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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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31話:邪眼

「ついに、我が邪眼の力を解放する時がきたか……」

 カルマが呟くのが聞こえた。


「あ?」

 視線をやると眼鏡の淵にあるスイッチを押している。


「これは、大人の前世の姿を写す魔眼さ! おおおおお! すっごい地味だけど、メガネかけたロリっ子が僕の目の前に!! なんと業の深き(まなこ)!」


 開かれた扉の先に大暮先生がいた。


「あ? どうゆう事だ?」


「だから、大人の前世(こどもじだい)を写すのさ。今の僕には、大暮先生が地味なロリメガネっ子に見える! この姿で、僕に惚れているという情報! 萌える!」


 まあ、いい。やってる事はあほくさいが、大暮先生も自分に興味なさそうにされるよりはいいだろう。



「明心さん? その人は……」


「ん? ああ。想像通り、カルマだ。」


「……っ!! やっぱり! カルマ君!!」


 そう言って大暮先生は、カルマに駆け寄る。一応、不審な所はないか警戒する。カルマが今、死ぬのは困るのだ。


「……おい」

 大暮先生は制止の言葉が聞こえなかったのか、そのままの勢いでカルマに抱きつく。


「っ!!!」

 カルマが声にならない声を出す。

 頭にカルマの声が届く。


『地味メガネロリっ子に! 今、僕は! 抱きつかれてる!!』

 上を向いて、顔を赤くしながらも顔を上にあげ、必死に涙を堪えている。


 さっきまでの興味のまったくなかった反応とえらい違いだ。


 これなら、いいだろう。俺は、カルマに呼びかける。


 カルマ。


『……生きてて良かった。』


 おい。カルマ。カルマ!


『……本当に、良かっ……え? 何?』


 指令だ。心して聞け。


『うん。え? 指令?』


 そうだ。お前は、成長するべきだ。

 今後の為に。明の為に。


『う、うん。そうかもね。』


 だから、口説け。そして、ヤレ。大暮先生で童貞捨てろ。


『え? いやいやいや! 駄目だよ!! 「イエス・ロリータ・ノータッチ」だよ!!』


 意外に力強く答えが返ってくる。


 いいか? カルマ。よく聞け。大暮先生は、そう見えて成人だ。


『!!』


 好機。カルマは現在、舞い上がっている。穴だらけの論法でも勢いで押し切れる。所詮は童貞。ちょろいもんだ。だからこそ、男になって成長してもらう必要がある。


 誰だかが言っていた。


 攻められた事のない(おんな)と、攻めた事のない兵士(おとこ)、どっちが貴重だ? と。


 無論、後者など価値がない。城攻めを果たしてこそ、兵士としての自信が芽生えるのだ。進化と言っていいほどの精神的成長を遂げるだろう。


『けど……でも……』


 考えるな。


 ロリータだが……合法だ!


『合法ロリ……だと……』


 そうだ。何を迷う必要がある?

 お前、男になりたくないのか?


『…………そうだ。……僕は、いつの間にかあきらめていた……。イエス・ロリータ・ノータッチだからだと……。僕は、あと少しで伝説にある魔法使いになる所だった。僕がなりたかったのは魔法使い(さんじゅっさいのどうてい)じゃないっ! 男だ!』


 そうだ。大暮先生……いや、ゆうきちゃんは嫌いか?


『大好きです!』


 ならば、ヤレ。


『イエス! サー! オペレーション「童貞捨てる(チェリーブロッサム)」開始します!』


 

「カルマ君……。本当に良かった……。」


「だ、だ、だふぁ……。だい、じょうぶ、だぁ!」


 天パリすぎだろ。


「え? だ、大丈夫? カルマ君」

 カクカク首を上下に動かしている。


 こいつ……。想像以上に駄目だ。勢いがいいのは頭の中だけだ。

 なにがオペレーションだ。


「ああ。大暮先生。すまないな。カルマは童貞でな。女性への免疫が極度にないんだ」


「どっ!!」


「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」


 話が進まん。手を貸してやるから、適当に合わせろ。


『すんません……。』


「大暮先生。貴方があまりに可愛らしいから緊張しているんだそうだ。な?」


 カクカクと首を上下に動かすカルマ。


「え!?」


「その前に、本人だと信じてもらえただろうか?」


「え? ええ。10年以上も経ってるから変わってる部分もあるけど……。間違いなくカルマ君だわ。魔力の感じがあの時と同じ。強くはないけど……すごく優しい。」


「魔力の感じ?」


「うん。私が得意な魔法は雷を使ったものだからかな? 電気信号というか……。敏感なのよ。そううゆう雰囲気を感じ取るのが。」


 なるほどな。

 カルマ。お前は覚えていないらしいが、大暮先生はお前を思ったより見ているようだぞ? そして、お前の内面を気に入っているらしいぞ?


『…………』


 あ。そうだ。


「大暮先生。一つだけ、言っておく事がある。貴方と出会った当初の事があやふやらしいんだ。」


「え……?」


「その当時、大怪我を負ったらしくてな。記憶があやふやらしい。だから、大暮先生の事も……。」


「そ、そう……。仕方ないわ。それだけ大変だったんだもの。もう会えないかもって思ってたくらい。」


「積る話もあるだろう。夜にでもカルマと話をしてやってくれないか? 大暮先生に慣れてもらわないと困るしな。」


「ええ。そうね。後で、ゆっくりお話しましょう!カルマ君!」


「あ、う、ぅん……。」


 カルマ。


『はい。』


 決めろよ?


『……う……。が、頑張ります……』

次回『32話:魔力と間欠泉と特異点1』


間話はまた今度あげます。どうでもいいサイドストーリーなので、時間あるときにでも。

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