愚かな真似をした後で俺がカイザー公爵家の人間だと気づくとはつくづく回りが見えない下衆な女だと思った。
その時、ロザンが戻ってきた。
俺の腹にナイフが刺さっているのを見たロザンは目の前の状況を把握できず驚きを隠せずにいた。
俺はそんなロザンなど気にすることなくアナベルの様子を確認した。
アナベルはその場で頭を抑えて顔が真っ青になり今の状況に混乱しているというよりは何かに怯え今にも倒れてしまいそうだった。
アナベルの様子がおかしいと思いすぐに俺はアナベルの元へ近づいた。
アナベルは酷く頭を押さえて小刻みに震えていた。
何かに怯えているかの様に異常なほどに混乱していた。
俺はアナベルをこんな状態にした女を睨みつけた。
すぐにでも女の息の根を止めてやりたいほどに。
俺はアナベルを1人にしたロザンにも腹が立ちロザンを睨みつけた。
そして、俺に睨まれ困惑しているロザンに小声で耳打ちをした。
女の方を軽く指差しアカデミーの女がお前の後をつけてここまできていると。
アカデミーの制服を着ているのでアカデミーの生徒なのは一目瞭然だった。
俺の耳打ちにロザンは驚いた。
ロザンはすぐに対処しようと護衛の元へ向かった。
状況からしてロザンの後をつけてきたのだろうとすぐに察しがついた。
ロザンを含めた俺たちはツインズ以外にも虫けら以下の女たちにこれまで幾度となく付きまとわれた事があったからだ。
普段ならばあんな女に後をつけられロザンがどうなっても俺には関係ないし脇が甘いロザンのせいだと思うだけだがアナベルに手を出したのだから話は別だ。
ロザンの奴は皇太子のくせに脇が甘い部分がある為にあのような女に後をつけられても気づかない事がこれまで多々あった。
今回ばかりはその脇の甘さに心底腸が煮えくり返りそうだった。
その時、ロザンが護衛を連れてその場へ戻ってきた。
ロザンの護衛がその場にへたっていた女を確保した。
それを確認した俺はすぐさまアナベルに優しく声をかけた。
するとアナベルは急にハッとなり俺を見た。
すると腹から血を流す俺を見たアナベルは目の前の状況に混乱してどうしたらいいのかわからないのか泣きながら俺の心配をしていた。
俺はそんなアナベルを優しくなだめた。
そして、俺が予想していた通りロザンがすぐに動いてくれたのですぐにカイザー公爵家に連絡を入れ俺をカイザー公爵邸まで運ばせる手配を手早くしてくれた。
ロザンが混乱するアナベルをすぐにフルート侯爵邸へ連れ帰ろうとしたがアナベルは泣きながら自分も俺に付き添うと言ってきかなかった。
自分の脇の甘さに落胆したのかそれともアナベルを1人にしてしまった事を後悔しているのか自分に落ち度があると思ったロザンは仕方なくアナベルの代わりにフルート侯爵邸へ出向き事情を説明する事になった。
俺とアナベルはロザンが手配してくれた馬車でカイザー公爵邸へ向かった。
馬車の中で俺はアナベルに手を握っていて欲しいとお願いした。
するとアナベルは泣きながら小さく頷くと俺の手をギュッと握ってくれた。
俺はアナベルに手を握られてたまらない気持ちになった。
心配してくれているアナベルには悪いがアナベルの小さくて柔らかくて可愛い手で一生懸命俺の手を握る姿がたまらなく興奮した。
思わずアナベルの手を自分の頬に引き寄せて余す所なくキスをしてしまうところだった。
久しぶりにアナベルに触れたのだから仕方のない事だった。
カイザー公爵邸に着くまでの間アナベルはずっと俺の手を握り心配でたまらないという表情を浮かべていた。
そんなアナベルがたまらなく愛おしくて実際俺にとってはこの程度の痛みは大した事じゃないが俺はあえて辛そうな表情を作り浮かべていた。
そんな俺にアナベルは持っていたハンカチで俺の額の汗を優しく拭いてくれた。
その行為は俺にとって至福でしかなかった。
俺はこのアナベルとの時間をじっくりと堪能したいと思っていたがあっという間にカイザー公爵邸へと到着してしまった。
屋敷に着くなり両親が慌てて馬車までやってきた。
ロザンからの伝達を聞いたから俺の容態が気になりわざわざ馬車まで2人してきたのだろう。
馬車の中の俺の表情を見た両親はすぐに何かを理解したようで先程まで慌てていたのが嘘みたいに呆れた表情を浮かべた。
その後、俺はすぐに自室のベッドへ運ばれた。
自室にはすでにカイザー公爵家の担当医であるロベル医師が俺を待ち構えていた。
俺はロベルから診察を受けなければならなかった為両親はその場に残りアナベルには別室で待機してもらい後でロベルに診察をさせる事にした。
アナベルが居なくなった瞬間両親とロベルは呆れた表情で俺を見た。
両親は馬車の中の状況を見て俺の怪我も俺が刺される場所を計算の上負ったものだとすぐに気づいたようだった。
特に父上は俺と同じように母上と一緒の時間を過ごしたいが為にわざと負傷した事があったので一瞬で状況を把握したようだった。
今となってはその事実を知っている母上もカイザー公爵家に長年仕えているロベルも状況をはっきりと把握していた。
そもそも俺が今日この行動を咄嗟にとったのは父上の話を聞いていたのを思い出したからだった。
俺は今日父上の身の上話を聞いていて良かったと思った。
俺は父上似と言われるが性格も父上に似たのだろう。
急所を外しているので実際俺にとって刺されたところは大した問題ではないがアナベルには俺の容態は命に別状はないけれど重傷の為当分の間はカイザー公爵邸で休養が必要とロベルに伝えるよう指示した。
そんな俺の行動を父上は当然の行動だといわんばかりの表情を浮かべてい。
母上は俺と父上を交互に見て少し何か考えたあと大きなため息をついてあまり度が過ぎたことをするとアナベルの前で本性が出るから気を付けろと助言した。
ロベルはもう慣れっこだといわんばかりに淡々と俺の指示を受け入れた。
その後、別室にいるアナベルをロベルが診察しそのまま俺の部屋へ連れてきてもらいロベルは俺の指示通りにアナベルに俺の容態を伝えた。
アナベルはロベルの話を聞き涙目になりながらショックを受けていた。
自分を庇ったせいで負傷した俺にアナベルは混乱しながら謝ってきた。
そして、どう償えばいいかわからないと自分を責は始めた。
俺はそんなアナベルに優しくアナベルが危ないと思ったら思わず自分の体が動いただけだしロザンのいざこざに巻き込まれ手も出されて怖い思いもしたアナベルもまた被害者だから償う必要などないと伝えた。
それでもアナベルは俺だけでなく父上や母上にも謝罪をして自分にできることはないかと言ってきた。
アナベルは優しい子だから俺が刺されて尚且つそれがアナベルを庇ってなら尚更彼女は責任を感じて俺を…俺だけを心配するだろうと。
そして、責任を感じて自分が力になれる事はないかという発想になるだろうと。
やはり俺の思った通りだった。
たとえ責任を感じてだろうが何だろうがアナベルが俺の側で俺だけを視界に入れて俺だけを見てくれる事に変わりはないのだから。
俺はあえてアナベルにそんな気に病む必要はないから気にしなくていいと伝えた。
しかし、アナベルは自分で納得がいかないからと何か出来ることはないかと更に言ってきた。
俺は顔がニヤけそうなのを必死に堪えながら困った表情を作り少し申し訳なさそうにアナベルに少しの期間自分でできない部分の身の回りの世話をお願いしたいと提案した。
俺の提案にアナベルは驚いていたが少し考えてから首を縦に振った。
俺は毎日アナベルが自分のすぐそばにいてくれると思うだけ本当にニヤつきそうになったが堪えた。
俺たちがそんな話をしているとカイザー公爵邸にフルート侯爵夫婦とアナキスが急ぎ訪問してきた。
ロザンからの報せを受けて飛んできたようだった。
ロザンから報せを聞いて屋敷へ来るだろうとは思っていたが思っていたよりもはるかに早い訪問だったので俺は内心気に食わなかった。
アナキス達の訪問を知ったアナベルはその場を離れアナキス達の元へ向かった。
アナベルが部屋を出ていったのを見計らって俺は父上にフルート侯爵夫婦にある提案を持ちかけるようにお願いをした。
当面の間アナベルをカイザー公爵邸に滞在させるという提案だった。
わざわざ毎日フルート侯爵邸からこの屋敷へ通うには無理がある上にアナベルも疲れるだろうし何よりアナベルを屋敷に滞在させる事でより俺はアナベルと過ごすことができるからだった。
これほどまでに俺にとって至福の提案はないと思った。
いくらお茶会の誘いを理由付けして断ったフルート侯爵でも父上…いやカイザー公爵家からの提案を何度も断る事などできなぃだろうから。
そして、あえて俺の部屋へフルート侯爵達を案内した。
俺の現状を見せよりこちらの提案を受け入れざるおえないようにする為だった。
俺の部屋へ案内されたフルート侯爵夫婦は俺の姿を見るなり驚きを隠せないようだった。
さすがのアナキスも俺の姿を見て表情を歪めていた。
フルート侯爵達はある程度の話はロザンから聞いていたのですぐに俺へアナベルを守ったことにお礼を言われた。
そして、父上達には俺を怪我させてしまい申し訳ないと謝罪していた。
俺からしたらアナキス達の反応は好都合だったので思わず笑みがこぼれないように必死に堪えた。
そして、俺とアナベル同席のもとアナベルの怪我の具合含めロベルの説明から始まり父上からこちらからの提案をフルート侯爵夫婦へ持ちかけた。
こちらの提案を聞いたフルート侯爵夫婦もアナキスも異常な程に嫌な表情を一瞬浮かべた。
どうやらアナベルを俺の近くへ置くことを嫌悪してるのはアナキスだけではなく侯爵夫婦も同じなのだとすぐに理解した。
それは父上達もすぐに勘づいたようだった。
そんなアナキス達を見かねたアナベルが自分を庇ったせいで俺が負傷してしまったのだから自分を守ってもらった恩はきちんと返したいと言った。
しかし、アナベルの言い分にもアナキス達はすぐには提案を受け入れなかった。
アナキス達からすればアナベルも被害を受けているのだから仕方ない事ではあったけれどアナベルの切実な思いに最終的にフルート侯爵が渋々だが首を縦に振った。
あまり納得していないアナキス達を見かねた母上がフルート侯爵達へ女性である自分がいるので心配は無用と、、アナベルがカイザー公爵邸へ滞在中はアナベルが不自由なく過ごせる環境を保つと声をかけてくれていた。
これでようやくアナベルとの時間を思う存分に味わえると俺は内心満足していた。
しかしながらいくら大切に育ててきた愛娘でもあのアナキス達の反応はどこか異常さを感じた。
俺もアナベルも未婚同士なだけに未婚の娘を公爵邸へ宿泊させることを躊躇するのもわからないこともないが自分の家より爵位が上の公爵家の提案であり俺はアナキスの友でもある上公爵家の息子である俺が侯爵家のアナベルを守り負傷したとなるとさすがに父上が提案した際にすぐに応えるのが貴族感での筋だと思うが彼らはギリギリまで表情を歪め思い悩んでいた。
さすがに違和感を覚えずにはいられなかった。
だが、俺はアナベルが俺と同じ空間に毎日いると思うとその違和感もどうでもよくなった。
アナキス達は暇さえ与えればアナベルをどうにか連れ帰ろうとすると思った俺は話が決まるとすぐにアナキス達を追い返す為に急に刺された傷口が痛みだしという演技をした。
そんな俺を見てアナベルはとても心配そうな表情で俺に駆け寄ってきた。
俺はフルート侯爵達をすぐに帰らせて欲しいと周りにバレないようにロベルと父上にアイコンタクトを送った。
そんな俺のアイコンタクトに気づいたロベルと父上は素早くフルート侯爵達へ俺を休ませたいと理由づけして彼らを屋敷から帰るようにと急かすように言った。
しかし、フルート侯爵達はそれでも何とかアナベルを説得しようとしていた。
俺は往生際の悪い彼らに苛立ち刺された傷口をわざと自分の手でバレないようにエグり包帯からも出血が漏れるようにして苦しそうな演技をした。
俺の腹から出血しているのを見た父上がフルート侯爵へ少し圧をかけて屋敷から出るように言った。
さすがに出血を見たフルート侯爵達はそれ以上その場にいるわけにはいかないと観念したのか部屋から渋々出て行った。
アナベルがアナキス達を馬車まで見送ると言ったので俺は気に食わなかったが笑顔を作り承諾した。
アナキス達にはさっさと帰って欲しかったのもあるからだ。
それにこれからは当面アナベルが俺の側にいるのだから。
