55話:踏みにじられた尊厳
「四葉」
全てを終えた俺は、九米から四葉を解放する。
「え?」
惨状をみて、四葉が声を上げる。
股から引き裂かれた鳳凰院凶をじっと黙って見つめて震える九米。
すすり泣く全裸のカルマ。かぶっている布団の一部が盛り上がっているのは仕方ない。生理現象だ。
そして、笑顔の俺。
九米にはきつく口を開くなと厳命しておいた。躾の成果か大人しく聞いている。まあ、一応何が起きるのかわからんからな。
「え? え? 何があったの?」
「気にするな。教育的指導だ。」
すすり泣くカルマに声をかける。
「おい。カルマ。」
「うっく……ひっく……。奪われちゃった……汚れちゃったよ……ごめん……ゆうきちゃん……っく、ひっく」
「おい」
声に怒気を乗せる。
びくっと震えるカルマに囁く。
「俺の言う事は?」
「絶対です!!」
反射で答えるカルマ。
「大暮先生はどうした」
「え? ゆうきちゃん? えっと……学校に行ったんじゃないかな?」
「……律儀な事だな……」
休んでもよさそうなもんだが……。教師では立場が違うか。浮かれすぎずに締める所は締めているのか。
それを……昨日発揮してもよかったんじゃないか?
また怒りが湧きそうになる。まあ、いい。大暮先生は真面目なだけだ。
「ハートちゃんはどうしたの? ……どうしてあんな事したの?」
「あ? ただのモーニングコールだ。来た理由は情報の整理と今後だ」
「も、モーニングコール? あ、あの黒龍モーニングデストロイヤーみたいなのが?」
「あ? 何か文句があるのか? モーニングコールの文句は俺に言え!」
「ひい! な、なんで、怒ってるの? なんで蒼天みたいなの? 言ったらひでぶな感じにするんでしょう!!」
「……まあ、いい。早く進めろ。」
「ええ! そんな軽く!! 僕の尊厳を踏みにじっておいて!! 本当にやばかったんだよ!? 途中からゆうきちゃんも現れたんだ。喘いで、口も塞がれて、堕ちていく僕を悲しそうな目で……」
「……どうでもいい。情報は?」
「ぐふっ。あ、あんなじわじわくる恐怖は初めてだったのに……恐ろしくて痛いだけなら耐えられたのに……あんな気持ちい……。もう……ほんとにもう! ………………情報ねえ? ……あるよ」
「ほう? なんだ?」
「確定ではないけど、高確率で『癒し手』が特定出来た」
「っ!! 何!?」
次回『56話:進展』




