表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
80/86

73話:羽化

ハート視点です

 暗闇の中で、夢を見続けた。


 変わっていく自分を感じながら見続けた。

 少しだけの時間か。凄く長くも感じた。

 泡沫の中で、思考が加速した。

 身体が応えた。


 俺であって、誰かだった。


 だけどもう少し、眠っていたい。


 もう少し。


 しかし、暗闇で聞こえてくる声は明瞭になってきた。


 届く、呼びかける声。


『起きて! 助けて!』


 クリアに聞こえた声に、思考が浮上する。


 かちり、と。


 俺を認識する。


 助けてと。


 呼ぶ声がする。


 救えなかった命がたくさんあった。


 救えなかった娘がいた。


 そして守りたい命が出来た。


 火が灯る。


 掴んだ感覚はあやふや。


 だけど、触れることを教えられた。


 俺であって、誰か。


 あの不思議な感覚を。


 起きなければ。


 動かなければ、救えない。


 だけど目覚める方法がわからない。動けない。


 鎖で繋がれた様にがっちりと。


 暖かい場所で抜け出す気力を奪う。


 だけど、足掻く。


 鎖を引きちぎり、這い出す。


 前へ。


 前へ。


 声の聞こえるほうへ。


 足掻き、手を伸ばす。


 己の中に何かが染み込んでいく。


 まだ馴染みきっていないそれを飲み込む。


 喰らう。


 必要なプロセスを飛び越えていく。


 身体が、何かが訴えかけてくる。


 やめろ、と。


 心が壊れると。


 鎖を引きちぎりながら、進みながら、答える。


 大丈夫だ。俺は壊れない。


 俺は最強だ。


 俺こそが最強だ。


 意識が浮上し、分かる。


 俺が触れた夜色の少女は明。


 明に触れた。


 だからこそ分かった。分かったことがいっぱいあった。


 もう不安はない。


 焦りもない。


 確信した。


 明はもうじき目覚める。


 目覚めた時に悲しまないように。


 俺はこの「助けて」に答えなくてはいけない。


 力は得た。


 絶対に、助けてみせる。


 俺は『世界最強の戦士』だ!

次回『74話:変化』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