50話:よっつのかお1
こん。こん。こん。
風呂に付いた小窓の外から叩く音がする。
「ん?」
四葉が上を仰ぐ。
そこに浮かぶシルエット。あれは……!
「九米!!」
助かった。素直に安堵する。九米は出来るやつだ。ピンチに颯爽と現われる。
「僕と契約して、魔法少女に――「いわせねえぇよ!」」
いつもの決まり文句。これ程、心に響いたのは初めてだ。
カルマ風人形が叫ぶ。
「『透過』」
壁と窓越しの九米の姿が浮かび上がる。多機能なやつだ。そこも素敵だ。
そしてもう一度、カルマ風人形が叫ぶ。
「『映写』」
九米の目から出る光によって中空に大暮先生の戸惑った顔が映し出される。
『……え? もう、映ってるんですか? え、でも私いま……はだ……』
大暮先生が喋りはじめた。記録映像のようだ。本当に多機能なやつだ。
『え? 顔しか映ってないから大丈夫? ……もう! 少し待ってくれても……』
…………。
『あ! は、始まってるんでしたね。明心さん。伝えるのを忘れていました。今から言う事をしっかり聞いて下さい。』
黙って聞く。四葉も聞くようだ。じっとしている。
正直、隙だらけなんだが……。九米は何故動かない?
『四葉についてです。彼女の境遇に関しては話しましたね。彼女は優秀です。本当に。先生の立場から見ても。……ですが、彼女は決して強くはありません。強い……のかもしれませんが、脆い。』
そこで、一旦言葉を止める。
『正直、彼女の事を人に話すのは躊躇われますが……。大切な事なので聞いて下さい。彼女は……というよりも彼女を取り巻く環境は元々、良くありません。はっきり言いましょう。最悪です。』
四葉を確認する。表情がない。ただ黙って聞いている。
『何故、こんな話をするのかですが、彼女は多重人格です。』
あ? 多重人格? ……だが、確かに感じた違和感がある。
あの屈託なく笑う四葉が嘘だとは思えなかった。
そして今の四葉と結びつかない。
納得できる部分はある……か?
『彼女の人格は4つ。2つは比較的に友好的で社交的。残りの2つに問題があります。』
……その内の一つが今の四葉か。
『それぞれの人格に名前を付けて呼んでいます。普段の明るくよく笑う『四葉』。大人しい人格の『一葉』。暴力的な人格の『二葉』。そして一番質の悪い人格『葉葉葉』です。最後のやつだけちょっと特別で。かなりの頻度ではあはあ言っています。長くなりましたが、この子にだけは気をつけて。教師として言います。道徳に外れるからです。だからこその注意です。』
……情報が遅い。なにかあるかと思って九米をカルマに回したのは失敗だった。何かあるのは俺の方だった。
『ただし、この性格になるにはスイッチがあります。……一緒にお風呂にさえ入らなければ大丈夫です。』
……本当に、使えないな……。
『え? 何ですか? カルマ君。え? えぇ!? ぼ、僕たちは一緒に入ろうって……』
……カルマ……
ただ、思う事は一つ。
殺す。
『い、いや。その話は置いておいて。いいですか。明心さん。絶対にお風呂にだけは入ってはいけません。いいですね? 私も危うかった。ですが、私の場合は湯船に入ってきた瞬間を狙って雷撃でなんとかなりました。ですが、いまの明心さんでは手がないかもしれません。なので、絶対にお風呂に入るのは回避してください』
遅い。情報が古すぎる。大切な事は先に伝えろ。大暮先生、カルマに会って浮かれてたな。
ちょっと可愛いうっかりで済ますには、状況が悪すぎる。
遂に、50話いきましたな。頑張ったな、俺。そしてこれからも。
頑張れ、俺。
何度、心折れそうになった事か。
さて、余裕出来たら挿絵描こう。初変身シーンも戦闘シーンもなんにも挿絵挟まなかったけど。少女の裸を描くんだ。
あざとい?
前にも言ったな。大人はみんな汚いんだって。
ただな。勘違いすんなよ?
僕が、描きたいんだ!! 裸を!!
よし。言いきった。男らしい。
きっと読んでくれた人も男らしさに惚れて、ブクマも評価も感想もウナギ登りでしょうよ!
次回『51話:よっつのかお2』




