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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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38話:ステップアップ

 爆散した鰐の肉片を見ながら語りかける。


「はは。よく焼けたかよ?」


 俺の勝ちだ。


 しかし。


「っぐ……」


 俺はふらつく頭で膝をつく。

 モードⅤ(ファイブ)を3発撃った反動(リバンド)だ。


 だが、即意識が落なかっただけ成長したか。とても暫く立てそうにないが。


 ギリギリではあったが、なんとかなった。


 勝利出来た理由は単純。


 鰐の経験値不足。


 でなければ、楽観できるような相手ではなかった。


 もしもの話だが、あの鰐が遠距離攻撃にシフトせずに、顎による攻撃にこだわった場合。


 あんな雑な水魔法を使わずに、あの水を使って、例えば己を掻き出すような推進力に変えればもっと、状況は厳しいものになっただろう。


 モードⅤ(ファイブ)には硬い鱗を正面から突破する火力は、腹に当てて死ななかった時点でなかった。


 だから正面から、確実な力押しが一番厄介だと感じていた。


 まあ、それならそれで別の方法を考えていたが、一か八かの要素が高かった。


 例えば、顎による攻撃を避け続けて、あの鱗を『弾丸(バレット)』で剥ぎ取っていく。そこから抉り込んで撃ち殺す。

 鱗がもし即修復出来るならアウト。魔力は向こうが圧倒的。機動力に注ぎ込まれれば避け続ける自信はない。範囲(リーチ)とはそれだけで武器なのだ。巨体にプラスして俺より早かった。


 だが。


 勝ったのは俺だ。


 実戦の中で、何か掴めた気がする。


 特に『弾丸(バレット)』。

 実に汎用的に使える。まだ荒いが少し精錬された気がする。


「明心さん!」

「鳩子ちゃん!」


 大暮先生と四葉が駆け寄ってくる。


「大丈夫ですか!?」


「……ああ。問題ない。暫く休めば元に戻る。……まあ暫くは動けそうにないが。」


「そうですか……。よかった……」


 大暮先生が安堵の表情を浮かべる。

 

「しかし、助かったよ。大暮先生。四葉。2人がいなかったら、もう少し無茶が必要だった。特に四葉は予想以上だ。巨体を吹き飛ばせるとは思っていなかった。」


「ふひひ。任せてよ!」

 そう言って笑った顔は顔は可愛らしかった。


「……まだ意識が残ってるの?」


 カルマが問うてきた。


「ああ……。変態の前で気を失う訳にはいかんからな……。何をされたものか。」


「はは。ひどいなー。『NO タッチ』だって言ったじゃん」


「タッチしなきゃ大丈夫とか言い訳に使うつもりだろう。殺すぞ」


「…………」


 目線を、あからさまに合わせない。こいつは、本当に……。


 まあそれも、大暮先生との夜のオペレーション『個人授業』の成否にかかっている。成功すれば、もう少し成長するだろう。


 それに、こいつがいなければ鰐に仕掛けた罠が成功しなかったのも確かだ。


 戦闘中に頭の中でざっくりとした罠の概要をカルマに伝えた。

 それを、あの少しの間で作戦の形にまでしたのはこいつだ。


 あの時に四葉の運用方法を最もうまく使えたのはこいつだ。


 やはり、問題が多いやつだが有能だ。


「まあ、いい。次からの俺自身の訓練と、お前の訓練はステップアップするからな?」


「……はい……」


「……声が小さいな?」


「サー! イエッサー!」



「で、先生。悪いが近くに休める所はあるか? 少し、休みたい」


「え! そうね。私の家に行きますか?」


「近いのか?」


「ええ」


「そうか。今は四葉もそこに住んでるのか?」


「うん。先生に住まわせてもらってる」


 四葉の事情を知っていれば、それが妥当だろう。


「じゃあ、四葉が連れてってくれ」


「え?」


「先生はもう少しカルマ(そいつ)と話をしてくれ。おい。カルマ。」


「ん? 何?」


「基地に連れてけ。俺は先生の家で休む。何かあれば呼べ。九米。」


 大暮先生をいまさら疑ってはいないが一応、九米をつけていれば保険になるだろう。


「うえ! 待ってよ!? ハートちゃん!?」


「…………………………」


 ただ、無言で圧力をかける。


「……う……」


「…………わかるな?」


「は、はい……。」

次回『39話:ホットミルク』

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