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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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63話:ゆうき VS ムル

「っぐ!!」


 ムルの奇襲。完全に避けたつもりでいた。

 

 風圧。


 私の肩は浅くだが切り裂かれた。


「へえ。やるじゃん。今の避けれるんだ?」


 意地の悪そうな笑みを顔に張り付けながら言ってくる。


 本当に考えなしの行動。話をする前に狩りにきた。


 ただの猪ならいい。だが、今の一撃。受ければ即死に直結するイメージが浮かぶ。

 ぞっとする。

 彼女は猪ではない。魔王少女。


 地下帝国の強者。


 魔王サタンの眷属。


 駄目だ。


 震えそうになる体を必死に止める。

 カルマ君。明心さんを思い浮かべて震えを止める。


「魔王少女が地上(こんなところ)になんの用ですか?」


 声を震わせないように気をつけながら、聞く。


 会話中にいきなり襲われるとも限らない。油断は出来ない。


 けど、話しかけられた。まあおそらく話しかけたというより独り言のぼやきの様な感じか。だけどそれを隙とみて会話を無理やり繋いでみる。


「ん? お前、私に聞いてるのか? 頭がたかーい」


 瞬間、汗が噴き出る。


 ムルの手に集まる魔力。一瞬で手の中に、嵐を生み出す。


 そして、私に向かって解放。


 気付いた時には回避行動に移っていた。一瞬でも判断を誤れば死だ。


「はあ……はあ……」


 完全に避け切れた。私の居た位置は暴風で削り取られている。あんな魔力に晒されればミンチになっていた。


 正直、舐めていた。ここまで会話の出来ない相手だとは思わなかった。

 この女は、魔王少女。直感で分かる。会った事はないが、こんな冗談みたいな魔力を保有する存在が他に心当たりがない。


 魔王少女とは地下帝国の強者に与えられる称号。

 このムルという女がどれほどの地位にいるのかはわからないが、上位に位置する存在である事は間違いない。


 その上位の存在がこれほど理性がないとは。


 腐るわけだ。地下帝国。


 力が全ての世界。


 会話で引き延ばしは無理だ。話が通じる相手じゃない。


 ならばと、気持を切り換える。


 震えて動けなくなることこそ愚策。


 昨日の明心さんを思い出せ。


 彼女はあの動かなくなった魔獣を罠にかけ、屠った。


 ここは私の場所だ。備えならある!


 私は針を数本生み出して投げつける。


「『雷針』!」


 私は今までとはケタ違いに強い、『雷針』に感慨にふける暇もなく次の行動を開始する。


 ムルはゆったりとした動作で扇を取り出し、薙ぐ。


 それだけの所作で私の『雷針』は霧散する。


 予想はしていたが少なからずショックだった。籠った力は、今までに比べてケタ違いだったのだ。

 カルマ君から貰った機能『電姫(ミカサ)』。


 魔力の増幅(ブースト)。他にも色々。


 初めて使う機能だが、凄さが実感できる。

 魔力、身体能力全てがケタ違い。

 

 その力をフルに生かして、駆ける。


 後方にある朝礼台へと。


「ええー? 逃げんの?」


 そう言って、扇をゆったりと構えて、薙ぐ。


 振り向かなくても魔力が集まっている感覚がわかる。

 そして薙いだ瞬間に解放される魔力。


 来る!


 直感した瞬間に魔法を使う。


「『電光石火』!!」


 魔力によって一気に加速する。

 相手の方が力は上。


 ムルは扇を振り抜いた状態。その程度の隙。だけど、強者に対するにはその僅かな一手分の隙が必要だった。ムルは私を舐めている。


 瞬間で駆け抜け、目的の場所に手を翳す。


 罠の起動スイッチは朝礼台に設置した。


 地中に、電線を通して陣を形成してある。


 魔法陣。


 魔法陣自体は私もあまり詳しくはない。だが、結界程度の魔法陣は描ける。


 結界魔法陣。それと、私の雷。それを組み合わせて作った罠。


 電線を巡らせた範囲は校庭全土。


 ここまでの動作は一瞬。ムルが振り抜いた扇を戻す所作すらも凌駕する一瞬で。


 魔法陣に雷を通して一気に起動させた。

 

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