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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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75話:遭遇

「――何だ? あの化け物は――?」


 異質。

 瞬間で撤退した。

 もはや本能だ。


 いままでの経験においての勘だ。

 生存本能。


 瞬間立ち上った、凄まじいまでの魔力。

 閃光のような魔力を感じた瞬間に逃げ出した。隠れ潜み、気配を頼りに様子を伺う。


 凄まじい虚脱感。


 身体から魔力が凄まじい勢いで消えた。


 ――いや、吸い取られた?


 異質。


 魔王少女よりももっと、異質な魔力。


 まずいと感じたのはあの瞳。


 ぞくりと背筋が震える。


 素晴らしい。


 自然と笑みに口が歪むのを止められない。


 なんと刺激的。


 死の恐怖より、生を感じる刺激。


 鼓動が早鐘を打つこの感じ。


 早鐘を打つ理由は「恐怖」。


 だがこの胸を打つ鼓動が心地よい。


 あの男はやはり――。


 いや、流石はというべきか。


 全身に立つ、鳥肌を沈めながら様子を感じ取る。


 繰り広げられる光景は凄惨。


 まさに一方的。


 予想通りと言うべきか、必然と言うべきか。


 肌で、一瞬でもあの異質な魔力を感じた時点で引くべきだったのだ。


 ムルは強い。

 だからこそ油断するし、甘い。

 強敵がいないから、経験値も低い。


 それでも経験値も低くてやっていけるのは、ムルが桁外れに強かったからだ。


 だけど、自身より強敵が想定できていない。


 私は弱者だ。

 それを認識し、強くあらんが為に模索する。経験を積み重ねる。

 それが分かっている分、相手取るなら『魔王少女』よりも、同じ出身者のアメルの方が厄介だと思う。


「っぐ」


 眩暈を起こして、膝をつく。


 この距離でも、魔力が吸われるらしい。


「様子は確認したいですが――。長居は出来ないですか。」


 呟いて、出てきた穴からの撤退を決める。


 残念だが、ムルはもう駄目だろう。

 置き去りを責められる可能性もあるが、仕方ない。


 快楽を楽しむためには生きる必要がある。


 死の恐怖を楽しむことは出来るが、死にたい訳ではない。


 それにあの男の情報があるなら、サタン様にもお許しいただけるだろう。


 そもそもサタン様は『魔王少女』に執着がない。

 死んだら増やせばいいくらいの駒でしかない。


 まああの戦力が貴重であるのは確かだが。


 動き出そうとした時に、弱いが引っかかる気配が一つ。

 無視をして行く事も出来たが、気になった。


 まだこんな場所にいる気配が。


 もし気配を弱めて隠れるのに失敗しているなら大した存在ではないが、後ろから受ける攻撃はこの状況下では好ましくない。

 気配を探り、気取られないように近付く。


 教室の一室。

 そこに居たのは少年だった。


 整った綺麗な顔立ちの少年が倒れていた。


 胸にある名札には『七草』と書かれていた。

次回『75話:VS カルマ』

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