アナベルがアナキス達を送りに行くついでに母上がアナベルの使う部屋へと案内すると言ったので母上もアナベルと共にアナキス達の見送りに同行した。
俺はアナベルがアナキス達を見送り自分の過ごす部屋を確認して俺の元へ戻って来るまでにアナベルとどう過ごそうかを考えていた。
その時だった…
廊下の方からフルート侯爵夫婦とアナキスの「アナベル」という焦り声が聞こえた。
俺は何事かと思い慌てて部屋の外へと出た。
廊下でアナベルが頭を押さえてうずくまっていた。
アナキス達は血相を変えてアナベルの体を支えていた。
そして、アナベルは更に頭を押さえて鈍い声をあげたと思ったら意識を失った。
あまりにも突然の事で俺は目の前の光景に絶句した。
そして、先程俺が刺された時にもアナベルが頭を押さえていたことを思い出した。
俺はもしかしたらあの時すでにアナベルは頭を押さえてしまうほど痛かったのか?!と…
だとしたら俺がアナベルと一緒に過ごしたという欲でアナベルをここへ連れてきたせいで頭痛が悪化したのか?!と思って唖然した。
俺がそんな事を考えているとアナキス達の声で我に返った。
アナベルはフルート侯爵に抱き抱えられて母上の誘導のもとアナベルが使う予定だった部屋へと急ぎ連れて行かれベッドへ移動させられた。
俺も一緒に向かった。
思わず傷が痛む演技を忘れるくらいに。
すぐに父上と共にロベルがやって来た。
ロベルがすぐにアナベルを診察した。
アナベルが倒れた状況を聞き診察した結果外傷的ではなく何か大きな精神的な衝撃を受けた事による激しい頭痛に襲われ意識がなくなったのではないかという事だった。
アナベルは意識を失ったままだった。
俺はアナベルがフルート侯爵領でも頭を押さえていた事をロベルに伝えようと思ったその時アナキス達の表情を見て口を閉ざした。
ロベルの診断結果を聞いた途端にアナキス達の表情が酷く歪んでいた。
まるで何が原因でこうなったのかに心当たりがあるかのように。
そしてフルート侯爵がアナベルをフルート侯爵邸へ連れ帰ると言い出した。
しかし、ロベルが今の状態のアナベルを馬車に乗せて長く移動させるのは危険だとフルート侯爵へ伝えた。
もしも、フルート侯爵邸へ帰るまでの道のりで何かあっても対応出来ずその場合アナベルが危険な状態になるかもしれないと深刻な表情で更に続けて伝えた。
ロベルの話を聞きフルート侯爵達は苦渋の表情を浮かべた。
そして、フルート侯爵は何かを考えた後に自分達はフルート侯爵家の主治医の元へ行くのでアナベルをお願いしたいと言ってきた。
つい先程まではアナベルがカイザー公爵邸に留まる事を頑なに嫌がっていたというのにアナベルが倒れた途端にそのような事を言い出す事にまた違和感を覚えた。
それもわざわざ3人で主治医のところへなど。
しかし、アナベルをカイザー公爵邸へ置いておくのに異論はなかった。
父上がすぐにフルート侯爵の申し出を承諾した。
そして、フルート侯爵達はアナベルをよろしく頼むと言うとすぐにフルート侯爵家の主治医の元へ急ぎ向かった。
俺はどうも彼らの行動が怪しいと思い影にフルート侯爵達の尾行をさせようと思ったが今はやめておいた。
今はそんな事よりアナベルの方が優先度が高かったからだ。
俺はフルート侯爵達が出て行った後アナベルの元へずっと付き添っていた。
父上達も気を使い俺を一人にしてくれた。
アナベルは一向に意識がないままだった。
俺はそんなアナベル見て急に怖くなった。
アナベルに何かあったらどうしようと。
以前もアナベルがフルート侯爵邸で倒れた際も目を覚まして以降俺への態度があからさまに変わって俺を避けたことがあったからまたそのような態度を取られてしまうのではないか。
もしもそうなったら俺はどうするかわからない。
アナベルから避けられるくらいならアナベルを誰の目にもとまらず俺だけの側にいるように閉じ込めてしまうだろう。
たとえアナベルに怖がられたとしても俺だけしか見えないように洗脳すればいいとまで考えるだろう。
だが、それ以前にこのままアナベルが目を覚まさなかったらどうしようと俺は柄にもなく混乱した。
俺はアナベルの顔を優しく撫でた。
早く目を覚ましてくれてと願いながら。
すると…アナベルが薄っすらと目を開けた。
俺は慌ててアナベルに声をかけたと同時にアナベルが俺を見て前のような表情を浮かべたらどうしようと緊張した。
しかし、俺の緊張など知る由もないアナベルは俺を見ていつものように"ルシフェルお兄様"と言った。
そして、アナベルは俺の傷口は大丈夫かと力ない声で心配して言った。
俺はアナベルが目覚めた事に心の底から安堵した。
俺はアナベルの体をゆっくりと起こしてアナベルの背中に枕を挟み辛くない体勢にした。
アナベルは俺にお礼を言うと自分はどうしてベッドにいるのかを不安そうに尋ねてきた。
どうやらアナベルは頭が痛くなる前後の事をよく覚えてないようだった。
俺はフルート侯爵領でもアナベルが頭を押さえていた事についてもさりげなく聞いてみたが女に髪を掴まれたところまでは覚えているけれどその後俺が刺された事に気付くまでは記憶が曖昧なようだった。
俺はきっとアナベルの記憶が曖昧な事とフルート侯爵達のあの態度は関係しているのだと確信した。
しかし、その事については追々調べることにした。
俺は目を覚ましたアナベルに水を飲ませてやろうと手渡した。
コップを受け取ったアナベルは意識が戻ってばかりなのか水を飲む時に手が震えて口から水が溢れた。
俺は咄嗟にアナベルの口元を手で拭った。
アナベルは俺の行動に驚き恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせた。
そして、小さな声で謝ってきた。
俺はアナベルの口元に指が触れた事とアナベルの愛らしい表情に体がゾクゾクして昂った。
昂りを悟られない為に俺は王子スマイルを作り大丈夫だと言って今度はハンカチを手に取り優しくアナベルの濡れた口元と首元を優しく拭いた。
そんな俺にアナベルは更に恥ずかしそうにした。
俺はそんなアナベルを見てますます体が昂った。
そして思わずアナベルの唇に触れようとしたその時…アナベルが小さなくしゃみをした。
どうやら頭痛に襲われた時に冷や汗をかいたのか服が汗で湿ったせいで体が冷えたようだった。
アナベルが風邪を引いてまた倒れでもしたら大変だと思い急ぎ着替えを用意させた。
本当は俺が頭の先から足の先までゆっくりと優しく触れながら着替えさせてやりたかったがさすがにそれは難しいとわかっているのでメイドではなく母上にお願いすることにした。
そして、母上がアナベルの着替えを手伝った。
俺はその間自室へ戻った。
そして、アナベルの着替えを済ませた母上が俺の部屋へとやってきて呆れた表情を浮かべながらある物を俺に手渡して呆れた表情のまま立ち去った。
母上が渡してくれたある物とはアナベルが着ていた服だ。
俺が母上にアナベルの着替えをお願いしたのはアナベルの着ていた服を回収する為だった。
俺は母上から渡されたアナベルが着ていた服と下着を見てニヤつきが止まらなかった。
そして、俺は服と下着、先程アナベルの口元と首元を拭いたタオルとアナベルが口をつけたコップを持って俺はベッドへ移動した。
そして、俺は先程アナベルに対して感じた昂りが抑えきれていなかったのでアナベルの服と下着の匂いを嗅ぎながらアナベルの私物が汚れないように自分自身で昂る身体を鎮めた。
そして、次に部屋の中にある本棚へと移動した。
そして本棚の真ん中にある本を押した。
すると本棚が横へ移動した。
そこは本棚に見せかけた本棚を扉にした俺の隠し部屋だった。
俺は隠し部屋へ入ると手に持ってい
たアナベルの服と下着とタオル、コップを空きのショーケースの中へとそれぞれ入れた。
この隠し部屋にはこれまでに集めたアナベルが使ったものやアナベルからもらったもの、隠し撮りした写真などを大切に保管してるアナベルのコレクションの部屋だ。
アナベルが使ったものをこうして集めて眺めるているだけで幸せな気持ちになれるのだから今後もコレクションを増やす予定だ。
アナベルがこの屋敷にいる間アナベルが使用したものはすべてコレクションとして飾る予定だ。
コレクションを飾り終えた俺は隠し部屋を出てアナベルの元へ向かった。
アナベルは着替えをしてベッドの枠にもたれ掛かり座っていた。
俺が戻るなりアナベルは母上に着替えを手伝ってもらっただけではなく着替えまで借りた事にお礼を言ってきた。
そしてアナベルは母上が使っていた服を自分が借りるなんて恐れ多いと言って戸惑っていた。
俺はそんなアナベルに着替えは屋敷にあった昔母上が使っていて今は使っていないものだから気にしなくても大丈夫だと言った。
アナベルは戸惑いつつも一先ずは俺の事に頷いた。
そして、アナベルはアナキス達の事を聞いてきた。
アナキス達の姿が見えないのでどうしたのかと。
俺はアナキス達はアナベルが倒れた事でフルート侯爵家の主治医を呼びに行ったと伝えた。
アナベルは俺の話を聞き改めて自分が迷惑をかけたと申し訳なさそうに謝ってきた。
俺は気にする事などないから今はゆっくりと休んでくれと優しくアナベルの頭を撫でながら言った。
アナベルは驚き顔を真っ赤にして恥ずかしそうにした。
俺はそんなアナベルの顔が見たくてわざと頭を撫でた。
だが、アナベルのその愛らしい表情を見れたと同時に俺の目に別の光景を目に入った。
それは、アナベルのこめかみあたりが赤くなり少し腫れていたのだ。
俺はそれがあの女に髪を強く掴まれた時に出来たものだとすぐに察さた。
きっとロベルが診察した際にはここまで赤身が出てなかったのだと思った。
それを見た瞬間俺はあの女に抑えきれない殺意を覚えた。
俺はそれをアナベルに気づかれないように優しい表情を作っていた。
俺はすでに父上にお願いしてあの女はロザンを付け回していたが俺に危害を加えた事でカイザー公爵家へ引き渡してもらえるよう手配していた。
アナベルに手を出し危害を加えようとした奴を許すわけにはいかないからだ。
俺はあの女がカイザー公爵邸に引き渡された瞬間に女に会う必要があると考えた。
そんな事を考えていた俺にアナベルが俺の傷の心配をしてきた。
アナベルに心配されて俺は女への殺意が和らぎ嬉しい気持ちになった。
本当に俺にはアナベルしかいないと思い知らされるばかりだった。
俺はアナベルが心配してくれるのが嬉しくもっと俺だけの事を考えて俺の事で頭をいっぱいにして欲しいと思い俺は傷口が痛むふりをして座っているアナベルの太もも辺りに頭から寄りかかった。
そんな俺にアナベルは驚き戸惑っていた。
その姿が愛らしくてぞくぞくした。
戸惑うアナベルに俺はこうしていると傷口の痛みが和らぐから少しの間だけこうさせてくれと少し困ったように微笑みながらお願いした。
そんな俺を見てアナベルは戸惑いながらも承諾してくれた。
布団越しだがアナベルの温もりが顔に伝わってきた。
この温もりをこのまま一生感じていたいと思った。
その時…アナベルがぼそりと呟いた。
こんな姿をアナキスが見てしまったらどうするのだと。
それもどこか悲しそうな苦しそうな表情を浮かべて。
俺はすぐにアナベルに何故急にそのような事を言うのか聞こうとした時部屋の扉が鳴った。
外から父上が俺に声をかけてきた。
俺は父上がわざわざアナベルとの時間を過ごしている部屋に来て俺に声を来てきたのはあの女がこの屋敷に引き渡されて来たのだとすぐに理解した。
それでなければ父上が俺のアナベルとの時間をわざわざ邪魔する理由がないからだ。
俺は父上にわかったとだけ返事をした。
その言葉を聞いた父上はそれ以上は何も言わずその場を離れて言った。
そして、俺は父上がいなくなった後に先程アナベルが呟いた言葉についてアナベルに問いかけた。
するとアナベルは少し言いづらそうに俺がアナベルと2人で過ごしているのをアナキスに見られたらアナキスに誤解されるのではないかと心配していた。
誤解されると俺が困るのではないかと。
確かにアナベルの身体にもたれかかっている俺の姿をアナキスが見たら激怒するのは間違いないだろうと思った。
俺はアナキスに今のこの状況を見られても困る事などなかった。
しかし、アナベルが何故そんな事をわざわざ気にするのか意味がわからなかった。
もしかしてアナベルが俺とのそういう姿を誤解されることを心配しているということは誤解されては困るということなのか?!
