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第2話 神様ズ その2

『イシム、待たせたわ……ね? ああ、これが例の人間ね』


 ……誰かの声が聞こえる。

 本当に疲れてるんだから寝かせてほしい……って冒頭でやったシーンだ。

 違いがあるとすれば真っ黒だった空間が真っ白な空間くらい。


『早く起きなさい』


 やっと案内人が到着したみたいだ。

 明らかにさっきの破壊神様より声が高いけれど誰なんだろう?


『あなたの名前は?』


 デジャブだった。

 まさか破壊神様とのやり取りは無かったことになってる?

 他の人に任せるならちゃんと引き継ぎくらいしてくれ。


『聞こえないの? もう1度聞くけどあなたの名前は?』


 破壊神様との会話で疲れてるのに似たようなキャラが1人増えた。

 こいつも人の名前を聞く前に自分が名乗れと思うが今度はすぐに答えよう。


(僕の名前は――)

『私は創造神のトーレアよ』

(あんたも先に答えるんかーーい!)


 まさか続けてやられると思わなかった。

 でも破壊神様と違って若い女性のような可愛い声をしてる。

 野太いオジサンの声と違って癒されるよ。


『あら、びっくりしないのね?』


 少し前まで普通に生きていたはずなのに不思議な空間に飛ばされるわ、自分は破壊神だと名乗る変なオジサンに絡まれて「お前は死んだ」と聞かされれば多少のことでは驚かない。


『私も男よ?』



(えーーーっ!?)



 不覚にも驚いてしまった。

 声の感じから可愛い女性だと思ってたけれど1本取られたね。


『あら、可愛いだなんて嬉しいわ』


 もう可愛いなんて思いませんよ?

 結局どっちもオジサンじゃん。

 可愛い声をしているだけに余計にガッカリだ。


『オジサンではなく、創造神です』

(……創造神……様)

『よろしい』


 今回は1回目で折れておく。


(僕の名前ですけど――)

『ああ、もう興味ないから』


 ……泣くぞ?


『イシムにも聞いてると思うけど、あなたには私たちが作った世界の管理をしてほしいの。もちろんそのための力は授けるから心配しないで』

(その前にイシムって誰ですかね?)

『あら、彼の名前を聞いてなかった? 破壊神イシムが彼の名前よ。そして私が創造神トーレア』


 ふむ、あのオジサンがイシム様でこっちのオジサンはトーレア様。

 まあ2人のオジサンの名前を覚えたところで役に立たないけど。


『話の続きだけど私たちが作った世界も飽きたから放置しようと思ったけど異物を混ぜるのも面白いって話になって。そこで異世界自身が()()()()を選んだってわけ。ちなみに地球も私たちが作ったのよ? すぐに飽きたけどね』


 勝手に選んでおいて異物呼ばわりはどうかと思う。

 混ぜるな危険とかないよな?

 昨今では異物混入って大問題だから気を付けてほしい。


 それに世界を作って飽きたからって放置はダメだろ?

 子供が駄々こねて動物飼ったけど結局最後は親が世話してるのと変わらない。


『あなたも箱庭ゲームである程度進んだけど何か違うと思って最初からやり直したりしない?』


 あー、すごくある。

 これと同じ感覚で地球も作られて放置されたのか……もう僕には何もできないけれど頑張れ地球人!


『ところであなたの死んだ原因だけど……、ぷーっくすくす』


 もうやめて、僕のメンタルはすでにゼロよ!

 吹き出すくらいの理由なんて聞きなくないから必死に止めた。


『それじゃ約束通りあなたに私の力を授けておくわ。これで問題ないと思うから好きにやってみてね』


 いつの間に準備されたのか僕の数メートル先に的が置いてあった。

 そして1本のダーツを渡されて投げるように言われる。


(他にも聞きたいことがあるんですけど?)

『早く投げなさい。外すと今回の転生は失敗ってことで魂が消失するから気を付けてね』


 投げる前にそんな怖いこと言わないで!?


 ――ヒュッ!


 震えながら投げたダーツの矢は的に当たったみたいでホッとする。

 だけどこのダーツって何の意味があるんだろう?


『えっと、あなたの姿はこれに決まりね。それじゃあ転生場所はここでいいか』


 今、何と言った? 


(創造神様、僕って人間じゃない――)

『これでよし。私たちの世界はあなたに全て任せたからね。その世界はあなたの好きなゲームのように魔物や魔法が存在してるから元世界と違って楽しめるわよ。飽きたら壊しちゃってもいいからね』


 ……僕の抗議は創造神様に届かなかった。


 何も聞けないまま混乱している間に異世界へ飛ばされる。

 せめて最初はゆっくりした場所へお願いしたい。

 紗恭(さゆき)、本当にごめん――。


『逝ってらっしゃーーい!』

(おいーーっ、字が間違ってるぞーーっ!)


『それと私は女よーー!』

(ちょーーっ、今さら言われてもーーっ!)


『あ、奥さんもどこかにいるわよーー!』

(てめーーっ、戻って来やがれーーっ!!)


 僕の意識はここで途切れた。




 ☆☆☆




 ……うーん、少し頭がボーっとするけど異世界へ転生したらしい。


 最初は静かな場所へお願いしたかったが伝える前に飛ばされてしまった。

 聞きたいことが山ほどあるがひとつひとつ片付けていこう。


「……起きてください」


 微睡(まどろ)む意識の外から誰かの呼ぶ声がする。

 頼むから神様ズの関係者は勘弁してほしい。


「お願いだから起きて?」


 ゆっくり目を開けると人間の女性の顔が見える。

 創造神様の言葉は気になったが無事に人間に転生したらしい。


「おはよう、私の可愛い()()()


最後までお読みいただきありがとうございます。

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