47話:はんたーはんたー1
「はあ……はあ……はあ……はあ……」
俺は荒く息をついていた。
全裸で。
「っく……うっ……」
俺は呻き声をあげた。
全裸で。
ここにいるのは全裸の俺と全裸の四葉。
四葉は気を失っている。俺が落とした。
全裸で気を失った四葉の近くで俺は……。
「っぐ……」
もう一度、呻き声をあげて、つきそうになる膝に力を込める。
意識が飛びそうだ。
だが、ここで気を失うわけにはいかない。
「九米……」
……は、いないか。クソ。あれは今、カルマの所だ。
なんとか自力で風呂場から這い出る。
そして下着を履かずに服だけでも着る。少し動くのも億劫だ。
四葉は……捨て置こう。罪には罰が必要だ。暫くは起きない。四葉は風邪をひくかもしれない。だが、風邪を馬鹿にするわけではないがひけばいい。
のろのろとした動作で、服を着て出ていく。
向かう先は寝床。限界だ。
飛びそうになる意識を必死につなぎとめる。
何か、考えよう。
そうだな。
どうして、こうなった。
◇◆◇◆◇
「……ふぁ……」
ホットケーキを食べて、四葉と談笑していた俺は欠伸を噛み殺した。
「あ。ごめん! 疲れてるよね……」
四葉は悲しそうに顔をしかめる。
「いや。構わん。だがそろそろ休みたい。」
体力が限界だ。取れるうちに休息を取っておきたい。
途中、カルマとの連絡が完全に遮断されて焦ったが、九米が情報を寄越した。九米は出来るやつだ。状況は把握できた。
まあ、カルマも頑張ったようだ。
「そっか。お風呂は入れてるから入ってよ」
「……風呂か……」
正直、休みたいが……折角入れてくれているのだ。……入るか。
風呂は嫌いではない。
「わかった。入って、休むとしよう」
促されるままに俺は風呂へと向かった。
次回『48話:はんたーはんたー2』