アナベルは俺との一緒にいる姿を誤解されると困る程に俺に興味がないのか?!
と俺は不穏な感情が湧き立った。
俺はアナベルと2人でいる姿を世界中に見せつけてやりたいほどにアナベルを愛しているというのに。
しかし、俺はこれ以上考えると不穏な感情が更に沸き立ちこのままアナベルを閉じ込めてしまいたい衝動に駆られると思った俺はあえて話題を変えた。
何故アナベルはロザンと一緒にいたのかという話題に切り替えた。
ちょうど理由が知りたかったのでタイミングが良かった。
アナベルは話題を変えられた事に微妙な表情をしていたがすぐにロザンと一緒にいた理由を説明してくれた。
どうやら先日の皇宮へ足を運んでくれた事のお礼にとロザンが独断でアナベルに会いに行ったようだった。
話を聞き改めてロザンが余計な真似をしてくれたなと思った。
やはりロザンは少なからずアナベルに異性としての好意を持っているのはこれで確かだと確信した。
とても胸糞悪かった。
俺がロザンをどう対処すべきか考えているとアナベルが眠たそうにしていた。
アナベルは俺やアナベル自身が思っているより倒れた時の身体の負担が大きいのかもしれないと思い俺はアナベルともう少し一緒にいたいという気持ちを我慢して優しく眠るように言った。
アナベルは大丈夫だと言ったが見るからに眠そうだった。
俺は優しくアナベルを横にならせて布団をかけた。
アナベルは戸惑い申し訳なさそうにしていたが眠気に勝てなかったのかすぐに眠りに落ちた。
俺は寝ているアナベルの顔がとても可愛く愛おしかったのでアナベルが深く眠ったのを確認してアナベルの額にキスをした。
本音を言うと唇にしたかったがそれはアナベルが起きている時に思い切りしたいので我慢した。
そして、俺はアナベルが眠っている隙に引き渡された女の元へ向かった。
カイザー公爵家に引き渡された女は屋敷の地下にある拷問部屋に閉じ込められていると思い真っ先にそこへ向かった。⇠
♡
(ああ、アナベルが足りない。アナベル不足だ)
俺は気が狂いそうになるのを抑えてそんな事を考えていた。
(アナベルからスカーフをプレゼントしてもらった日以来アナベルには一ヶ月近く会えてないな)
俺は更にそんな事を考えていた。
(何かよほどの事や理由がない限りはフルート侯爵邸には足を運べないしな)
俺は苛立ちを覚えつつ更にそんな事を考えていた。
(アナキスもここ最近何かと忙しくしているからアナベルの事を聞きたくても聞けないでいるからな)
俺は不満気にそんな事を考えていた。
(一ヶ月近くもの間にアナベルを一目見て写真でも撮ろうとフルート侯爵領の街へ行ってみたものの全くアナベルに会えなかったからな。アナベルが街へ繰り出す時間帯を狙って行ってたがダメだったな)
俺は落胆した表情を浮かべそんな事を考えていた。
(しかしながらフルート侯爵領へ行くのは俺の日課になりつつあるから今日もアナベルを求めて行くけどな)
俺はフッと満足の笑みを浮かべてそんな事を考えていた。
それから俺は学園が終わると支度をしてフルート侯爵領へ向かった。
(こんなに長くアナベルに会えないなんてどんな酷い拷問よりも拷問だな。皇宮でアナベルを俺の腕の中で閉じ込めていた時の感覚もぬくもりも今でも鮮明に覚えているからなのかどんどん自分のアナベルのへの欲が出ているな。またアナベルを俺の腕の中に閉じ込めたい。それもアナベルが苦しいから抜け出したいと言っても絶対に離さない。ずっと俺の腕の中に閉じ込めて俺しか見えないようにしたくてたまらないな)
俺はフルート侯爵領へ向かう道中一人ニヤつきを浮かべて妄想を膨らませつつそんな事を考えていた。
(今日もアナベルは街へ出ないのだろうか。まさか体調でも崩しているのか?!いや、もしそうならばアナキスはどれだけ忙しくても侯爵邸へ帰るはずだからそれはないだろう)
俺はそんな事を考えていた。
(ツインズの謹慎が解けてからあいつらが学園に来るようになって余計なストレスが溜まっているからアナベルを見て癒されたい。遠くから一目見るだけでもいいんだけどな)
俺はそんな事を考えていた。
そして、色々と考えているとあっという間にフルート侯爵領へ到着した。
俺はいつもの場所からアナベルが居ないか回りを見渡した。
すると、アナベルが居た。
(今日はアナベルが街へ足を運んでいる)
俺はアナベルの姿を見て自然と笑みが溢れてそんな事を考えていた。
(よし、今日のアナベルを写真におさめなければ)
俺はそんな事を考えながらカメラを取り出そうとした。
その時だった…
(あれはロザンか?)
俺はアナベルの横にいる人物を見て表情を歪めてそんな事を考えていた。
「何故ロザンがアナベルと一緒にいるんだ?」
俺は2人の姿を見て表情を更に歪めて呟いた。
(アナキスからはもちろんだが今日ロザンと一緒にいてもアナベルに会うなんて話聞いてないぞ)
俺は表情を歪めたままそんな事を考えていた。
「何故ロザンがアナベルの横にいるんだ?」
俺はロザンに殺意すら湧いてきて呟いた。
「それに何だあのロザンの顔は」
俺は更に呟いた。
「ハッ。あんなあからさまに表情を緩めて笑いやがって」
俺は沸き立つ怒りに更に表情を歪ませ自然に拳に力が入りながら呟いた。
「ロザンの奴、、邪魔だな。俺以外の男がアナベルの横に立っていいと思ってるのか?」
俺は更に怒りに満ちた表情になり呟いた。
(いっそのことロザンを殺すか?あいつ初めてアナベルを見た時から間違いなくアナベルに見惚れていたしアナベルに対して他の女には抱いてはいない好感を抱いてるのは間違いないしな。今後皇太子の権力を使わないとも限らない。事故に見せかけて殺せば大丈夫だろう。いや、、だがそれは今じゃないな)
俺はロザンの顔を見るだけ殺意すらわきつつそんな事を考えていた。
俺が苛立ちつつそんな事を考えているとアナベルとロザンが街から外れてどこか別の場所へ移動しようとしていた。
「ロザンのクソ野郎アナベルをどこへ連れていく気だ?!まさかアナベルと二人きりろうとしてるのか?!あいつは正気か?」
俺はあからさまにロザンが人気のない場所へ移動しようとしているのを見て額に血管を浮き上がらせるくらい怒りが込み上げてそんな事を呟いた。
そして、俺は一先ず二人にばれないように後をつけた。
(あまり近づきすぎるとロザンに気付かれるだろうから気付かれない程度の距離を保つしかないな)
俺は不満気にそんな事を考えながら更に二人の後をつけた。
アナベルとロザンは街から外れた場所を歩いた先は人気のない場所だった。
小さな木や茂みがあり大きくはないきれいな池があり静かで穏やかなまるで森の奥の秘密の基地のような場所だった。
真ん中に二、三人ほど座れるベンチがありアナベルとロザンはそこへ腰かけた。
(人気がない場所だな。恐らくアナベルがロザンが皇太子だということに気を使ってあえて人気のない場所へ向かったのだろう。アナベルなりの気遣いだろうな)
俺は二人が人気のない場所へ移動するのを確認しつつそんな事を考えていた。
(アナベルの気遣いにも気付かずロザンの奴先程よりアナベルとの距離が近くないか?あいつはバカなのか?まさかアナベルの気遣いを何か勘違いしてるのか?!)
俺は二人の近くの茂みに隠れて二人を監視ししながらふと街にいる時よりもロザンとアナベルの距離が近い事に気付き眉間にシワを寄せながら不満気にそんな事を考えていた。
(それに何だあの顔は。まるで何かを言いたいけれど躊躇ったみたいな不快な表情だ。あんな顔をしてアナベルに何を言う気だ?!余計な事でも吹き込むつもりなのか?!あの野郎、、殺してやろうか?)
俺はロザンの表情を見てロザンがアナベルに何かを伝えようと思っている事に気付き殺意を覚えつつそんな事を考えていた。
(そもそも最初からロザンがアナベルに向ける視線も気に入らなかった。初めて温室でアナベルを見た時のロザンの表情は完全にアナベルに見惚れている顔だった。皇宮でもアナベルと一緒にいたし皇后にまでアナベルを会わせた。本当に一つ一つ癪に触る)
俺は更にロザンに対して怒りが増してそんな事を考えていた。
(チッ。ここからでは二人の会話が聞き取れないな)
俺は思わず舌打ちしながら二人を見てそんな事を考えていた。
(まさか、ロザンの奴アナベルに皇太子妃になってくれなんて戯れ言言うつもりじゃないよな?!)
俺はロザンの表情を見て最悪の展開を想像して思わずそんな事を考えていた。
(クソッ。もう限界だ。このままロザンをアナベルの近くにいさせる訳にはいかないな。それにこれ以上ロザンを見ていると本当にあいつの喉をかっ切って黙らせてしまいそうだ)
俺はすでに二人が一緒にいることに対する怒りが限界に達てしていてこのままではロザンに対する殺意が増す一方だと思いつつそんな事を考えていた。
そして、俺はこれ以上二人が一緒にいる姿を見れないと思い堂々と二人の前に姿を現そうと思ったその時だった。
俺が隠れている場所の向いの茂みに人影がある事に気づいた。
(あれは人か?)
俺は茂みの方を見てそんな事を考えていた。
そして俺がそんな事を考えていると勢いよく茂みからその人影と思われる人物が飛び出した。
「あいつは、、」
俺は飛び出してきた人物を見て思わず声を漏らした。
(チッ。あの制服、、。アカデミーの奴じゃないか。何でこんなところにアカデミーのクソ女がいるんだ?!)
俺は飛び出してきたアカデミーの制服を着ていた女子生徒を見て表情を歪めてそんな事を考えていた。
(おい!あの女アナベルのところへ行くつもりか?!正気なのか?!)
俺は嫉妬と怒りが混じった表情を浮かべた女の行動を見て焦り考えていた。
「アナベル!!」
突然自分に向かってきた女を見て状況が把握できず驚いた表情のアナベルを見て思わず焦り声を出した。
そして、俺はすぐさまアナベルの元へ走った。
(あのクソ女最初からアナベルを狙ってたのか)
俺は女の歪んだ表情を見て焦りそんな事を考えていた。
「お前ごときがよくも」
女は俺がアナベルの元へ着く前にアナベルの元へ行きアナベルの髪の毛を思い切り掴みながら表情を恐ろしく歪めて叫び言った。
「あぁぁ、、ゔぅっ」
髪の毛を思い切り掴まれたアナベルは表情を歪めて鈍い声を漏らした。
アナベルは混乱と恐怖と痛みで表情を歪めた。
「クソッ」
俺は目の前のその状況を見て自分でもわかる程怒りと焦りで表情を歪ませ言いながらアナベルの元へと走った。
「お前なんかが殿下の隣にいるなんて許せない。お前なんか死ねばいい」
女が完全に理性を失っている様な怒りの表情でアナベルへ吐き捨てながら言うとポケットからナイフを取り出しアナベルめがけて迷いなく刺そうとした。
「ゔぅぅ」
アナベルは動く事もできず涙を流して鈍い声を漏らした。
「アナベル」
俺は必死に叫びアナベルの前へ立ちはだかった。
グサッ、、
女は急に俺が現れ驚いたがすでに時遅くナイフが俺の腹へと刺さった。
「くっ」
俺は思わず声を漏らした。
「あ、あぁぁ」
女は俺を刺したことで驚きを隠せないままアナベルの髪を掴んでいた手を離して同時にナイフを持つ手も離しその場に座り込みながら表情を歪めて声を漏らした。
「カ、カイザー小公爵様?!」
女は俺に気付き顔を真っ青にして呟いた。
「ようやく気づいたようだな」
俺は女を冷たい表情で睨みながら言った。
「あぁぁ、、そんな、、」
女はその場にへたり込んだまま驚愕と焦りの表情で声を漏らした。
(本当に浅はかで愚かだな。アカデミーの人間な事を考えると大方ロザンの後でもつけてきたんだろうな。アカデミーにはアナスタシアとグレイシア以外にも俺たちにすり寄ってくるクズ達はごまんといるからな)
俺は虫けらを見る様な目で女を見てそんな事を考えていた。
そして、俺はそんな女など放っておいてすぐにアナベルの様子を確認した。
アナベルはその場に座り込み何やら様子がおかしかった。
(アナベルの様子がおかしいぞ。顔が真っ青じゃないか。頭を押さえてるしクソ女に髪を引っ張られたのが相当痛く怖かったんだろうか)
俺は焦りながらそんな事を考えていた。
(それにしては様子が変だ。ただ恐怖に怯えてるだけとは違う気がするのは気のせいか?)
