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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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28話:迷走するもの

 カルマと連絡が取れたことは今はとりあえず伏せる。


 こんなクソと会話しても、大暮先生との関係がこじれるだけだ。


 まあ、いい。カルマとの関係は大体把握した。10年以上前に何があったのか詳細が多少気になるが、今は優先順位でいうなら下だ。


 それよりも、癒し手。後はこの少女が気になる。

 大した魔力と威力ではなかったが、実に上手く魔法を扱っていた。

 魔法少女の状態だったから効きはしなかった。

 が、先ほどの大倉先生を救うために、会話で誘導しながら、魔法で意識を逸らそうとした。四葉の魔法特性的にも実に強力な戦術だ。シンプルなのもいい。


 俺や大暮先生よりは少ないとはいえ、魔力が多いのも気になる。大暮先生が魔力が多いのは理解した。地下帝国に居たからと理由はわからないでもない。それだけではない気もするが。


 癒し手を探しているという情報はこっちにとってのカードだ。大暮先生が敵だとは考えにくいが、判断するには情報の穴が埋まっていない。


 癒し手の情報は俺にとって弱点になりえる。慎重になるべきだ。焦ってはいけない。情報を集める。


 四葉について聞いていくか。


「なあ、四葉は……」


「………………嘘だ………………」


 振り返ると勇者(やつ)がいた。


 また、鼻血に塗れて呆然とした表情で呟いている。


 あ? なぜ、いる?


「……気を失っている間に、結界が切れたようです……」


 もしくは俺の使った、モードⅢ(スリー)の煙幕か。あれで結界自体が弱体化したのかもしれん。


「そんな……おっさんの彼氏がいるだけじゃなくて、女の先生とも!?」


「は?」


「だって!そんなコスプレで、緊縛プレイなんて!!」


 しまった。いまは魔法少女の姿だ。確かに、大暮先生を捕縛する為に、縛っている。

 しかし、プレイって。


「な!! ちがっ!?」

 大暮先生が驚きの声を上げる。


(あね)さん! どうして! どうして僕じゃだめなんだ!? そんなに年上がいいの!? なんで、行き遅れ先生をっ!」


「行きっ……!遅れっ……!?」


「くっ! 女の子が分からない! 分からないよ!! いくら年上でも行き遅れ先生(それ)はあんまりだよ!!」

 勇者が止める間もなく走り去っていく。


「ま、待ちなさい! 菜々草君!! 待って! 違うの! 待ってー!!」

 大暮先生の叫びが悲痛だ。

 ただ、縛られているために無力だ。


「勘違いよぉ……。行き遅れ先生ってなによぉ……」

 大暮先生の傷が深い。

 勇者の傷も深いのかもしれないが……。まあ、どうでもいい。

 まとわりつかれなくなるなら、それはそれでいい。

 クラスの居心地は悪くなるかもしれんが、大暮先生と四葉という情報を得た。

 まあ、なんとかなるだろう。

 それに、勇者も男だ。冷たいとは思うが、傷を負って、なお進んでこそ強くなる。

 あいつには仲間も多い。下手な事がない限り、あいつは問題ないと思っている。


 そんな事を考えていると、チャイムが鳴る。


 そういえば早めに来てたとはいえ、HR前だったな。


 どうするか。


「ねえ。明心さん。襲いかかって、虫がいいとは思うけど……。HRも始まるし、解いてもらえないかしら?」


 大暮先生は昔は地下帝国の民。だが現在は、教師だ。

 情報は早く欲しいが敵対しても仕方がないか。もし、癒し手がこいつらの仲間であるなら、協力を願う必要もある。

 脅しとかの手もある。明の為に手段を選ぶつもりはないが、下策だろう。


「平常通り、HRにでて授業をする気か?」


「……ええ。都合がいいとは思うけど……」


「まあ、いい。だけど、一つだけ約束してくれ。放課後に話を聞きたい。俺は、放課後に違和感を感じていた。大暮先生達が理由だろう?」


「……わかったわ。けど、私も確証が欲しい。カルマ君の所の人だって信じてないわけじゃないけど……。なにか証拠を見せてくれる?」


「ああ。問題ない。…………九米。」

 九米に声をかけて、拘束を解かせる。


「…………自分で言うのもなんだけど……。そんなに簡単に解放していいの?」

 大暮先生が問うてくる。


「問題ないな。ああ、逃げるとかの可能性を考えてない訳じゃないぞ? ただもう逃げられても、問題ない。」

 どうとでもできる。情報は割れた。サポートは九米だけというわけではないしな。

 情報が入った以上、カルマがヘマするとも思えない。もう、大暮先生達は俺達から逃げることは出来ない。



「……そっか。じゃあ、放課後に音楽室に来てください。話はそこで。」


「ああ。了解だ。」


「では、私は菜々草君を追います!」


 そう言って、脱兎の如く走り去っていった。

 四葉はまだそこにいる。こいつを置いていくのは信頼の証か、それともよっぽど焦っているのか。


「まあ、いい。俺達も行くぞ」

 俺は変身を解いて、四葉に声をかける。


  

次回『29話:現状相談』

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