第13話 確執
「前っす!前っす!」
池崎くんの声に、僕は全力で前進したが
結局、ボールは僕の遥か前方に落ちた。
「セカンド!」
松島くんの声が響き渡る。
ボールを取った僕はセカンドへ送球。
しかしボールは大きく左に逸れてしまった。
「どこ投げてんだ!へたくそ!」
セカンドの金子くんが怒っている。
「すみません!」
「しっかり投げろよ!」
上山くんからも怒声が飛ぶ。
「はい!」
練習後、僕はいつもベンチの端に座って、グローブの手入れをする。
反対側の端では、松島くんがキャッチャーミットの手入れをしている。
「ほんとに勘弁してくれよ」
金子くんがニヤニヤしながら近づいて来た。
「お前がヘンなとこばっかり投げるから、余計に疲れるんだよなぁ」
「ゴメン」
「そうそう。いい加減辞めたらどうだ?
1年やっても、何にも変わってねぇじゃん」
上山くんの言葉に、マネージャーの町村さんが
「そんな言い方しなくても・・・」
「はぁ?何か言ったか?」
金子くんが町村さんを睨みつけて言った。
町村さんが目を逸らさないでいると、金子くんは目を逸らし、おどおどした様子。
「お前さぁ、いくらグローブ磨いたって、ボール取れねぇんだから
1年のグラウンド整備でも手伝ってやれよ。
ほら、我らが1年生エース様に悪いだろ。なぁ、大村」
上山くんの言葉を無視して、大村くんはグラウンド整備を続けている。
「おい!大村!返事しろよコラァ!」
そう言った金子くんを大村くんが見据えると、金子くんは尻込みをした。