俺はアナベルの顔を少し覗き込みながら焦る気持ちの中そんなことを考えていた。
(チッ。アナベルをこんなに苦しめやがって)
俺はアナベルをこんな風にしてしまった女を思い切り睨みつけてそんな事を考えていた。
その時、ロザンが戻ってきた。
「え?ルシフェル?!どうして君がここにいるんだ?い、一体どういうことなんだ?!」
ロザンは俺たちの所へかけよると目の前の状況を見て混乱しつつ言った。
「ルシフェル!君、刺されたのか?!大丈夫なのか?!」
ロザンが俺の腹を見て焦り近寄ってきて言った。
(チッ)
俺はロザンを睨み付けながら内心思い切り舌打ちをした。
「えっと、、」
ロザンは俺に睨まれて困惑気味に言った。
「そこに座り込んでいる女を見てみろ。アカデミーの奴だ。大方お前の後をつけてここまでやったんだろう。お前がアナベルかは離れた隙にアナベルを襲おうとしたんだ。俺は咄嗟にアナベルを庇い代わりに俺があの女に刺されたんだよ」
俺は近寄ってきたロザンに小声で耳打ちした。
「何だって?!」
ロザンは俺の耳打ちに驚き言った。
(こいつのこういうところが本当に腹が立つ。皇太子の癖にどこか抜けてて脇が甘く危機感に欠けている。普通アカデミーからつけられてたら気付くだろ?しかもあんな下衆な奴の尾行だ。危機感がない上にお前が勝手にアナベルに会いにきたせいでアナベルが危険に晒されたんだぞ?本当に頭にくる。皇太子だろうが何だろうが今ここで息の根を止めてやりたいくらいだ)
俺はロザンを睨みながら今にも爆発しそうな怒りを抑えながらそんなことを考えていた。
「一先ず待たせている護衛を呼んでくるよ」
ロザンは焦り言うと急ぎその場を離れて護衛の元へと向かった。
(ロザンがアナベルの元へと訪れなければこんな事態になどならなかったというのにな)
俺はそんな事を考えながら苛立ったいた。
すると、すぐさまロザンが護衛を連れて戻ってきた。
「すぐに彼女を拘束するんだ」
ロザンが険しい表情で護衛へ言った。
「「承知しました」」
護衛達が厳しい表情で言った。
そして、護衛達はへたり込んでいた女の腕を両側から持ち立ち上がらせると女の手をしっかりと縄で結び護衛達に連れて行かれた。
「アナベル大丈夫?」
俺は護衛が女を連れて行ったのを見て慌ててアナベルへ焦り言った。
「え?ルシフェル、、お兄様?」
アナベルは急に俺の声にハッとなり言った。
「どうしてルシフェルお兄様がここに?、、ってえ?」
アナベルは戸惑いながら言うと俺を見て一気に表情を歪ませた。
「ル、ルシフェルお兄様、、ナイフが刺さって血が出て、、え?ど、どうしましょう私のせいで、、」
アナベルはナイフが刺さったままの俺の腹を見て表情を歪めて涙を浮かべながら混乱しつつ言った。
「アナベル落ち着いて。私は大丈夫だから」
俺は混乱するアナベルを見てアナベルを落ち着かせるように笑みを浮かべて優しく言った。
「ナイフが刺さっているのに大丈夫じゃないわけないじゃないですか」
アナベルは涙をポロポロ溢しながら言った。
「一体どうしてルシフェルお兄様がこんな目に、、」
アナベルは更に言った。
「本当に大丈夫だから」
俺は更に優しくアナベルをなだめる様にアナベルの頭を優しく撫でながら言った。
(アナベルはかなり混乱してるな。無理もないが先ほどのアナベルの様子からしてこれ以上アナベルを混乱させてしまうのはよくないな)
俺はアナベルの頭を撫でながらそんな事を考えていた。
「ルシフェル、馬車を手配したからそれに乗ってカイザー公爵邸へ急ぎ戻れ医者に診せるんだ。君の事だから自邸の医者以外に診察させるのは嫌だろうからね。カイザー公爵へはすでに事情を連絡しておいたから」
その時、ロザンが心配そうな表情で言った。
「わかった。助かるよ」
俺は内心別に感謝などしてないがそう言った。
「先ほどの女子生徒に関してはこちらからまた連絡するよ」
ロザンは少し戸惑いつつ言った。
「わかった」
俺は淡々と言った。
「アナベル大丈夫かい?突然の事で驚いただろう?すぐにフルート侯爵邸まで送るよ」
ロザンが焦った表情でアナベルへ言った。
「いいえ。私のせいでルシフェルお兄様が刺されてしまったのに家へ帰る事などできません」
アナベルは首を横に振り心配そうに涙を流しながら言った。
「し、しかし」
ロザンがそんなアナベルを見て焦り言った。
「私はカイザー公爵邸までルシフェルお兄様に付き添います」
アナベルが涙を流したまま言った。
「わかったよ。それでは私がフルート侯爵邸へ向かい事情を説明しておくよ」
ロザンは少し考えた後にバツが悪そうに言った。
(さすがに自分にも非がある訳だしこれ以上は強く言えないと思ったんだろうな)
俺はバツの悪そうなロザンを見て冷ややかな目をしてそんな事を考えていた。
「一先ずはカイザー公爵邸へ着くまでこれで応急処置しておこう」
ロザンが護衛を呼びに言った際に持ってきたであろう大きめの清潔な布を俺の刺された場所を押さえながら言った。
「大量出血する恐れがあるからナイフなむやみに抜けないが幸い深く刺さっていないようだからとにかく布で押さえて止血しておくんだぞ」
ロザンが心配そうに言った。
「あぁ。わかったよ」
俺は淡々と言った。
(どうしてお前がやるんだよ。アナベルがやってくれて初めて意味がある行動だというのに。本当はアナベルに応急処置をして欲しかったが今は俺よりアナベルの方が心配になるほど混乱しているからあえて何も言わなかったのに余計な事をしやがって)
俺はロザンに対する怒りが込み上げてくるのを堪えながらそんな事を考えていた。
「では、アナベル。ルシフェルを頼んだよ」
ロザンは複雑な表情を浮かべて言った。
「はい」
アナベルは不安気な表情を浮かべながらも言った。
そして、俺とアナベルはロザンが手配してくれた馬車へと乗りカイザー公爵邸へと向かった。
「ルシフェルお兄様もう少しだけ辛抱して下さいね。こんなに出血しているのに止血しかすることが出来ないなんて」
アナベルが涙を浮かべながら心配そうに言った。
「仕方ないさ。ロザンが言った通りナイフを抜いてしまう方が危ないからね」
俺はアナベルを安心させるように優しい困り笑みを浮かべて言った。
「だけど、、先ほどより痛みが増してきたみたいで少しばかり不安だからアナベルが手を握ってくれないか?そしたら安心できそうな気がするんだ」
俺は不安気な表情を浮かべて言った。
「わかりました。そんな事で痛みや不安が軽減されるならいくらでも」
アナベルは頷きながら優しく俺の手を握りながら言った。
(あぁ、温かい。久しぶりのアナベルの温もりだ)
俺はアナベルの手から伝わってくる温度を感じながら満たされる気持ちになりそんな事を考えていた。
「本当に私を庇ったせいでこんなことになってしまいごめんなさい」
アナベルはギュッと俺の手を握りながら申し訳なさそうに言った。
「アナベル、本当に気にしなくていいんだよ。私が勝手にやったことなんだから。それにアナベルが危ないと思ったら気持ちより先に体が前に出てたんだよ。アナベルが無事だったんだから後悔だってしてないわけだからね。むしろアナベルを守れて光栄だよ」
俺は優しく王子スマイルを浮かべてアナベルを安心させるように言った。
「ルシフェルお兄様、、」
アナベルはまた涙を浮かべながら切ない表情で言った。
(あぁ。アナベルその顔は反則だ。愛おしくてたまらないな。そんな切ない顔をされたら無理矢理にでも顔を引き寄せて優しくキスをした後に貪りつきたくなるな。あぁ、生のアナベルが久しぶりすぎてこの状況はまずいな。アナベルは本気で俺の心配をしてくれているのに俺はアナベルを抱き締めてキスして腕の中に閉じ込めたいという考えばかりだ。まぁ久しぶりに会ったんだからそう思うのも無理ないな)
俺は欲望を隠しながら内心はそんな事を考えていた。
「ゔぅぅ、、」
俺は表情を少しだけ歪ませて鈍い声をあえて漏らした。
「ルシフェルお兄様大丈夫ですか?また痛みが強くなったのですか?」
そんな俺にアナベルは慌てて心配そうに言った。
「冷や汗まで出てきて」
アナベルは俺の顔を見て心配そうに言うとハンカチを取り出して俺の顔の汗を優しく拭いてくれた。
「早くカイザー公爵邸に着かないかしら」
アナベルは俺の汗を拭きながら独り言を呟いた。
(ハンカチからアナベルの香りがするな。何なんだこの幸せな時間は。この時間が永遠に続けばいいのにな)
俺は幸せな時間を噛みしめながらそんな事を考えていた。
(実際のところ刺されたところは大して痛くもないわけだがアナベルが俺だけを見て俺だけをこうして心配してくるなら痛い演技なんて一生してやるさ)
俺は更にそんな事を考えた。
その後もアナベルに手をずっと握ってもらい幸せな時間を過ごしていたが気付けばカイザー公爵邸へ到着した。
「ルシフェルお兄様やっと着きましたよ。もう少しの辛抱です」
アナベルが心配しながらもホッとした表情で言った。
「あぁ」
俺は辛そうな表情を作り言った。
(チッ。もう着いたのか。まだまだアナベルとのこの時間を過ごしたかったというのに)
俺は内心不満に思いそんな事を考えていた。
御者が馬車の扉を開けると邸から急ぎこちらへ向かう父上と母上が目に入った。
(あぁ、あの表情はロザンから事情を聞いたんだな)
俺は両親の表情を見てそんな事を考えていた。
「ルシフェルお兄様、公爵様と公爵夫人がこちらへ向かわれてますので馬車から降りるのに手をお貸ししますね」
アナベルが心配と緊張を帯びた表情で言った。
「ありがとう。助かるよ」
俺は辛そうな笑みを作り浮かべ言った。
そして、アナベルは一生懸命俺の手を握ってゆっくり俺を支えて馬車から降りるのを手伝ってくれた。
(あぁ、なんて健気なんだ。アナベルがこうして俺だけを思いながら心配してくれるのならばいっそ本当に大怪我をするのも悪くないな)
俺はアナベルの手をギュッと離さず繋ぎ温かさを感じながら顔がニヤけるのを堪えながらそんな事を考えていた。
そして、父上と母上が俺の元へとやってきた。
しかし、先ほどまで血相を変えていた二人は何故か俺を呆れた表情で見ていた。
(あぁ、、あの顔はきっと二人とも俺とアナベルの様子を見て俺が刺された事自体は特に問題ないと気づいたんだな)
俺は両親だけに見える様にニヤリと悪い笑みを浮かべてそんな事を考えていた。
「公爵様、公爵夫人にご挨拶申し上げます」
そんな状況に気付いてもいないアナベルは緊張した面持ちで両親へ行った。
「あぁ。わざわざ息子に付き添ってくれてありがとう」
父上が呆れた表情を隠して言った。
「とにかく早く屋敷の中へ。医師を待たせているから」
母上は俺を少しチラりと見ながら言った。
「はい」
アナベルは小さく頷きながら言った。
そして、俺たちは屋敷へ入り一直線に俺の自室へ向かった。
すでに自室の前にカイザー公爵家の専属医師であるロベルが待ち構えていた。
「坊っちゃま」
ロベルが俺の姿を確認するなら慌てて言った。
「あ、、」
だがすぐに俺と両親の表情、アナベルの姿を見て何かを悟ったように慌てるのをやめ声を漏らした。
(さすがロベル。察しが早いな)
俺はロベルの態度を見てニヤリと笑みを浮かべてそんな事を考えていた。
「ルシフェルお兄様早くお医者様に診てもらい治療を受けて下さい」
アナベルがロベルを見るなり心配そうに慌てて言った。
「わかったよ」
俺はわざと傷口に手を回して優しく言った。
「フルート侯爵令嬢、ルシフェルはしばし診察を受け治療をするからあなたは別室で待っていてくれるかしら?ルシフェルの診察が終わり次第ロベルにあなたも診察してもらうからそれまでゆっくりしていてちょうだい」
母上が心配そうなアナベルへ優しく言った。
「わ、私は診察など大丈夫ですので」
アナベルが慌てて言った。
「そういう訳にもいかないわ。自分でも気付かないうちに怪我をしているかもしれないのだから気にしないでいいのよ。ね?」
母上は慌てるアナベルへ優しく微笑みながら言った。
「分かりました。ご配慮感謝したします」
アナベルは断りづらいのか申し訳なさそうな表情で言った。
そして、アナベルはメイドに連れられ別室へと向かった。
アナベルが行ったのを確認すると俺の部屋には俺と両親とロベルだけになった。
「ルシフェル、一応ロベルの診察を受けておきなさい」
母上が呆れた表情で言った。
「ロベルよろしくね」
母上がロベルへ言った。
「承知しました」
ロベルが言った。
そして、俺はベッドへ移動してロベルの診察を受けた。
