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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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27話:進化論

「……どこから、話したらいいかな」


「では、最初から頼む。」


「んー。そうね。私は元々地下帝国の人間なの」


「なに!」


「でも、もう今は違う。今は大暮ゆうき。」


「……」


「私は、地下帝国から逃げ出した人間なの。もう、10年以上前のことだけどね。」


「逃げ出した?」


「そう。地下帝国の人間はみんな魔力が高いのは知ってる?」


「ああ。知っている。」

 カルマから聞いた。

 地下帝国の住人は魔力が高い。


「地球の中心に近いから。」


「そう。でも、それは一つの理由でしかないと地下帝国は考えている。」


「一つ? 他にも理由があると?」


「地下帝国はこう考えているわ。『進化』だって。だから、地下帝国の住民は選ばれた民だって。」


「……『進化』?」


「ええ。すっごい単純な考え方。地下帝国ってどんな場所かわかる?」


「ああ。少しだが、行ったことがあるからな。一面が岩とマグマがあった。」


「そう。あの、環境に住めるように適応するために『進化』した存在。それが地下帝国の民だって言われていたわ。確かに、地上の人間ではあの環境に放り込まれたら生きてはいけないわ。」


「……」

 普通に考えたら、そうだ。俺も普通に活動できた。


「魔力か」


「うん。生きるために、自然と魔力が跳ね上がった。それを、『進化』って呼んでる。一概に、地下帝国の掲げる『進化論』を否定する気はないんだけどね。実際、地下だけど食糧や水の問題とかも高い魔力と魔法でなんとか生きる術を見出して、気付かれることなく、今でも繁栄しているわけだし。」


「……なるほど。だがそれが、逃げ出した事とどう繋がる?」


「地下の人の魔力は平均的なの。基本的に、みんな同じくらいで差がないの。地上の人達みたいに突出した才能を持つ人って生まれにくいのよ。私は魔力がちょっとだけ、他の人達よりも高かった。」


「……」


「私みたいにちょっと変わった人達は、実験に使われるの。新しい進化の可能性。秘宝。魔女化に。」


「だから、逃げ出した?」


「うん。まあ、他にもあるんだけど大まかな経緯はそんな感じかな。」


「で、カルマは?」


「カルマ君はその時に逃がしてくれた人。必死になって。あの人が居なかったら私は今頃……」

 メガネと俯いて角度の所為で顔がみえない。だが、耳が赤い。

 なんとなく。長年の勘だが。まさかとは思うが。


 こいつ。


「惚れてるのか? カルマに?」


 真正の変態だぞ?


「えぇ! いや! そんな! 惚れるなんて!? そりゃ、ちょっと、助けてくれた時かっこよかったけど!!」


 おお! 奇跡だ。世の中には奇特なやつもいるもんだ。

 カルマにも勇者にとっての三堂麗葉みたいなのがいるなんて。


 しかし、なんでカルマは大暮先生を覚えてないんだ? 10年以上前だから印象が違うのか?

 女は簡単に印象が変わるからな。


 だが、大暮先生。

 趣味が悪い。


 恩義もあるし有能だが、カルマは駄目だ。

 男を見る目がなさすぎる。


 だから『行き遅れ先生』なんて不名誉なあだ名が巷で流行するのだ。


 しかし、あの拗ねているチェリーが復活するいい機会だ。

 全霊で、頭の中に呼びかける。


 カルマァ! カルマアァァァ!


『――――マスターは傷心中の為、繋がりません。枕を濡らしながら「童貞ちゃう――――』


 アナウンスを無視して呼びかける。


 カルマァ! カルマアァァァ! おい! チェリー! 童貞! さくらんボーイ!


 いい加減にしろ! 出ろ! 奇跡があるんだ! お前に起こった確かな奇跡が!


 人類にとってはどうでもいい一歩だが、お前にとっては大人の階段上る一歩だ!


 早くしろ! 九米使ってまたやるぞ! えげつない行為!


 題名はそうだな、『騎士(きゅうこめ)奴隷(かるま)』でどう――――


『アーッ! 』


 カルマの雄叫びがあがった。上手く、トラウマを抉れたようだ。


『怖い! 鳩子ちゃんの将来が心配だよ!』


 ようやく、出たか。


『え? 何? 放課後に調査じゃなかったっけ?』


 縛られる大暮先生と、四葉を確認する。


『は? この状況は何? 新しいプレイ? 女教師縛るって、マニアックな――』


 黙れ。お前、息するのに許可をとったのか? それと、プレイとかいうな。


『は? いえ! すいません。ハート様!!』


 おい。喋っていいといったか? 大気が汚染された。責任とれんのか? ああ?


『そんな! 呼んだのハート様じゃ!? いえ、すいません――――』

 

 期間は短いが、軍隊式に訓練した結果だ。

 基地に戻ったら、豆腐精神(とうふめんたる)もあるし、もう少し厳しくせねば。


 ――まあいい。


 聞け。カルマ。奇跡が起こったぞ?


『……』


 おい。誰が黙っていいと言った?


『うぇえ!? 僕にどうしろと!?』


 俺の意に添えばいい。


 まあ、そんなことは今はいい。後にしろ。


『……後で、何されるの……?』


 楽しみにしていろ。最高にハイにしてやる。


 まあそれよりも、童貞を捨てるチャンスだ。


『…… ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ! ってどうゆうこと?』


 この女を知らないか?


『……? 鳩子ちゃんの担任でしょ?』


 そうじゃない。合ってはいるんだが、昔に見たことないか?


『………………ないなぁ………………』


 ……こいつは、頭がいいのに……


 昔の知り合いらしいぞ? 10年以上前らしいが。


『へぇ……。……え? 僕の? ……………………誰?』


 ……………………めんどくさいな。

 こいつ、本当にクソだな。10年以上前とはいえ、自分に惚れてくれた女に多少も覚えがないとか。


 まあいい。


 この大暮先生をどう思う?


『どうって? 縛られてるね。体型は幼児体型だけど……萌えないなー……』

 

 発想もクソだな。だが、今後の為にも、精神的にこの女で成長してもらいたい。

 この女なら合意の上で丁度いい。


 なんと、喜べ! お前に惚れてるらしいぞ! 惚れてるは言い過ぎかもしれんが、脈はある!


『え!? 本気(まじ)で!?』


 そうだ。これでお前も負け犬卒業だ!

 

 ……


 カルマが息を飲んで、大暮先生を見つめる気配がする。


 ……


 ……


 ……


 ……


『んー……………………。チェンジ。』



 ( ゜д゜)



 は?


「ど、どうしたの? 明心さん? 変な顔して?」


「あ、ああ。なんでもない……」


 あまりのクズ振りに引いていただけだ。

 ここまで、精神がイかれているとは思ってなかった。


 病気だ。


 流石、狂気の科学者だ。


『……いやぁ……』

 

「褒めてねぇよ!!」


心の底から吠えた。


「「!!」」


 大暮先生と四葉が驚く。


「す、すまん。こっちの話だ。」

 つい、声に出してしまった。あいつ、絶対生きてる事を後悔させてやる。


『僕は、ハートちゃんとこんなお約束なやり取りが出来て幸せだよ!』


うるさい!


次回『28話:迷走するもの』

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