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プロローグ
どうしよう。
何も書けない……。
人気小説家の一条 絢香は悩んでいた。
次の作品のネタを考えるも何も出てこずーー。
ずっとこんな日々が続いている。
ふと窓の外に目をやると……そこにいたのは黒猫だった。
えっ?
こんなマンションの15階のベランダに?
どうやって入ってきたのかわからないが、黒猫はこちらを窓越しにじっと見ている。
「おいで。」
ガラリと窓を開けるとすっと猫は入ってきた。
すました顔をして、声もたてずに。
慌てて冷蔵庫を開けてミルクを取り出し、お皿にミルクを注いだ。
黒猫はミャーと初めて鳴いてお皿の前にやってきた。音をたてて美味しそうにミルクを飲む。
あなた、どこから来たの?
お隣りで猫飼ってたっけ?
じっと黒猫を見ているうちに私の中で新たなストーリーが浮かんできた。