「まぁ何といいますか、、既にお分かりかとは思いますが命に別状はありません。幸い傷も深くはありませんし急所もしっかりと外れていますので数週間もあれば、、いえ下手をすれば坊っちゃまなら数日で傷もふさがり回復されるかと思います」
診察をしたロベルは淡々と説明した。
「チッ。そんなにすぐ治るのか」
俺はロベルの診察結果を聞き不機嫌そうに言った。
「はい。坊っちゃま自身があえて急所を避けられたのですから当然の事です」
ロベルは淡々としたまま言った。
「公爵様から皇太子殿下からのご伝言をお聞きした時は肝が冷えましたが屋敷へお戻りになった時のご様子を見てすぐに軽症だと気付きましたからね」
ロベルが更に淡々と言った。
「やはりロベルの目は騙さないな」
俺はニヤリと笑みを浮かべて言った。
(だてに父上が生まれる前からカイザー公爵家の専属医なだかはあるな。祖父、父上、俺とカイザー公爵家の男たちを散々見てきてるんだからな)
俺はロベルを見てそんな事を考えていた。
「昔の公爵様を見ているようです」
ロベルは少し呆れた表情で言った。
「まぁ親子だからな」
父上が誇らしげに言った。
「アレクサンダー、そこは誇らしげに言うところではないでしょう」
母上が呆れた表情で言った。
「好きな相手を助けた上に軽症で済んだのだぞ?誇るところじゃないか。好きな相手を手に入れる為なら多少は策略も必要だからな」
父上は当たり前のように言った。
「まったく、、。そんなところばかりアレクサンダーに似るんだから」
母上が呆れた表情で言った。
「ロベル、後でアナベルを診察する際は頭の先から爪の先まで念入りに診察してくれ。小さな傷一つも見逃すな」
俺はきっぱりと言った。
「承知しました」
ロベルが頷きながら言った。
「あ、それとアナベルには俺の状態があまり善くないと伝えておいてくれ。刺された傷が深く回復には2ヶ月ほど時間を要すると伝えてくれ」
俺は淡々と言った。
「私に嘘を伝えろと?」
ロベルは驚き言った。
「別に問題ないだろう?俺が軽症だと知ればまたアナベルと当分会えなくなるかもしれないんだぞ?そうなれば俺は何をするかわからないぞ?」
俺は淡々と言った。
「それに、こんな状況になったのは一度や二度じゃないんだから父上の時みたく上手くやってくれよ」
俺はニヤリと笑みを浮かべて言った。
「そう簡単に仰られましても、、」
ロベルは呆れた表情で言った。
「カイザー公爵家の男性陣は代々何故もこう惚れた相手に対してこのような対応なのでしょうか」
ロベルが頭を抱えながら言った。
「惚れた相手を一途に思い誰にも渡したくなく自分の生涯の相手にしたいと思うのはとてもいいことだろ?それとも何か?色んな愛人を囲めと?」
俺は嘲笑うように言った。
「ルシフェルの言う通りだ」
父上が頷きながら言った。
俺たちの反応を見たロベルは呆れた表情を浮かべていた。
母上も同じ表情を浮かべていた。
「もう結構でございます。坊っちゃまのご指示通りに致します」
ロベルは半ば諦めたように言った。
「頼んだぞ」
俺は笑顔で言った。
「さぁロベル。早速アナベルの元へ向かってくれ。将来の公爵夫人なのだからカイザー公爵家の人間だと思い丁重に対応するように」
俺は当たり前のように言った。
「承知しました」
ロベルは面倒臭そうな表情で言った。
(本当にロベルは表情を隠しもしないからな。公爵家の人間に対してこの態度が出来るのはロベルくらいだろうな。まぁロベルがいてくれるからこそ祖父も父上も俺も助かってるわけだけどな)
俺はフッと笑みを浮かべてそんなことを考えていた。
「ルシフェル。侯爵令嬢を思う気持ちは分かるけれど行動があまりにも度が過ぎたら結果令嬢を傷つけてしまう事だってあるのだから程々にしなさい。私は令嬢側だから気持ちがわかるのだから助言するのだからね」
俺とロベルのやり取りを聞いていた母上が呆れながらも真面目に言った。
「私の事を言ってるのか?もしかして君も気付いていたのか?」
父上が寂しそうに母上へ言った。
「いいえ。私は傷つく前に上手くあなたに丸め込まれたから今はあなたに愛されて幸せよ。ただ、あなたの行動を身にもって知ってるからこそ私たちの息子には暴走しないようにと釘を刺してるのよ」
母上は父上が不安がらないように優しい表情を浮かべて言った。
「そうか、、。幸せか。私もとても幸せさ」
父上は幸せそうな笑みを浮かべて言った。
(普段は恐れられている父上だが母上の前ではただの一人の女に惚れた男だな。あんな表情を見せる相手も母上たった一人だからな。しかしながら今回はアナベルが危険な目に遭ったこと自体は許しがたい事態だがアナベルを庇い上手く事を運べたのは父上の話を聞いたことを思い出したからだから父上には感謝だな)
俺は幸せそうな表情を浮かべる両親を見てそんな事を考えていた。
「とにかくルシフェル。いくら侯爵令嬢を手に入れたいからといってやりすぎはやくないわよ?」
母上が改めて念を押すように言った。
「分かりました。助言ありがとうございます」
俺は頷きながら言った。
そして、ロベルがアナベルの元へと向かい丁寧にアナベルを診察した。
そして、俺の指示通りにロベルがアナベルへ俺の状況を伝えた後でアナベルがロベルと共に俺の部屋へやってきた。
「ルシフェルお兄様、、」
部屋に入ってくるなりアナベルが涙を浮かべながらベッドにいる俺の元へ駆け寄ってきた。
「ロベル様から聞きました。ルシフェルお兄様の状況があまりよくないと」
アナベルは涙を浮かべながら心配そうに言った。
「私のせいでお兄様がこんな事に、、本当にごめんなさい」
アナベルは本当に申し訳なさそうに言った。
「アナベル。泣かないで。私は本当に大丈夫だから。それにアナベルのせいなんかじゃないんだから。悪いのはアナベルに危害を加えようとした者だよ?それに私はアナベルを守れる事ができて心からよかったと思っているしこれはアナベルを守ったという証だから」
俺はアナベルの頭を優しく撫でながら優しく笑みを浮かべて言った。
(あぁ、アナベルが俺の事を心から心配してくれている。至福な時間でしかないな)
俺はアナベルを思わず抱き寄せてしまいそうなのを堪えそんな事を考えていた。
「ルシフェルお兄様は優しすぎます。こんなに重傷だというのに」
アナベルは悲しそうに言った。
「公爵様、夫人。ルシフェルお兄様にこんな傷を負わせてしまい本当に申し訳ありません」
アナベルは涙を浮かべて心から申し訳なさそうに両親へも言った。
「ルシフェルの言う通り君も被害者なのだから君が負い目を感じることなどない」
父上は少し困惑気味に言った。
「そうよ。それに命に別状がある訳でもないし時間が経てば治るのだからそこまで気を揉むことはないわ」
母上は戸惑い気味に言った。
(まぁ二人は俺が軽症だって知ってるからアナベルに純粋に謝られても罪悪感が残るよな)
俺は両親の表情を見て苦笑いを浮かべてそんなことを考えていた。
「ですが、このままでは申し訳なくて私の気が済みません。私に何かできることはありませんか?」
アナベルが切実に両親へ言った。
アナベルの切実な思いに両親は少し戸惑って俺の方をチラりと見た。
「アナベル。本当に気にしなくてもいいんだよ」
俺は優しくアナベルへ言った。
「そういう訳にはいきません。何か私にお手伝いできることがあるのなら言って下さい。でなければ申し訳なさでいっぱいです」
アナベルは切実に言った。
(本当に何て純粋で優しい子なんだろ。俺のためにそこまで考えてくれるなんて。そろそろ提案する頃合いか、、)
俺は切実に話すアナベルを見て嬉しい笑みを堪えそんなことを考えていた。
「では、私の怪我治るまでアナベルが私の身の回りの世話をしてはもらえないかな?怪我をしていて何かと不便がありそうなんだ」
俺は困り笑みを浮かべて言った。
(少々大胆な提案だがアナベルの性格ならきっと了承してくれるに違いない)
俺はニヤリと笑みがこぼれるのを堪えてそんなことを考えていた。
俺の言葉を聞いたアナベルはとても驚いた表情を浮かべていた。
「、、分かりました。ルシフェルお兄様の怪我が早く善くなって少しでも生活しやすくなるように最善を尽くします」
アナベルは少し悩んだ末に少し戸惑いつつも言った。
「ありがとうアナベル。とても助かるよ」
俺は優しい満面の笑みで言った。
そんな俺にアナベルは少し恥ずかしそうな戸惑いのような表情を浮かべていた。
(あぁ、急なお願いに戸惑ってるアナベルも可愛くてたまらないな。きっと俺の提案にビックリしたけど色々悩んで決めてくれたんだろう。俺の事を思い考えて出した結果だからたまらなく嬉しいな。あぁ、これからずっとアナベルが近くにいるなんて考えただけでまずいな)
俺は内心興奮気味にそんな事を考えていた。
俺の大胆な提案を聞いていた両親とロベルはあんぐりとした表情を浮かべていた。
俺が喜びを噛み締めていたその時だった、、
メイドがやってきて屋敷にフルート侯爵夫婦とアナキスがやってきたと報告があった。
「お父様達が?」
メイドの報告を聞いたアナベルが驚き言った。
(来るとは思ってたが予想していたより遥かに早い到着だな。せっかくいいところだったのに)
俺は報告を聞いて内心苛つきながらそんな事を考えていた。
「申し訳ないのですがお父様達の元へと行ってきてもよろしいですか?」
アナベルが戸惑いながら言った。
「もちろんだとも。アナベル達もアナベルを心配して来たんだろうから行ってやるといいよ」
俺は内心行かせたくなかったがそんな事を言えるわけもなく優しく笑みを浮かべて言った。
「ありがとうございます」
アナベルはほっとして笑みを浮かべて言った。
そして、アナベルは両親達に軽く会釈をするとフルート侯爵達の元へと向かった。
「父上、お願いがあります」
俺はアナベルがいなくなると笑顔を引っ込めて淡々と言った。
「何だ?」
父上が言った。
「フルート侯爵達にアナベルにうちの屋敷に当分の間滞在して欲しいと提案して下さい。アナベルは既に俺の身の回りの世話をしてくれると約束してくれたのでその為にわざわざフルート侯爵邸から火曜のは不便なので世話をしてもらう間はうちの屋敷に滞在した方がアナベルの負担も軽減すると伝えて下さい。まぁアナキスが提案を拒否するでしょうけど実際俺の怪我の状況を見させて提案を断り辛くして話を進めましょう」
俺は父上に提案を持ちかけた。
「まぁ確かにわざわざフルート侯爵邸からここに通うのは不便ではあるからな。わかった。一先ず提案は投げ掛けてみるとしよう」
父上は少し考えたのちに首を縦に振り言った。
「ありがとうございます」
俺はニヤリと笑みを浮かべて言った。
(父上の様にこういう時にこういう気持ちが分かる相手がいると心強いな。実際父上も一筋縄ではいかない母方の祖父母を結局は言いくるめた実績の持ち主だから俺の気持ちを理解してくれて助かる)
俺はそんな事を考えていた。
「ロベルも上手くフルート侯爵達へ俺の病状を伝えてくれよ」
俺は言った。
「承知しました」
ロベルは淡々と言った。
俺はメイドにアナベル達を俺の部屋へ通せと伝えた。
しばらくするとアナベルと共にフルート侯爵達が俺の部屋へとやってきた。
部屋に入るなりフルート侯爵夫婦もアナキスも俺の状態を見て驚いた表情を浮かべていた。
「小公爵、この度は娘を守って下さりありがとうございました」
そして、侯爵が俺の前へとやってきて礼を言った。
「そして、カイザー公爵。大切なご子息に娘の代わりに怪我を負わせてしまい申し訳ありませんでした」
侯爵は次に父上へと言った。
「フルート侯爵。体を張り彼女を守る事ができたのだから気にしないで下さい」
俺は困り笑みを浮かべて言った。
「しかし、、」
侯爵は戸惑いながら言った。
「息子もこう申しているし息子も命にかかわるような怪我を負ったわけではないのだからこれ以上気にしなくてもよい」
父上が言った。
「ありがとうございます」
侯爵が頭を深々と下げながら言った。
「それよりもある程度話は聞いていると思うが先ほどこちらの医師のロベルが侯爵令嬢を診察したのでその話も含め詳しく話をしたいから一先ず椅子へかけてくれ」
父上がフルート侯爵へ言った。
「はい」
侯爵は少し複雑な表情で言った。
そして、皆が椅子へ座るとロベルが侯爵達へ説明を始めた。
「この度は娘を丁寧に診察して下さりありがとうございました。どうお礼を言えばいいか」
侯爵はロベルの話を聞き少し戸惑いながらもロベルや父上へお礼を言った。
(侯爵のあの表情はアナベルが診察してもらった事に不満なのか?)
