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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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43話:虎になったチキン 中編

気付いたら、ストック切れてたので慌てました;

「カ、カルふぁ、くん?」


 口に魔力玉を含んでいるがための、こもった声。


 もう僕には甘い声にしか聞こえない。


 甘い。


 誘ってんじゃないのー? だ。


 クソ。文章にするとネタが伝わりにくい気がする。


 いや。そんな事はどうでもいい。誰に聞かせるネタでもない。


 理性が働かない。体が止まらない。フラフラと近寄っていく。


「ど、どうかしたの?カルマ君?」


 心配そうに、上目遣いで。僕を顔を覗き込んでくる。


 そこには僕への好意しかない。


 ドクンと鼓動が跳ねる。


 う。


「うわああ!」


 僕は、眼鏡をむしり取って投げ捨てた。


 馬鹿か! 僕は!!


 決めただろう!? 自分の欲望だけで傷つけないって!!

 何を血迷ってるんだ!!


 あの好意しか映らない瞳を見て、僕に罪悪感が生まれた。

 その隙をついて、邪眼の元を絶った。


 僕から邪眼が失われた。


 つまり、それは僕の世界から色が失われる行為。


 さあ。眼を開いて見ろ。ゆうきちゃんを。


 夢から覚める時間だ。


 自分に問いかける。


 ……良い夢見れたかよ?


 ああ。見れた。だけど。


 夢は夢だ。僕は。


 その幻想をぶち殺す!!


 (おのれ)の真実の(まなこ)(ゆうきちゃん)を直視する。


 ほら。見ろ。


 霞んでよく見えない。


 クソ! 失敗だ。僕は目が悪い。


 まただ!! 僕は失敗した!!


 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した!


 もうそのネタはいい? 知るか!! 何度だってやってやる!!


 だって、失敗だろう!?


 目が見えない。それだけならいい。


 童貞達(はらから)よ。お前らなら分かるだろう? 僕らは魔法使い。妄想(イマジネーション)は得意だろう?


 見えない? なら、妄想で補完すればすればいい。人類補完計画だ。


 違う? いやどうでもいい。お前の意見は聞いていない。


 クソ。僕は神と話しているのか。遂に神の声が聞こえるようになったのか?


 違う。落ち着け。


 頑張れ、俺。


 見えないなら妄想。ここまではいいか?

 そして、僕はさっきまで幻想を直視していた。これもいいかい?


 つまり、リアルな妄想。


 あまりに、無意味。僕の眼鏡を捨てる行為はただの愚策。


 僕の武器は知性だ。そして白衣。か~ら~の~眼鏡。


 その一つを捨てた。ここは戦場だ。そこで武器を捨てる愚行。


 馬鹿か!! 僕は!!


 クソ。どうする!? 収集はつかないが眼鏡(ぶき)を拾いに行くか!?


 だが、見えない!!


 ここであれをするのか!? 伝説の「メガネ、メガネ~」を!?


 シンとしたら、その空気の中を生きていける気がしない!! 僕のハートはチキンなんだ!!


 虎になるんだろうって!? 虎? はっ! 笑わせるな!!


 鳥は所詮、鳥でしょう!!?


 馬鹿なの! 死ぬの!?


 鳥がいくら、「俺は虎だ」って思っても、所詮は鳥なんだよ!! 種族の壁は厚いんだよ。


 だけど、どうする? やるしかないか? 他に手が!!


「本当に、大丈夫ですか? カルマ君? 何か、あったのですか?」


 そう言って近づいてくるゆうきちゃん。


 引きそうになる己の体を、無理矢理押しとどめる。


 そうか。近づくか。近づけばいいんだ。そうすれば見える。そうすればもう少し、落ち着く。


 ゆっくり、近づいてくるゆうきちゃん。


 じっと、顔が見えるまで待つ。じっと、見つめて黙して待つ。

次回『44話:虎になったチキン 後編』


カルマ氏をこのノリで書いてると後編で終われるか不安になってきました;

どうしようかね?

ちょっと、考えてみます。


終わらなかった場合に取る手段は、みんなが考える真っ当な手段じゃないです。

多分、小賢しいことします。

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