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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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29話:現状相談

「え?」

 四葉が声をあげる。


「ん? お前も平常通りに授業を受けないのか? いつも、受けてたよな?」

 まあ、四葉はみんなには見えていなかったみたいだが。


「い、いいの? そんなに簡単に?」


「ああ。さっき、大暮先生にも言ったが問題ない。放課後に天狂院カルマという、大暮先生の昔の知り合いの所のものだと信用してもらう必要はあるが、敵対する意味はない。どうせなら友好的にいこう。」


 そう言って、歩き出すように促す。

 四葉が並びながら、問うてくる。


「う、うん。明心さんは私がずっと見えていたの?」


「ああ。ずっと、三堂麗葉のグループに混じっている目立たないやつ程度の認識だったがな。いま、考えると顔も思い出せない奇妙な感覚だが。」

 意識してしまえば簡単で、今は簡単に四葉の顔を思い描けるが。


「まあ、いい。話は放課後にしよう。」


 クラスに着いた俺は、四葉にそう声をかけて教室に入る。


「う、うん」


 四葉も返事をして、俺の後に続く。

 その後にすぐ、大暮先生と勇者が入ってくる。


「いいですね? 菜々草君? 貴方は勘違いしています。あとで、必ず誤解を解きますからね!」

「…………」


 クラスに入った俺は席に着く。ランドセルもちゃんと置かれていた。後で、三堂麗葉には礼を言おう。

 勇者もしぶしぶといった感じで席に着く。


 HRが始まり、今日の一日が始まる。


 俺は、授業を一切聞かずに、頭の中でカルマに報告する。

 朝、あったことの経緯。

 

『ああ。大暮先生って地下帝国の人なんだ。しかし、これも『誘導』かな。すごい、確率に巡り合うね。』


 ……そうなのか? 地上には魔力を意識して使えるものがいるかどうかすらわからんのだろう? なら、反応あるところに、たまたま昔お前が助けた地底人がいても不思議ではないと思うが。


『……そうなんだけどね。まあ、いいや。状況はわかったよ。で、僕は何をすればいいの?』


 ひとつは、監視だな。万が一にも逃げ出さないとは限らない。


『OK。それはもう問題ない。当然だけど、四葉ちゃんの魔法による操作を含めて問題ないって意味ね。話を聞くまで、おかしいなって思った事も、意識を逸らされた節が確かにあるね。その辺は解析して、対策をたててる。』


 その辺りは流石だな。

 じゃあ、次だ。大暮先生についてなにか分ったか?


『あー。うん。まだ、思い出せないけど。記録には確かにあるね。間違いないと思うよ。思い出せないけど。』


 僅かにでも思い出せないのか? 


『んー。その辺りは僕が原因かなー。その当時、色々あってさ。』


 色々?


『レジスタンスっぽい事をしてた時期でね。ちょうど、その時に大怪我したんだ。』


 大怪我? それで、記憶が混濁してるのか?


『そうゆう部分もあるとおもう。けど、それがあったのが記録見ると12年前でね。12年前って事は、大暮先生は17歳って事だよね?』


 そうだな。


『つまりだよ? もう、賞味期限切れてるじゃん? 守備範囲外で。だからなんていうか、覚える気が……』


 ……お前、ほんともう……どうしようもないな……

 生涯を童貞で過ごす気か?


『…… ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!』


 それは、もうういい。鬱陶しい。


『おおう。一応お約束なのに。仕方ないよ。僕の背負った(カルマ)は「イエス・ロリータ・ノータッチ」だし。』


 くだらない事を言うな。そんなだから、精神が成長しないんだ。

 

 ヤレ。

 

 大暮先生も顔は整ってるし、いい所はあるだろう?


『ヤレって……。ひどいな。しかし、いい所ねー……。んー………………。眼鏡かなぁ……』


 モノじゃないか! お前、自分に気のある女の認識がその程度とか最悪だぞ!?


『んー。だよねぇ。驚くほどに思い出せない。流石に、守備範囲外でも顔見たら覚えるんだけど……。あの頃って色々あったからなー。嫌なことがあって、記憶を消したのかもしれない。』


 あ? 記憶を消す? そんな事が出来るのか?


『うん。出来るよ。あんまりやらないけど。精神的に追い詰められたらやる事はあるかもしれない。』


 変な言い回しだな?


『そうだね。大概、記憶を消したって事実自体も消すからわからない。そうゆう事があったならよっぽどだと思うし。思い出さないのが健全だと思う。』


 …………。


『もちろん、忘れてはいけない事は覚えてる。……魔法少女達(かのじょたち)の死とか。』


 ……そうか。まあ、いい。

 大暮先生の情報から話を合わせられるようにしておけ。

 放課後に、お前が本人だと理解してもらう必要がある。


『りょーかい。』


 ここまでで、なにか気になる所はあるか? 大暮先生は信用できるか?


『うーん。大暮先生は、信用しても問題ないと思うよ。本当にそんな事したのか、判断つかないけど、いくら僕でも、危険なものの記憶は消さないと思うし。大暮先生の事は、どうでもいいから消した可能性が一番しっくりくる。』


 どうでもいい……。お前は、本当に……。


『それよりも、『癒し』の波形と二人の特性が一致しないのが気になるかな?』


 そうだな。大暮先生の結界と、四葉の『幻惑』とやらで今まで凌いできたと考えられるが……。

 お前に、探知された波形と合わないことと、結界があってなお、探知されるような事態になった事が不可解だな。


『そうだね。まあ、その辺りは放課後に音楽室で話を聞かないとなんともだね。』


 ああ。だから、カルマは大暮先生に本人だと証明できる方法を考えておいてくれ。


『OK。じゃあ、ちょっとそれまでは休むよ。昨日も色々してたからね。』


 ああ。では、放課後にな。


 そう言って、カルマとの通話を切った。


 

次回『30話:ぶれーん』

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