俺は礼を言う割には微妙な表情を浮かべている事に気付きそんな事を考えていた。
「いや、侯爵令嬢が大きな被害を受けなくて何よりだ」
父上は心配気な表情で言った。
「はい」
侯爵は複雑な表情で言った。
「あぁそれからこれは先ほど君たちが来る前に話をしていた内容なのだが息子の怪我が善くなるまで侯爵令嬢がこの屋敷に滞在して息子の世話の手伝いをしてもらうことになった」
父上は淡々と言った。
「はい?!い、今何と?!」
父上の言葉を聞いた侯爵は驚愕して思わず声を張り言った。
横にいた侯爵夫人はあまりの衝撃に言葉を失いアナキスは表情を歪めていた。
「娘がこの屋敷に滞在して小公爵の世話を?!」
侯爵は驚愕したまま言った。
「そのような事許可できません」
侯爵は怒りがこもり表情を歪めて言った。
「侯爵の言い分はよくわかるが」
父上が冷静に言った。
「いいえ。こればかりは許可する訳にはいきません。娘も被害を受けたのですから娘は連れて帰らせて頂きます」
侯爵は冷静な父上の言葉を無視して言った。
(侯爵のあの反応を見るにアナキスだけではなくて侯爵夫婦も俺にアナベルを近づけたくないようだな)
俺は侯爵夫婦の反応を見て不満気にそんな事を考えていた。
(アナキスだけでも厄介だというのに)
俺は更にそんな事を考えていた。
「侯爵、少し落ち着いて話をしよう」
父上も侯爵達のあからさまな反応を見て冷静に言った。
「申し訳ありませんがこの件に関してお話することはありません。とにかくすぐに娘を連れて帰らせて頂きす。娘に対して丁寧に対応して下さった件に関しましては改めてお礼をさせて頂きますので」
侯爵はとにかく頑なに言った。
(自分よりも目上の父上に対しても頑なに拒否するとは相当な嫌悪が伝わってくるな。父上達もさすがに気付いてるだろうな)
俺はそんな事を考えていた。
「お父様落ち着いてください。この件に関しては私が自分の意思で決めた事なのです。私を庇ったせいで怪我を負ってしまったルシフェルお兄様が少しでも早く善くなるように私がお手伝いできることがあればお手伝いしたいのです」
そんな侯爵を見かねたアナベルが慌てて言った。
「しかし、そうは言ってもアナベルも被害者なのだ」
侯爵は困惑しつつ言った。
「そうだよアナベル。君も怖い思いをした被害者なんだかはルシフェルの看病をするより先に屋敷に戻ってしっかり身体を休める方が先だ」
アナキスも困惑しつつ横から言った。
侯爵夫人は心配そうにアナベルを見つめていた。
「だけどこのまま帰ったら私はきっと後悔が残るしルシフェルお兄様の怪我の具合が気になって休むに休めないと思うのです。ですから公爵様のお言葉に甘えてこちらの屋敷でルシフェルお兄様の身の回りのお世話を手伝いたいのです。お父様どうかお許しくださいお願いします」
アナベルが切実に言った。
「だがしかし、、」
侯爵はアナベルの切実な姿に更に困惑しつつ言った。
(あぁさすがはアナベルだ。俺のためにあそこまで切実に懇願してくれるなんてな)
俺はアナベルの姿を見て愛しさが込み上げてきてそんな事を考えていた。
「お願いしますお父様」
アナベルは更に真剣に切実に言った。
そんなアナベルに侯爵は困惑しつつ夫人とアナキスを見た。
アナキス達もかなり困惑していた。
そして、、
「わかった。アナベルがそこまで言うのであればこの件許可するよ」
侯爵はあからさまに納得がいっていないようだったが観念して言った。
「ありがとうございますお父様。これでルシフェルお兄様に助けて頂いた恩返しができます」
アナベルがホッと安心した様に微笑みながら言った。
「あ、あぁ、、」
侯爵は複雑な表情で言った。
「侯爵、心配になるのは当然かと思いますが令嬢をこちらでお預かりする間は私が責任を持ちきちんと対応させてもらいますから安心して下さい」
侯爵達を見かねた母上が優しく言った。
「ありがとうございます。よろしく、、お願いします」
侯爵はまった納得していない表情で渋々言った。
「アナベル本当に大丈夫なのか?アナベル自身の体調は本当に大丈夫なのか?」
侯爵が心配そうに言った。
「本当は辛いのに無理してるんじゃないよな?」
アナキスも心配そうに言った。
「少しでも辛いなら無理する必要はないぞ?」
侯爵が更に言った。
(何なんだこいつらは。こちらの提案を承諾した癖にいつまで往生際の悪い事を言ってるんだ?!)
俺は侯爵達の反応を見て苛立ちを覚えてそんな事を考えていた。
俺はそんな侯爵達に苛立ちの限界を感じ早くこの屋敷から追い出したくなり自分の傷口をバレない様に自分の手で無理矢理えぐりわざと洋服から血が滲むようにした。
「ゔぅぅ」
そして、俺はあえて苦痛の表情を浮かべて鈍い声をあげた。
「ルシフェルお兄様傷口から血が」
俺の声に気づいたアナベルが俺の姿を見て血相を変えて言った。
「ルシフェル」
アナキスも俺の血の滲む姿を見て焦り言った。
侯爵と夫人もさすがにその姿に焦りを見せ驚いた表情をしていた。
「ルシフェルお兄様大丈夫ですか?!」
アナベルが慌てて言った。
「あ、あぁ大丈夫だよ。ただ、、少し傷が開いたみたいだね」
俺はわざと苦渋の表情を浮かべて言った。
「ど、どうしましょう。また血が」
アナベルは更に慌てて心配そうに言った。
「大丈夫だよ」
俺は苦渋の表情を浮かべたまま優しく笑みを作り言った。
「侯爵。見ての通り息子の具合がよくない。すまないがそろそろ帰ってもらってもいいか?」
父上が圧をかけながら言った。
「承諾致しました、、」
侯爵はさすがに戸惑いながらも首を縦に振り言った。
「では、アナベル。我々は屋敷へ戻るよ」
侯爵が複雑な表情で言った。
「はい。わかりました」
アナベルが少し寂しそうな表情で言った。
「何かあればすぐに連絡してくるんだぞ?」
アナキスが心配そうに言った。
「わかりました」
アナベルが頷きながら言った。
「あの、家族を馬車まで送り届けてきてもよろしいですか?」
アナベルが言った。
「行くといい」
父上が言った。
「行ってくるといいよ」
俺は優しく言った。
(本当はアナベルと一秒でも離れたくないが今後はアナベルと一緒にいられるのだから少しくらいアナキス達に時間を使ってくれてもいいな)
俺はそんな事を考えていた。
「ありがとうございます」
アナベルはホッとした笑みを浮かべて言った。
「侯爵達を送ったその足で令嬢の使ってもらう部屋を案内するから私も同行します」
母上が優しい笑みを浮かべて言った。
「わかりました。よろしくお願いします」
アナベルが言った。
(母上ナイスだ。これでアナキス達が余計な事をアナベルに吹き込まないだろう)
俺は笑みが出そうなのを堪えながらそんな事を考えていた。
そして、父上やロベル、アナベル達が俺の部屋を後にした。
「ようやく厄介な邪魔者がいなくなったな。今後はアナキス以外にも侯爵達も注意しておかないといけないのは面倒だが仕方ない」
俺は一人になり面倒臭そうに呟いた。
「しかし、改めて侯爵夫婦の反応も違和感があったな。もちろんアナベルの事を溺愛してるのはわかるがあの反応はそれだけじゃなかったな。未婚の男女が同じ屋敷で暮らすというのは世間体を考えてもよくない話なのはわかるがあの反応はそういう感じではなくもっと別の理由があるように感じたくらいだった」
俺は先程の事を思いだしながら目を細めてそんな事を呟いた。
「そんなに俺とアナベルを同じ空間にいさせたくないということか?」
俺は更にそんな事を呟いた。
「まぁ何かしら理由があるに違いないが今はそんなくだらない事より今からアナベルとどう過ごすかを考えよう。常に俺の側にアナベルがいると思うと興奮がおさまらないかならな。我慢できなくなりそうだなあ」
俺はアナベルとの時間を想像しながらニヤリと笑みを浮かべて呟いた。
「もうすでに愛らしいアナベルの姿が想像できてしまってまずいな。想像だけでここまでなのだから実際にだと抑えがきかなくなりそうだな」
俺はニヤついたまま更に呟いた。
「アナベル」
その時だった、、
廊下の方からアナキスの叫ぶようにアナベルの名前を呼んだのが聞こえた。
俺はその声を聞いてただ事ではないと思い急ぎ部屋を出て廊下を確認した。
「ゔぅぅ」
すると、廊下の先で頭を押さえてうずくまり鈍い声を漏らすアナベルが見えた。
「アナベル、大丈夫か?アナベル私の声が聞こえたるか?」
アナキスが必死にアナベルへ声をきていた。
「アナベル。大丈夫だから落ち着くんだ」
侯爵も必死にアナベルへ言った。
「大丈夫よアナベル。大丈夫だからね」
侯爵夫人も必死に言った。
しかし、アナキス達の声かけも虚しくアナベルは鈍い声と共にその場で気を失った。
「アナベル」
俺は痛い演技など忘れてアナベルの姿を見て叫び走ってその場へ駆け寄った。
「アナベル、、アナベル一体どうしたんだ」
俺は顔が真っ青になり気を失っているアナベルの姿を目にして混乱しつつ言った。
(アナベル急にどうしたんだ?!)
俺は目の前の光景に理解が追い付かずそんな事を考えていた。
(確かあの女が襲ってきた時もアナベルは頭が痛いのか頭を押さえながら顔を真っ青にしていたよな。まさかあの時からずっと痛みが続いていたのに俺の欲望でここまで連れてきて無理をさせていたのか?そのせいで頭の痛みが増したのか?だとしたら俺のせいでアナベルは倒れたのか?!)
俺はとにかく困惑しながらそんな事を考えていた。
「アナベル、アナベルしっかりするだ」
アナキスが血相を変えて言った。
俺は一人混乱していたがアナキスの声で我に返った。
「アナベル目を開けてちょうだい」
侯爵夫人は涙を浮かべて言った。
「侯爵、急いで部屋へ運びましょう」
母上が状況を見て冷静に言った。
「はい」
侯爵は焦りの表情を浮かべたままそう言うとアナベルを優しく抱き抱えた。
そして、アナベルをアナベルが使う予定でいた部屋に連れて行った。
(アナベルは本当に大丈夫なのか?何故気を失ったままで意識が戻らないんだ?!)
