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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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56話:進展

「『癒し手』が見つかっただと?」


「100%じゃないけどね。」


「誰だ!!」


「んー。その前に……九米」


 カルマがまだぷるぷる震えていた九米に声をかける。


「……? え? 九米? ……え? 封印装置が……!?」


 反応を示さない九米にカルマが呼びかけて視線を向ける。


「……」


 九米は反応を示さない。仕方がない。


「九米」


 仕方ない。躾で序列が入れ替わった。仕方ない。


「サー! イエスサー!」

 俺の呼びかけに応えて、九米が動き出す。


「え!? 喋れたの!! 喋れるようになったの!?」

 カルマが驚いている。こいつも知らなかったらしい。


 九米が四葉に忍び寄って再び拘束する。


「え? なに? きゃああ!?」


「な、何がどうなってるの? なんで九米が命令を……」


「後にしろ。『癒し手』は誰だ?」

 四葉には聞かれたくないらしい。


「本当に強引な……。『癒し手』はおそらく一葉(いちよう)


一葉(いちよう)?」

 昨日聞いた名前だ。確か、四葉の多重人格の一つ。


「そう。四葉ちゃんの一つ。多分それが特性『癒し』を持ってる。……まあ、近いものかもしれないけど」


「……何故、特定出来た? 俺達はまだ一葉(いちよう)に会っていないだろう?」


「うん。だから推測が入る。けど、確率は高いんじゃないかな。だって一葉(いちよう)は一度、ゆうきちゃんを癒してる。」


「あ?」


「話を少し聞いたんだ。昨日の鰐程ではないけど、多少強い魔物が出た事があるらしい。その時、ゆうきちゃんは一度、片腕を失った。」


「……」


「それをくっつけて再生させたのが一葉らしい。多分、ゆうきちゃんが怪我をした事で結界が緩んだんだろうね。その時の波動をキャッチしたんだと思う。」


「……何故、四葉に話を聞かせない?」

 大体は予想がつくが聞いてみる。四葉に話して、協力を仰ぐのが筋だからだ。


「四葉は多重人格だって意識がない。他の人格と記憶を共有してないんだ。聞かせた方がいいのか、聞かせない方がいいのかまだ判断がつかない。最悪の場合、他の人格に二度と会えない。」


 思った通りか。今朝の反応で予測はしていたが……。

 それゆえに、確証が得られるまでは昨日の風呂での一件は、四葉に伏せていた。

 朝全裸であった理由は適当にはぐらかした。強引に違う話題に転換させた。


「しかし、人格で特性が変わるのか?」


「うん……。それについては仮説でしかないけど……。感情とか精神は魔法に関係がある。だから、可能性は非常に高いと思う。」


「……そうか。つまり四葉からその人格を引き出せば……」


「スペードは癒せるかもね。……でも、問題がある。」


「問題か……。なんだ?」


「一葉になるスイッチがわからない」


「スイッチ?」


「うん。ゆうきちゃんが言うには人格が切り替わるスイッチがあるらしいんだ」


「……『葉葉葉』みたいに風呂に入るとかか?」


「そう。そんなの。『二葉』は怒らせる。四葉ちゃんが平常。ただ『一葉』に会えるのはゆうきちゃんでもレアケースらしいよ」


「……つまり、どうすればいい?」


「……現状維持。少しづつ四葉ちゃんを調べるしかないね。小学校でしか見た事ないってゆうきちゃんが言ってたから、小学校に通う必要があるかもね……」


 上を見上げてため息をつく。


「ふー…………」


 長く、長く息を吐く。


 まだ届かない事への焦りはあるけれど。


 進んではいる。そう、自分に言い聞かせた。




次回『57話:魔力を喰らう』

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