表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
30/86

26話:先生と呼びなさい

「おい」


 俺は近くでいまだにうろうろしている少女に声をかける。大暮担任教諭を助けるか迷ってるようだ。

 行動としてはあまりよろしくない。すぐに行動しないのは最悪だ。助けるにしろ、逃げるにしろ。


 逆にいうと、俺には好都合だが。


「っ!!」


 どこからか拾って来たのか木の棒を構えて、こちらを睨んでいる。


 魔法少女の状態だからだろうか。意識がはっきりする。

 思い出せなかった、少女の顔をしっかりと視認する。


 横で結んだ長めの髪。

 少し、長めの前髪から大きめの垂れ目が覗く。愛らしい少女だ。

 だぼっとした私服の為か、先ほど確認した数値の威力はわからない。

 目立たないのが不思議なくらい、可愛らしい少女だ。 


 垂れ気味の目を吊り上げてこちらを睨む。


「先生を、放してください!」


「それは出来ん。襲いかかってきたのはそっちだしな。」

 さっきからノイズのようなものを感じる。おそらく、少女の魔法だろう。

 さっき見た少女の情報(ステータス)に特性『幻惑』があった。おそらくそれか。


「無駄だぞ。今の状態の俺に、その程度の魔法は効かん」


「……っ! 貴方は誰ですか!? 先生を……私達をどうする気ですか!?」


「落ち着け。お前らをどうこうする気はない。こいつを殺さずに捕縛したのがいい証拠だろう?」


「私、知ってます! 魔法を使える人を地下帝国は呪いで魔女化するって! それに使う気なんでしょう!?」


「あー。そもそも、俺は地下帝国側の人間じゃない。話を聞きたいだけだ。いや、場合によっては協力してほしいが。」


「地下帝国じゃない? 嘘です! 先生が、それ以外の人に簡単にやられるなんて!」


「信じられないのもわかる。だが、考えてみろ。捕まえて連れて行くだけなら、お前と話をする必要はない。大暮担任教諭と一緒に捕まえて連れて行けばいいだろう?」


「それは……。それにも、なにか裏が……」


「今は信じなくてもいい。話をさせてくれ。どのみちお前に手はないだろう? 信じるにしても、信じないにしても話を聞いてから決めてくれ。」


「…………」


「……四葉(よつば)。話を聞きましょう……」


「っ! 先生!」


 大暮担任教諭が目覚める。相当、加減したとは、もう目覚めたのか。意外に強靭(タフネス)だ。

 戦士としての技量も悪くなかった。


「もう目覚めたか。大暮担任教諭、問題はないか?」


「……随分、ものものしい呼び方ですね。大暮先生と呼びなさい。明心さん……」


「では、大暮先生。問題ないか?」


「……ええ……意識はあります。この、私を縛る物体が不快ですが。」


「先生!」

 四葉と呼ばれた少女が大暮先生にかけよる。

 九米は言語機能以外は優秀だ。いまだに、俺の呼びかけに答えない、カルマ(クズ)よりよっぽど優秀だ。

 四葉の力で、拘束を解くことは出来ないだろう。


「大丈夫です。まだ多少ふらつきますが……。問題ありません」


 大暮先生が俺に向きなおる。


「それで、明心さん。貴方は何者ですが? 地下帝国の人間ではないとか。」


 さっきの四葉との会話を聞いていたようだ。


「ああ。そうだ。」


 どうやって、説明したものか。どれほど、名前が通っているのかは知らんが、カルマが言っていた肩書きを口にしてみる。


反地下帝国組織(レジスタンス)の『機関(きかん)』だ。」

 名前が『機関(きかん)』らしい。ただ『機関(きかん)』と呼べと言われた。


「機関……?」

 大暮先生が、怪訝そうに呟く。


「っ!! まさか! カルマ君の!!」


 ん? カルマ君?


「天狂院カルマを知っているのか?」


「天狂院カルマ!! じゃあ、やっぱりカルマ君の……」


 大暮先生はカルマを知っているようだ。けど、カルマから大暮先生を知っているという話は聞いたことがない。体育の着替えとかを録画して観ているという犯罪行為を見かけたから、未来ある少女達の為にデータを消して、口には出せないえげつない行為をしたから、映像によるモニタリングは出来てるはずだ。大暮先生の顔を見てないとは思えないんだが……。


 小学生の女子の観察が目的…………。それだけ、聞くと危険な行為だが、最終的に癒し手の探索が目的で、担任にあまり注意を払ったことがなかった。

 今考えると、この四葉の魔法があったのかもしれないが、注目するほど目立った存在ではなかった。

 よくも、悪くも普通。なんの変哲も、面白味もない女。誰が呼び出したのかルーツは知らないが、『大暮ゆうき』を姓名逆にすると『ゆうきおおくれ』。

 29歳という崖っぷちもあってか、『行き遅れ先生(ゆきおくれせんせい)』と呼ばれていた。

 大きなメガネをかけて、髪をアップにまとめている。目鼻立ちは整っている方だと思う。

 歳相応に軽く化粧をしている。

 さっき見た情報通り、スレンダーな体系だ。


 まあ、いい。知っているなら、話は早い。


「そのカルマの所の者だ。どういった知り合いだ?」

 大暮先生に聞いてみる。


「その前に答えて。カルマ君の特徴は?」


「そうだな。眼鏡に、白衣。髪はボサボサ。魔法少女と少女をこよなく愛する、変態だ」


「へ、変態? うん……。まあでも、私の知ってるカルマ君と一緒だ。」


 大倉先生はそう言って、表情を多少緩める。


「……。カルマ君は元気なの?」


「ああ。今は拗ねて連絡を取れないが、あいつは元気だぞ。なんなら、後で連絡をとってみるいい。」


「本当に! ……そう。本当に、良かった」


「ん? 本当にどういった知り合いだ? なんで、あんな屑を心配する?」


「く、屑……っ!? 明心さん! さっきといい、言葉遣いには気をつけなさい!」


 言葉遣いを注意されたのは初めてかもしれんな。口が悪いのは自覚していたが。そんなお綺麗な世界で生きてはこなかった。


「ああ。すまんな。」


「もう! あ。カルマ君の事だったね。」


 そう言って、大暮先生は語りだす。

今考えると、天狂院とシュタイングな鳳凰院さんて名前似てるね。マッドだし。意識して似せたつもりはなかったんんだけどね。イメージがそっちに持ってかれたのかな?


ただ、機関という名称については、、、機密事項です。


次回『27話:進化論』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