― 夏煙、七月 ―
吐き出したタバコの煙に、普段とは違う枯れ臭さを感じることが年に一度だけある。
「真夏の到来」を感じるその煙を、俺は「夏煙」と呼んでいた。
今年の夏煙は7月28日、型枠大工・樫沢誠の脳裏に不意に10年前の記憶が蘇る。
親友・大介と、田舎の親戚の家に滞在していた理恵という娘と過ごした真夏の日々。
「真夏の到来」を感じるその煙を、俺は「夏煙」と呼んでいた。
今年の夏煙は7月28日、型枠大工・樫沢誠の脳裏に不意に10年前の記憶が蘇る。
親友・大介と、田舎の親戚の家に滞在していた理恵という娘と過ごした真夏の日々。