俺は意識のないアナベルを見て不安に押し潰されながらそんな事を考えていた。
もはや傷が痛む演技すらも忘れていた。
状況を聞いた父上とロベルが急ぎやってきてロベルがアナベルの診察をした。
「娘は大丈夫でしょうか?」
侯爵が心配そうにロベルへ言った。
侯爵夫人もアナキスもとても心配そうな表情を浮かべていた。
「急に激しい頭痛に襲われたと仰っていましたがどうやら頭痛の原因は外傷的なものではなく精神的なものからきたと思われます。急に脳に負担がかかったようですね」
ロベルは真剣な表情で言った。
「精神的なもの、、ですか」
侯爵が急に表情を歪めて言った。
そして、侯爵は夫人とアナキスと目を合わせた。
(精神的なものだと?!それはアナベルに多大なストレスが襲いかかったということか?!フルート侯爵領地での頭痛もそうなのか?)
俺はロベルの言葉を聞きそんな事を考えていた。
(ロベルにフルート侯爵領でも同じような現象があったと伝えた方がいいのか?いや、一先ず今は黙っておこう)
俺は迷いつつそんな事を考えていた。
(それにしてもアナキス達三人に感じる妙な違和感は何なんだ?ロベル話を聞いた侯爵の反応を見るに何か心当たりでもあるのか?)
俺はアナキス達を見ながらそんな事を考えていた。
「アナベルをすぐに屋敷へ連れ帰ります」
侯爵が真剣な表情で言った。
「お気持ちはわかりますが今は令嬢を動かすのはあまりよくないかと思います。フルート侯爵領までの道のりを考えると馬車だとしても帰宅までの間に何かあれば令嬢が危険かと思います」
ロベルが冷静に言った。
「わかりました。我々はすぐにフルート侯爵家の主治医をこちに連れてきますので申し訳ありませんがこちらでアナベルをお願いできますか?」
侯爵は少しの間何か考えた後に父上へ言った。
「こちらはそれで構わないが」
父上が言った。
「ありがとうございます。助かります。では、我々はすぐにフルート侯爵領へ戻ります」
侯爵が頭を下げながらお礼を言うと夫人とアナキスと共に急ぎ屋敷を出て行った。
(つい先程までアナベルをここへはいさせたくないと言っていたのに今度は簡単にアナベルをこの屋敷へ置いていくのか?アナベルの体調が気になるのはわかるがいくらなんでも違和感を感じずにはいられない)
俺は侯爵達の行動に不信感を募らせつつそんな事を考えていた。
(侯爵達を尾行させるのはたやすいがまぁ今はそれよりアナベルが目を覚ます事が最優先だ)
俺はそんな事を考えていた。
「ルシフェル、一先ず我々は部屋を出ていくから令嬢の側にいてやりなさい」
そんな事を考えていたら父上が言った。
「ありがとうございます」
俺は言った。
そして、父上達は部屋を出た。
(きっとへこんでる俺に気を遣ってくれたんだろうな)
俺はそんな事を考えていた。
「アナベル、そろそろ目を開けてくれないか?」
俺は意識がないまま横たわっているアナベルへ言った。
「俺はこのまま君が目を覚まさなかったらどうしようととても不安なんだ」
俺は情けない表情で呟いた。
「フルート侯爵領でアナベルが頭を押さえていた時にすぐにでもアナベルを安静にさせておけばこんなことにならなかったのか?俺のアナベルへの欲望のせいでアナベルに無理させてしまったのか?」
俺は更に呟いた。
「それに俺はアナベルが目を覚ました時に以前の様に俺を避けたり嫌悪の目で見られるんじゃないのかと不安でもあるんだ。またあの時みたいにアナベルに拒絶されたら俺はきっとおかしくなるだろう。きっと、、いや間違いなく拒絶されたとしてもアナベルを俺の元から離したりしない。嫌がられても泣かれても君をきっと閉じ込めてでも俺の側から離れる事を許さないだろう」
俺は表情を歪めてそんな事を考えていた。
「もしまた君に拒絶されたら俺はどうしたらいいんだ?そう思うと怖くて仕方ない」
俺は更に呟いた。
(もうあの日から俺にとってアナベルは自分の命よりも大切でなくてはならない存在なんだ)
俺はアナベルを見つめてそんな事を考えていた。
その時、アナベルがそっと目を開けて意識が戻った。
「ア、アナベル」
俺はすぐに気付き慌てて言った。
(またあの時のように嫌悪に満ちた目で見られたらどうしよう)
俺はアナベルが目を覚ました事の喜びと同時に不安にもかられながらそんな事を考えていた。
「ルシフェルお兄様、、怪我の具合はどうですか?先程出血が酷くなっていましたけど、、」
アナベルは目を開けるなり俺を心配そうに見て掠れる声で呟いた。
「アナベル、私は大丈夫だから無理して喋らないでくれ」
俺は安堵と心配に混じった表情で言った。
(良かった。優しくて愛おしいアナベルのままだ)
俺はあの時のような態度ではないアナベルに心から安堵してそんな事を考えていた。
「アナベル。ゆっくり起き上がって」
俺はまだ意識が朦朧としていたアナベルの体をゆっくり起こしながら言った。
「どう体勢は辛くないかい?」
俺はアナベルの背中に大きめの枕を挟みながら言った。
「はい。大丈夫です。ありがとうございます」
アナベルは力ない笑みを浮かべて言った。
(アナベルまだ辛そうだな)
俺は力ないアナベルを見て心配でそんな事を考えていた。
「私は一体どうしてベッドに?」
アナベルは現状が把握できずに戸惑いながら言った。
「覚えてない?アナキス達を馬車まで見送る道中で急に頭痛に襲われたようでそのまま倒れたんだよ」
俺は心配そうに事情を説明した。
「え?道中にですか?」
アナベルは驚き言った。
「ああ。覚えてない?フルート侯爵領でも同じように頭痛に襲われていたんだけど」
俺は心配そうに言った。
「はい。お父様達を見送りに行くところまでは覚えているのですがそれ以降の事はあまり覚えていなくて、、フルート侯爵領でもあの時の女性が急に現れたと思って気付いたらルシフェルお兄様が刺されてしまっていて」
アナベルは戸惑いながら言った。
「突然の事でまたご迷惑をおかけして申し訳ありません。ゴホッゴホッ」
アナベルが申し訳なさそうに言うと
急に話したせいか咳き込んだ。
「アナベル。迷惑なんてかかってないしむしろアナベルが急に倒れて心配したんだよ。目が覚めて本当に良かった。ほらお水を飲んで落ち着いて」
俺はそんなアナベルに優しく言うと近くに置いてあったコップの水を手渡した。
「ありがとうございます」
アナベルは俺からコップを受け取り言った。
「あっ、、」
アナベルが水を一口飲むと少しだけ水を口から溢してしまった。
「すいません」
アナベルは顔を赤くして恥ずかしそうに呟いた。
俺はそんなアナベルの姿に体がゾクゾクした。
「大丈夫だよ」
俺は自分の指で口元を優しく拭きながら優しい笑みを浮かべて言った。
「あ、、」
アナベルは更に恥ずかしそうに顔を赤くして声を漏らした。
(あぁ、アナベル。君はなんて可愛くて愛らしくて愛おしいんだ。それに官能さが混じって思わず体が反応してしまったじゃないか)
俺はアナベルの表情を見て体が反応するのを感じながらそんな事を考えていた。
(あぁくそ。口元を拭くだけではなく直接俺がその水を舐めてあげたいな)
俺は更に妄想が膨らみながらそんな事を考えていた。
「目が覚めたばかりで体に力が入らないんだね」
俺は更に近くに置いてあったハンカチでアナベルの口元を優しく拭き手からそっとコップを取り優しく笑みを浮かべて言った。
アナベルはひたすら恥ずかしそうにしていた。
(アナベル可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い。あぁ今すぐ強く抱き締めてその口にキスしたいキスしたいキスしたい)
俺はアナベルに悟られない様に優しい表情のまま脳内ではそんな事を考えていた。
「すいません」
アナベルが恥ずかしそうに言った。
「気にしなくて大丈夫だよ」
俺はそう言うと優しく笑みを浮かべてアナベルの頭を撫でた。
頭を撫でられたアナベルが更に真っ赤になった。
(あぁもう本当にどうしてこんなに愛らしいんだ)
俺はそんな事を考えていた。
そして、更にアナベルに近づこうとした。
「くしゅんっ」
アナベルがくしゃみをした。
(アナベルはくしゃみまで可愛いんだな)
俺はそんな事を考えていた。
「きっと意識がない間に汗でもかいてしまったんだね。このままだと風邪を引きかねないからすぐに着替えた方が良さそうだね」
俺は優しく笑みを浮かべて言った。
「迷惑ばかりかけて申し訳ありません」
アナベルが申し訳なさそうに言った。
「大丈夫だよ。すぐに人を呼ぶから待っていて」
俺は優しく笑みを浮かべて言った。
そしてさりげなくアナベルが使ったコップとアナベルの口元を吹いたハンカチを持って部屋を出た。
そして、俺はメイドではなく母上を呼び母上にアナベルの着替えをお願いした。
「では、母上アナベルの着替えをよろしくお願いします。着替えが終わったらその着替えた洋服や下着を俺の部屋へと持ってきて下さいね」
俺は部屋にやって来た母上へ笑顔でお願いした。
「、、わかったわ」
母上は少し間を空けて少し呆れた表情で言った。
「よろしくお願いします」
俺はそんな母上など気にせず笑顔で言って自室へ移動した。
「ふぅぅ」
俺は自室へ入ると真っ先にベッドへ腰かけて一息ついた。
「それにしても照れるアナベルは可愛すぎたな」
俺はニヤリと笑みを浮かべて言った。
「俺はあの状況でよく我慢したもんだ」
俺は頷きながら自分へ言い聞かす様に言った。
「アナベルがくしゃみをしなかったら危なかったけどな。あのままだと理性に勝てずアナベルの唇に吸い付くところだった。危ない危ない。そんな事をしたらいくらアナベルでも俺を怖がるかもしれないからな」
俺は更に頷きながら言った。
コンコンッ
その時部屋の扉が鳴り母上がやってきた。
「ほら持ってきたわよ」
扉を開けると母上はアナベルが着ていた着替えた洋服を持ってきて言った。
「母上ありがとうございます」
俺は満面の笑みで言った。
「本当にどうしてこんなところばかり父親似なのかしら。侯爵令嬢が心配になるわ」
母上が呆れた表情で言った。
「母上、これはアナベルが好きな故なのです」
俺は笑顔で言った。
「あぁ、、そう」
母上は呆れた表情で言った。
「だけど令嬢は目が覚めたばかりなのだから無理はさせてはいけないわよ?」
母上は念を押すように言った。
「わかっていますよ」
俺は笑顔で言った。
「それならいいけど。では私は行くわね」
母上が言った。
「はい」
俺は言った。
母上が行くと俺はアナベルの着替えた洋服を持ってベッドへ移動した。
「スゥ~ハァァ~。あぁ、アナベルの匂いだ。何とも言えない甘い匂いがするんだよな」
俺はアナベルの着替えた洋服や下着の匂いを嗅ぎながら幸せに満ちた表情で言った。
「あぁ、アナベル好きだ。好きだ。好きすぎておかしくなりそうだ」
俺は更に匂いを嗅ぎながら言った。
そして俺は身体の昂りを発散させた。
「はぁぁ、アナベルの匂いを嗅ぎながらなんて幸せすぎるな」
俺はアナベルの着替えた洋服を綺麗に畳直しながら言った。
そして、着替えた洋服・下着、コップとハンカチを持って部屋にある本棚へ移動して本棚の真ん中の本を押した。
ギィィィィ
本を押すと本棚の形をした扉が空いた。
俺はそのまま扉の中へと入った。
この隠し部屋は俺のアナベルコレクションを保管している部屋だ。
「また新しいコレクションが増えて嬉しいな」
俺はそう言うと中に入るなり空きのショーケースを空けて始めにアナベルの着替えた洋服を入れ残りの下着やコップとハンカチもそれぞれの空きのショーケースへと入れた。
「このコレクション部屋がどんどんアナベルの物で満たされていくのがたまらないな」
俺はこれまで集めたアナベルの使っていたものや隠し撮りした写真にアナベルからもらったプレゼントを綺麗にショーケースに飾ってあるものたちを見ながら満足気な笑みを浮かべて言った。
「今回アナベルがこの屋敷で過ごすことでまた増えていくと思うと幸せだな」
俺は更に笑みを浮かべて言った。
「よし。ではアナベルの元へ戻る」
俺はそう言うとコレクション部屋から出てアナベルの部屋へと向かった。
コンコンッ
「はい」
部屋の中のアナベルが言った。
「私だが入っても大丈夫かな?」
俺は優しい声で言った。
「はい」
アナベルが言った。
そして俺は部屋に入りベッドにいるアナベルの元へ腰を下ろした。
「ルシフェルお兄様、メイドの方ではなく公爵夫人が着替えのお手伝いをして下さった上に夫人の洋服まで貸して頂きおそれ多くて。改めてルシフェルお兄様からも夫人へお礼を言っておいてもらえますか?何から何までこんなに善くしてもらって申し訳なくて、、」
アナベルは戸惑いながら言った。
「私がメイドではなく母上にお願いしたんだ。アナベルも慣れない場所のメイドよりまだ母上の方が安心するかと思ってね。それに着替えは母上が若い頃に使っていた古い物だし本当にアナベルが気を揉む必要はいんだよ?ね?」
俺は優しい笑みを浮かべて言った。
「それにそんなに申し訳なく思わなくても大丈夫だよ。母上も気にするどころかアナベルの体調を心配していたからね」
俺は更に優しく言った。
「わかりました」
アナベルは少し戸惑い気味に小さく頷きながら言った。
「そういえばお父様達はどちらですか?姿が見えませんが」
アナベルが心配そうな表情で言った。
「侯爵達はフルート侯爵邸に向かったんだよ。フルート侯爵家の主治医を連れてくると言ってね」
俺が言った。
「そうだったのですね」
アナベルは戸惑いつつ言った。
「侯爵達も凄く心配していたからね」
俺は心配そうな表情を作り言った。
(侯爵達の行動はやはり腑に落ちない部分が多いよな。影を使い侯爵達を尾行しようとも思ったがそれよりもアナベルの体調が最優先だったからな。まぁその謎は追々突き止めても遅くはないだろうしな)
俺はそんな事を考えていた。
「本当に何から何までご迷惑ばかりかけてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです」
アナベルが申し訳なさそうに言った。
「何言ってるの?迷惑なんて誰も思ってないよ?ただただアナベルの事が心配なだけだよ。ね?だから心配をしている私達の為にももう申し訳ないなんて自分を責めたりしないでね?わかったかい?」
俺は優しく笑みを浮かべてアナベルの頭を撫でながら言った。
「え?あ、は、はい」
アナベルは急に頭を撫でられたからか恥ずかしそうに頬を赤らめながら言った。
(あぁ、もう本当に一つ一つの仕草が愛おしすぎて愛おしさが募るばかりで困るな)
俺はアナベルの表情を見てそんな事を考えていた。
(ん?待てこれは何だ?!)
