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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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57話:魔力を喰らう

「そうだ。あともう一つ。」


 カルマが思い出したように声をかけてきた。


「なんだ?」


「これ」

 そう言ってビー玉のようなものを寄越してきた。


 見た目はビー玉だが魔力を感じる。


「なんだ? これは?」


「魔力玉。昨日の間欠泉で集めて固めたもの。その一個。昨日みたいに間欠泉を空けるのは頻繁にしないらしいから在庫はそれが最後らしいけど。」


「魔力玉か。これがどうした?」


「うん。ちょっと計算したけど大丈夫だと思うんだよね。飲んでみてよ。」


「これを、飲む?」


 感じる魔力は膨大だ。こんなものを取り込んで大丈夫なのか?


「そう。まあ心配してることもわかるよ。普通は駄目。だけど、ハートちゃんなら大丈夫。」


「俺なら? どうゆう意味だ?」


「元々、その体は僕の最高傑作だって言っただろう? 特徴の一つとして、魔力の受け皿というか器の規模の桁……って表現はふさわしくないか。次元が違う。魔力を水に例えるなら、入れる器。その創りの根本が違う。」


「根本が違う?」


「うん。あくまでイメージだけど、普通の人が器。器を越えて魔力を注ぐことは出来ないよね?」


「ああ。コップに水を注いで溢れ出るようなもんだろう?」


「そう。でもそのハートちゃんの体は違う。いくらでも注げる。もう器ってシステムじゃないんだ。君は樹だ。水を吸って成長していく。巨大に。無限に。そうゆう風に創った。」


「樹……」


「だから、その魔力玉を吸収しきることが出来るはず。ちょっと馴染むのに時間はいると思うけど」


「ふむ……。大暮先生もこれを?」


「うん。飲み込んじゃいないけどね。それに見せてもらったけど、やっぱ無駄が多い。ゆうきちゃんじゃ取り込め切れていない。でも飲み込んじゃうとおかしなことになるだろうね。ただハートちゃんなら余すことなく取り込めると思う」


「飲んだらどうなる?」


「んー。予測だけど数時間程度、眠りにつく。体の奥底にちょっとづつ供給する為の回路を自然と創る為にね。魔力を馴染ませるために強制的に。で、馴染んだら爆発的に魔力が上がる。いままでのちまちました魔力上げよりも圧倒的にね。いつまでかかるかは取り込んでみてデータ集めて試算しないとなんとも言えないけど。」


「……どの程度上がる?」


「その前にチェックしていい?」


「あ?」


「んー。多分、昨日よりも魔力上がってない? ハートちゃん。」


 ……確かに、昨日よりも上がっている感じはしていた。実感としてあった。


「わかった。調べろ。だが、その前に服を着ろ。」


 今日一日で2人の人間に服を着る事を勧めた。そんな経験は今までにない。


「おうふ。そういえば着てなかった……」


「むー……! むー……!」

 四葉が呻く。忘れていた。


「四葉はもう解放していいのか?」


「え? ああ。いいよ。服も着たし」


「九米」


 俺が声をかけると四葉を解放する。


「な、なんで……ハートちゃんのゆう事を聞くように……?」


「躾だ。なっていないぞ、カルマ」


「ぷはっ! な、なんだったの?」


「ついでだ。四葉。お前も検査(チェック)を受けろ。」


「ふえ? なに? チェック?」


「ああ。ついでに調べてもらえ。情報から見える事もある。」

 一葉へのスイッチ。まあ、手がかりになるような事がないとも言えない。

 ついでだ。カルマに詳細な情報を集めさせよう。


「う、うん。痛い事しない?」


「心配するな。痛い事と倫理に外れるような行いをした場合は俺が、奴に消えない心の傷をつけてやる。」


「ちょ!? 僕はもう卒業したんだ。変態紳士から超紳士になったんだよ!? そんなことしないよ!!」


「…………」


「いやいや? ……ほんとだよ?」


「……そうか。まあ、いい。やったらあらゆる魔法を駆使して貴様の性転換を行うからな?」


「い、イエッサー」


 白衣のポケットから端末を引っ張り出す。眼鏡をかけてスイッチを入れて操作を始める。


「うん。やっぱり、上がってるね。平常時の1200から3600。ジャスト3倍。変身したら2万超えるんじゃない? 鰐との実践で一気に馴染んだ感じ。」


 まあ、昨日の風呂の一件もあるのだろう。


「だが、そんなに伸びるものなのか? 実践程度で」


「うーん。まあ仮説は色々立つけど。正直僕からすれば不思議な事はないよ。その体は元々その程度のポテンシャルなら秘めてるし。てか、その程度じゃ終わらないよ。まだまださ。魔力を通す回路が実践で強制的に少し開いていった感じかな? そもそも、魔法少女の力はハートちゃんが思ってるよりずっとすごいよ?」


「俺が思ってるより?」


「うん。わかりやすいのならスペード。彼女は20万くらいの魔力は引き出せてた。」


「なっ!? 20万? 明が?」


「うん。彼女の母親のあの女幹部の36万には遠く及ばないけど。彼女まだ上がるだろうし。スペードも魔法少女のブースト受けてそれくらいは出せたよ。」


 数字で聞くと違いがわかる。むしろ2万程度ではまだまだだろう。おそらくモードⅤ(ロケットランチャー)でもアメルの魔力壁を突破することは叶わない。鰐の様な皮膚はない。だが、実戦を知ってるアメルを攻略は出来ないだろう。直感だが、直撃させても傷一つ、つかないだろう。鰐との戦闘を通じてイメージが湧いた。


「それを取り込みきればどれだけ上がる?」


「んー。通常時でも5万は超えるんじゃないかな。概算だけど。魔法少女のブーストかければスペードは超えるだろうね。」


「そうか」


 それだけ聞ければ迷う事はない。


 俺は飲むことに決めた。


 アメル、明。


 守るためには力がいる。

さてさて、今後の展開はいくつか考えてるんですが・・・。


迷ったら初志貫徹でいかなきゃですなー。


まったり小学生編にはいかない・・・はず・・・。気が変わらなければ・・・。


次回『58話:女教師の追想1』

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