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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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44話:虎になったチキン 後編

 まだ見えない。ゆうきちゃんの顔が見たい。そして冷静な僕を取り戻したい。


 焦れてきたので、僕からも近寄る。


 見えない。


 見えない。


 見え……た!!


 あ。


 ゆうきちゃんは目の前だった。鼻と鼻がくっつく程の。


 僕の鼓動が早くなる。


 僕は、また失敗した。


 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した!


 目論見が外れていたわけじゃない。僕は、これだけ少女ではなく女性に近寄られても、心が揺さぶられるとは思えない。

 なら、何故これほど心が荒ぶるのか。


 答えはもう出ている。

 まず、結局顔が見えても、さっきまで見ていた少女のゆうきちゃんとダブるのだ。当然だ。少女のゆうきちゃんは、昔の姿だっていうだけで、雰囲気はそのまま。


 妄想。イマジネーション。人類補完計画。


 確かに、守備範囲から外れている。外れているのだ。


 だけど。


 瞳がそのままなのだ。


 少女の時でも、女性になっても。変わらず、ずっと。


 自分で言うのもなんだけど、かなりの奇行をしていると思う。

 メガネ捨てたり、フラフラしたり。


 ハートちゃんから教えてもらった、知性なんてなんにも見せられていない。


 それでも。


 鼻のくっつく距離で、見つめられても。


「か、カルマ君? どうしたの?」


 顔を羞恥に赤く染めても、なお、心配してくれる。


 瞳に浮かぶ、羞恥、心配。そして真っ直ぐな好意。


 少女と変わらずにいまもなお、瞳に浮かんでいる。



 う。


 混乱する。少女以外にこんなのは初めてだ。


 認めよう。ただ震えるだけの弱い心で認めよう。少し怖いけど。僕はとても誠実な行動はとれていないけれど。


 メガネから覗く、ゆうきちゃんの瞳。


 僕はこれが好きだ。


 聞いてみよう。僕と出会ったという10年前の話を。もしも、僕が記憶を消したのならば、少し怖いけど。

 聞いてみたい。知りたい。彼女が僕をまっすぐに見れる理由を。

 怖いけど、ずれているかもしれないけど、気持ちだけは。怖さから逃げないで、誠実であろう。


 認めてからは、不思議と落ち着いた。


 傷つくのは怖い。


 けど、失うものは何もない。僕は伝説の魔法使い(さんじゅっさいのどうてい)になる一歩手前。なる覚悟もあった。傷ついても前に戻るだけ。


 ゆうきちゃんと話そう。時間はかかったけれど。


 頭に声が響く。


『……カルマ。さっきからうるさい。』


 うえ!! ハートちゃん!?


『……だけど、それでいい。お前のペースで、お前の気持ちで。』


 あぇ!? 聞こえてたの!! 眼鏡を捨てた時にスイッチが入ったの!?


『ああ。……胸を張れ。カルマ。お前は前に進む選択をした。』


 う。


『ゆっくりとだけど、確実にお前は成長した。』


 泣きそうになる。ハートちゃんは厳しい。自分にも、他人にも。生き方が違う。

 

 認められた事が、ただ嬉しかった。


『後は、お前の思うままに……ヤレ。いいか? しっかりヤルん……』


 最後まで言わせず、声を頭から追い出す。なんか色々と台無しだった。


 これだからは中身がおっさんは……。


 感動した僕の気持ちを返してほしい。あいつはとんでもないものを盗んでいきました僕の心です。いや、そんないいもんじゃないな。


 まあでもおかげですっかり落ち着いた。


「あ、あのカルマ君? ちょっと近いから、そ、その恥ずかしいかも……」


 そう呟くゆうきちゃんを見る。鼓動が速くなる。だけど、心地いい。さっきとは違う。


「ご、ごめん」


 僕は謝って、ゆうきちゃんから離れようとした。後ろに一歩踏み出した。


 ぺきょ。


 そんな音が響いた。


「うわ!」


 僕が捨てた眼鏡だった。そんな所にいなくてもいいだろう!?


「わっ!」


 驚いた拍子に踏鞴を踏む。


 ゆうきちゃんの方へ体が滑るように傾く。


 ゆうきちゃんも咄嗟の事で反応できていない。必死に腕を伸ばして回避しようとする。


「っく!」


 伸ばした手が何かにぶつかる。


 伸ばした手の先にあったものは。 



小賢しい手を使うつもりでした。

次回『虎になったチキン 後編2』とかして引き延ばそうかと。

まだストックないので確定ではないですが次回はタイトル変えます。

カルマサイドはまだ終わんないですが。


次回『45話:壁ドン』


話書く前にタイトル決めた。タイトルで出落ち? 知らんね!

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