俺は気分よくアナベルに頭を撫でていた時にあることに気付きそんな事を考えていた。
(アナベルのこめかみが赤くなって少し腫れてるじゃないか。クソッ。あの女がアナベルの髪を引っ張った時のせいに違いない。ロベルが診察した時にはまだここまで赤くなっていなかったから気づかなかったんだ)
俺はアナベルのこめかみを見え怒りを覚えながらそんな事を考えていた。
(アナベルにこんな傷を負わせるなんてあの女ただでは済まさない)
俺は今にも怒りが爆発しそうなのがバレない様にそんな事を考えていた。
(本音を言えばあの女の息を苦しみの末に止めたやりたい。俺の大切なアナベルをこんな目に遇わせやがって。殺しても足りないくらいだ)
俺は更に怒りが増してそんな事を考えていた。
「ルシフェルお兄様の傷は大丈夫なんですか?」
俺が怒りを覚えて爆発しそうな時にアナベルが心配そうに言った。
「う~ん、、」
俺はハッとなり困った表情を作り言った。
そして、俺はアナベルの言葉に先程までの怒りが少し和らいだ。
「実は本当は少し痛むんだよ」
俺は困った笑みを浮かべてそう言うとアナベルの太ももあたりにポスッと顔を埋めた。
「え?ル、ルシフェルお兄様?!」
アナベルはそんな俺の行動に恥ずかしそうに戸惑いながら言った。
「少しの間こうしててもいいかな?こうすると少し痛みが落ち着く気がするんだよ。だから少しの間だけでもこうしててもいいかい?」
俺は顔を埋めたまま甘えた様な少し不安そうな声を出して言った。
「、、わかりました。それでルシフェルお兄様の痛みが和らぐのなら」
アナベルは恥ずかしそうに少し考えた後に恥ずかしそうにしたまま小さく頷いて言った。
「ありがとう」
俺は王子スマイルを浮かべて言った。
(あぁ、布団の上からでもアナベルに太ももの柔らかさと温かさが伝わってくるな)
俺は顔でアナベルを感じながらそんな事を考えていた。
(本当にアナベルは優しいな。俺の演技にも気付かず純粋に心配してくれて。本当に俺の側から片時も離れさせたくなくなるじゃないか)
俺は更にそんな事を考えていた。
(アナベルも無事に目を覚まして頭痛の痛みも大丈夫そうだし目を覚ましても俺を嫌悪しなかったしこの幸せな時間が止まればいいのにな)
俺はそんな事を考えていた。
「こんなところをお兄様に見られたらどうしよう、、」
その時、アナベルがボソりと呟いた。
(え?何だって?!)
俺はアナベルの言葉に思わず顔をしかめてそんな事を考えていた。
「アナベル今なんて、、」
俺はゆっくりと顔をあげて戸惑いながら言った。
その時、、
コンコンッ
部屋の扉が鳴った。
「私だ」
扉の外から父上が言った。
(父上?ちょうどアナベルに先程の言葉の真意を聞こうと思っていたのに。だが父上がわざわざ俺たちの邪魔をするとは思えない)
俺はそんな事を考えていた。
(恐らくは事前に俺がお願いしていたあのクソ女を皇居ではなく被害に遭った俺のいるカイザー公爵家に引き渡すように言った事だろうな。父上がわざわざここへ来たということはあの女が屋敷へ連れてこられたということだろうな)
俺はアナベルに気づかれない様に目を細めてそんな事を考えていた。
「わかりました」
俺はそれだけ言った。
俺の言葉を聞くと父上はすぐにその場を離れていった。
「それで先程の言葉だけどどういう意味?アナキスにこの状況を見られるとまずいみたいな事を言ったよね?」
俺は少し戸惑ったふりをして言った。
(確かに俺がアナベルの太ももへ顔を埋めてる姿をアナキスが見たら俺を殺す勢いかもしれないとしても先程のアナベルの言葉は何故かモヤモヤする)
俺はそんな事を考えていた。
「それは、、」
アナベルは少し困った表情で言った。
「ルシフェルお兄様が先程の状況をお兄様に見られるとあまりよくないのではないかと思いまして」
アナベルは少し言いづらそうに言った。
(俺が困る?!アナベルの太ももに顔を埋めてたのをアナキスに見られて?!)
俺はアナベルの予想外の言葉にそんな事を考えていた。
「俺ではなく本当は、、」
俺は戸惑いながら言った。
(そう言うけど本当はアナベルがアナキスに俺との密着した姿を見られたら困るんじゃないのか?!俺とそういう関係だと誤解されたくないだけじゃないのか?!)
俺は言葉を途中で止めそんな事を考えていた。
(本当はアナベルが俺と一緒にいる姿をアナキスに見られたくないだけなんじゃないか?!そんなに俺とそういう関係に見られたくないのか?アナベルはこんなにアナベルを想う俺を拒絶したいのか?俺はアナベルは俺は運命の相手で誰よりも愛してると全世界に知らしめてやりたいのに?アナベルが俺との関係を拒絶するのなら俺はアナベルを閉じ込めて監禁して俺以外の奴らに目につかない様にするしかないじゃないか)
俺はみるみる不穏な感情が沸き上がりつつそんな事を考えていた。
「、、そうだ。アナベルに聞きたい事があったんだよ」
俺は不穏な感情がピークに達してしまう前にあえて話を変えて言った。
「聞きたい事ですか?」
アナベルは急に話を変えられて戸惑いながらも言った。
「あぁ。今日はどうしてロザンと一緒に居たの?」
俺は優しく言った。
(ちょうどその事も聞いときたかったから話を変えるのにちょうどいいな)
俺はそんな事を考えていた。
「私も突然の事で驚いたのですが、今朝ロザンお兄様から私個人への手紙が届いたんです。皇居で皇后様にお会いした時のお礼がしたいからと」
アナベルは少し戸惑いながら言った。
「急な事で驚いたのですが今日は特に予定などなかったのですぐにお返事をお出ししました」
アナベルが言った。
「それで学園が終わった後にロザンがフルート侯爵領へ行ったんだね」
俺が言った。
「はい。てっきりお兄様もご存知かと思ったのですがロザンお兄様お一人で来られたので驚きましたけど」
アナベルが言った。
(やはりロザンの独断だったか。まぁアナキスに言っても恐らくやんわりダメだと言われていただろうからな。それにロザンの独断だと後で知っても皇太子であるロザンを咎められはしないだろうからな)
俺は内心不満気にそんな事を考えていた。
「それでロザンはお礼に何をしてくれたの?」
俺は内心は気にくわなかったがあえて優しい表情で言った。
「それが結局お礼に何かを頂いたなどそういうのはありませんでした。お礼のお言葉恐れ多いほど頂きましたが。お礼に何か欲しい物などあるかとは聞かれましたがその会話をした直後にあのような事が起きてしまったので」
アナベルは困った表情で言った。
「そうだったんだね」
俺は困った表情で言った。
(本当にロザンの奴は余計な事ばかりするな。勝手にアナベルに会いに行ったかと思ったら別にお礼の品を渡す訳でもなくだらだらとアナベルと話をしていただけではなくあんなクソ女の尾行にも気付かずアナベルを危険な目に遇わせたんだからな)
俺はアナベルに悟られないように怒りを抑えつつそんな事を考えていた。
(だが、アナベルの話を聞いてロザンは間違いなくアナベルへ少なからず異性としての気持ちを持っているのは確かだな。アナベルが温室に迷い込んだ日からロザンのアナベルの視線が気にくわなかったがアナベルへの気持ちがあるのは厄介でしかないな)
俺は更にそんな事を考えていた。
(いざとなれば皇太子だろうがアナベルに想いを寄せるんならばロザンを痛い目に遇わせてでもアナベルは渡さない)
俺は更にそんな事を考えていた。
「ふぁぁぁ」
その時、アナベルが小さなあくびをした。
「あ、申し訳ありません」
アナベルは慌てて言った。
「ふふ。大丈夫だよ。少し眠った方がいいね」
俺はロザンへの腹立たしい気持ちが消えるくらいアナベルのその姿を見て優しく笑みを浮かべてアナベルの頭を撫でながら言った。
(アナベル自身が思うより体に負担がかかっているのかもな。これ以上無理をさせてアナベルが今よりしんどい思いをしてしまったらいけないから今はゆっくり休ませてやらなければ)
俺はそんな事を考えていた。
「大丈夫です。本当に。眠ってしまったらルシフェルお兄様のお世話ができません」
アナベルは眠たそうに言った。
「時間はたっぷりあるんだから気にせず今はゆっくり眠って」
俺はアナベルの頭を優しく撫でながら優しく言った。
「ですが、、」
アナベルは一生懸命起きようとするも睡魔に勝てないのか話をしている途中で寝落ちしまった。
「今日は大変な1日だったからな」
俺は愛おしい人を見る表情でアナベルの頭を撫でながら言った。
そして、アナベルが深い眠りについたのを見てアナベルの額にそっとキスをした。
「本当は口にしたいけどそれはアナベルと気持ちが通じた時まで我慢だな」
俺はフッと笑みを浮かべて言った。
そして、アナベルを起こさない様に部屋から出た。
「さて、アナベルが寝てる隙にあの女の所に行くとするか」
俺は部屋から出た瞬間殺意のこもった冷たい目をして言った。
「父上が地下に連れて行ってくれてるだろうからな。あの女の顔を見たら怒りに任せて殺さない様にしないとな」
俺は冷たい目をしつつ悪い笑みを浮かべて言った。
「アナベルに手を出しておいて無事でいられる訳はないよな」
俺は更に言った。
そして、俺は屋敷の地下へと向かった、、
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