25話:VS 女教師 決着
「『雷針』!!」
大暮担任教諭が雷を纏った、針を飛ばしてくる。
避ける。避けつつ撃つ。
相手の位置と、地形は把握済み。
俺は、手に持つ武器の形状を変化させる。
「転装!」
集中する。
モードⅡ。
筒状の口径の大きい銃に変化させる。
撃つのは、閃光弾!
辺り一面を白が染め上げる。
ただ、閃光で満たすだけではない。
魔力のジャミング。
アメルと戦った時に土煙に紛れても撃たれた事があった。
あの時、アメルは言った。「視界を遮るですか・・・・。戦法としてはいいのでしょう。が、魔法使い同士の戦いで、それはあまりにも悪手です。」と。
魔力の探知。それによって位置を割り出しているのだ。あの日の失敗を俺はそう、分析した。カルマとも意見は一致する。ただ、視界を遮るだけでは無意味。
それゆえに、ジャミング。
閃光と共に空白を生む。もう一度吠える。
「転装!」
集中する。
モードⅢ。
さっきとあまり形状の変わらない銃を生み出す。
次に撃ち出すは煙幕弾。
閃光は一瞬。だが、いまだにジャミング効果のある力場に煙幕を生み出す。
眼も、魔力探知も効かない状況に焦りが生じたのだろう。
針を乱射している。
俺に届く何本かの針を、魔力が弾く。
俺に届く針は、ただの針と化している。ただの針程度の物理攻撃は今の俺には届かない。
大暮担任教諭が乱射している針は当然、雷を纏った針だろう。
だが、俺が張った煙幕がそれを無力化する。
無論、俺の攻撃も威力が格段に落ちる。
リボルバー形態では、遠距離から意識を狩るほどの威力は望めないだろう。
『爆破流星』なら可能だろうが、威力が高すぎる。半身くらい消し炭にするだろう。
それでは、意味がない。敵の敵は味方ではないが、少なくても情報を分析する限り地下帝国側ではなさそうだ。勝手に勘違いして、襲いかかってきているのがいい証拠だ。
あくまで、捕縛。
俺は、飛んでくる針の方向を基に、先ほど把握した相手の位置を比較して、現在の位置を脳内で割り出す。
気付かれずに、音もなく校舎の壁面を駆け上がっていく。
「転装」
駆けながら呟く。
集中する。
モードⅣ。
武器がライフルへと変化する。
屋上でライフルを構え、狙いを絞る。
口の中で、セリフを呟く。
「狙い撃つぜ!」
仕様なのだ。
カルマが定めた制約。
決め台詞と技名。
大事なことだからもう一度言う。仕様なのだ!!
「幻影魔弾」
技の名を呟き、引き金を引く。
音はない。
気配もない。
殺気もない。
ただ、目標に向かって突き進む。
その弾丸は、俺が撃ちだした、煙幕を散らすこともなく、目標に忍び寄る。
音も、気配も、殺気もない魔弾。幻影。
大暮担任教諭の顎を撃ち抜く。
「ぁ」
どさっと、大暮担任教諭が崩れ落ちる音がする。
俺は、煙幕を晴らし地上に飛び降りる。
「九米」
白い球体に声をかける。
「僕と契約して、魔法少女に――「いわせねえぇよ!」」
いつものセリフを吐きながら、球体にくっついた九本の尾が伸びる。
ウネウネと。妖しく蠢く。
大暮担任教諭を締め上げていく。
大暮担任教諭の意識を刈り取り、捕縛が完了したことを確認した。
次回『26話:先生と呼びなさい』




