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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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71話:反転

アレックス視点です。

「どうよ。痛みで壊れたら他の苦しみで、ちょっと変化つけてやると苦しむんだよ。」


「……そうですか……」


「あっはー。まだまだいい顔するじゃん。おばさん。」


 ……私は快楽主義者だ。場合によっては苦しませることにも喜びを覚えたりもするが……。

 悪趣味な女だ。女はこれだから気持ち悪い。

 もう壊れたものを苦しませて喜ぶほどではない。


 まあ、私の趣味思考も歪んでいるが、他人のを見ると虫唾が走る。多少、同族嫌悪もあるか。

 

 しかし、魔王少女は凄まじい。

 あの用意されていた魔方陣。ああいう力押しの罠に私単独でかかっていた場合、詰んでいた。

 私一人なら、あんな罠にかかるヘマはしないが。

 罠であっても正面から突破出来るだけの実力と自信。それが魔王少女。


 その凄まじさは何度か目にしているが、何度見ても凄まじい。


 まだ相手にしたくない。逆らわないが得策だろう。

 まあ遊びが過ぎるし、技が甘い。単純に逃げるだけなら手はあるだろうが。

 このもう息をしていない女も魔王少女相手に中途半端に力を示したのが、死を呼び込んだ原因だ。


「ムル様。もうその人は息をしていません。そろそろ、少し地上を回ってみませんか?」


「んー? もう終わりか。しゃあないな。次いくか。」


 そう言って、女を投げ捨てた瞬間に、一人の男が出現した。


 ボサボサの髪に眼鏡、よれたTシャツ、ジーンズ。その上から白衣を羽織っている男だ。

 全く、魔力を感じない。


「おや。あの人は……確か……サタン様の……」


 その男は、投げ捨てられた壊れた女を見て、震えた。


 絶望に染まった顔で下を向いて表情を隠す。


 男から感じるドス暗い感情の渦。


「……お……」


 男が何か呟いた。


「あ? なんだ、お前? どっから出てき……」


 ムルが問いかけるように発した声に被せて、男が言う。


「……おマエラ、許サナイ……」


 ぶふっとムルが笑って、言う。


「そのおばさんの知り合い? 雑魚の癖にいきがるから悪いんじゃん? そんな魔力で一体何が出来……」


≪コロスッ!!≫


 聞こえた声は直接頭に響いた。


 視えた瞳は紅。


 幽鬼の様な魔力が立ち昇ったのを感じた直後、視界が閃光に包まれた。


 爆発的な魔力。


 強大な魔力。


 これは10年以上前に感じた、魔力の波動と違わない程の――

次回『72話:零』

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