総司と丞の悪戯
総司と丞の悪戯
総「山崎君、ちょっといいですか?」
丞「なんや。わいは用なんてあらへんで。」
総「そう言わずに。いつも土方さんに、こき使われてる仕返し、したくありません?」
丞「何をたくらんどる?」
総「最近、同じ様なことばかりでつまらないんです。」
丞「わいを利用するんか?」
総「そんなわけないでしょう。山崎君も、恨みを発散させることが出来るんですから。一石二鳥でしょ。」
丞「…それもそうやな。よし、やるで。」
総「そうこなくちゃ。先ずは土方さんを起こすところからですね。」
丞「それは沖田はんに任せるわ。」
総「では、土方さんの部屋に行きましょう。」
丞「…寝とるな。入っても気ぃつかへん。そや、起こす前にちょいと悪戯しても、かまへんか?」
総「いいですよ。何をするんですか?」
丞「これや。」
総「…墨と筆…あっ!わかりました。落書きをするんですね♪」
丞「沖田はんもやりまへん?」
総「やります♪」
丞「沖田はん、そこは違うて。こうや。」
総「…プッ…山崎さんこそ、そこはこうですよ♪」
丞「…プッアハハ…、なんかおもろいことになっとるでアハハ…」
総「アハハ…山崎さん笑いすぎですって。土方さん起きちゃいます。」
丞「沖田はんこそ…でも、本間おもろいんやもん。」
総「さてと…落書きはこれくらいで、起こしますか。
梅の花ぁ一輪咲い「だあぁぁぁ!!総司ぃ返しやがれ!!」…起きましたか。朝餉の時間ですよ。」
歳「もっとまともな起こしかたをしやがれ!!」
総「別にいいじゃないですか。ほら、広間に行きますよ。」
歳「押すな総司!自分で歩ける!!」
総「あ、近藤さん遅くなってすみません。」
近「気にしてないよ…それより歳。その顔はどうした?」
歳「顔?…なにかついてるか?」
近「…墨がついてるぞ。洗ってきたらどうだ。」
総「…プッアハハハハ…「総司ぃ!!」…自分で起きないのが悪いんですよ。」
歳「だからと言って、普通に起こせねぇのかてめぇは!!」近「歳…総司を追いかけるのはいいが…先ず顔を洗ってきてくれ。床に墨がたれている。」
歳「あ、わりぃ。総司戻ってきたら覚悟しやがれ!!」
永「さすが総司。土方さんにあんなことするなんてな!」
総「今日は僕だけじゃないですよ、ね♪…沢庵お願いします♪」
永「は?誰に話してるんだ?」
総「何でもないですよ。」
永「そうか。ならいいんだけ「総司ぃ!俺の沢庵とったのてめぇかあぁぁ!!」…総司ならずっと俺と話してたぜ。」
総「ひどいですねぇ。僕を疑うなんて。それより、いつ戻ってきたんですか?」
歳「さっきだ。で…俺の沢庵をとった奴、出てきやがれ!!」
近「歳が出ていったあと、誰も近づいてないよ。」
歳「んなわけねぇだろ、近藤さん。げんに俺の沢庵が無くなってやがるんだから。」
近「しかしなぁ…よし、私の沢庵をあげよう。」
総「それはだめです!!
だって、土方さんの沢庵、ちゃんとお膳にあるじゃないですか。」
歳「んなわけねぇだろ…は?…」
総「あるでしょう?なに嘘ついてるんですか、土方さん。そんなに沢庵が食べたいんですか?」
歳「ちげーよ!だが確かになかったはずだ…」
近「まぁよかったじゃないか。皆食べよう。いただきます!」
皆「いただきます!!」
歳「おっかしいな…」
総「…アハハ…」
平「なに笑ってんの総司?」
総「土方さんが可笑しくて…アハハ…」
平「いつもとかわらないけど…」
総「気にしないでください。多分、あとでわかりますから。」
平「ふーん。まぁいいや。ごちそうさま!!」
総「さてと僕も行きますか。土方さんも行きましたし。」
丞「で、何でわいの部屋なんや!」
総「これで終わりだとでも?そんなはずないでしょう。次は何をしますか?」
丞「さっき捕まえたんやけど…これ使わへん?」
総「いいですね。早速使いましょう♪確か今、土方さんは近藤さんの部屋にいるはずですから。」
丞「ほんなら、はよぅいかへんと。戻ってきてしまうで?」
総「そうですね…では…」
歳「うわっ!!誰だあぁぁぁ!!俺の部屋に鶏いれた奴はあぁぁぁ!!」
原「どうしたんだ、土方さん。」
歳「原田か…この鶏をつれてってくれ。」
原「何で鶏がいるんだ?」
歳「だいたい予想はできるだろう。どうせ、総司のやろうだ。」
原「総司が?それはおかしいぜ土方さん。総司なら道場で一と稽古してるはずだ。」
歳「は?」
原「本当だって。なんなら道場に行ってくりゃぁいいだろ。」
歳「ああ、そうする。鶏は頼んだ。」
原「任せとけ!」
一「副長…なにか御用でしょうか…?」
歳「総司はどこだ?」
一「総司ならあそこに…さっきまで俺と稽古してましたが…」
歳「なら、いいんだ。」
一「どうかしたんですか…今朝の朝餉のときもですが…」
歳「いやな、奇妙なことが続いていてな。犯人探し手伝ってくれるか?」
一「はい…」
総「あ、源さん。その鶏どうしたんです?」
源「原田君がつれてきたんだよ。土方君の部屋にいたとかで…」
歳「…ああ、あの鶏か。」
総「どうするんですか?」
源「それに困ってるんだ。土方君どうすればいいんだい?」
歳「今日の夕餉にでもすればいいだろう。わりぃが源さん、頼んでいいか?」
源「勿論だよ。」
一「…副長。犯人の心当たりは…?」
歳「最初は総司かと思ってたんだがな…」
一「別にいると?」
歳「多分な。」
一「では…手伝いましょう…」
山「どうしたんだい?私の部屋に3人できて。」
歳「山南さん、あんた意外に悪戯好きだろう。」
山「それがどうかしたんですか?」
歳「俺の部屋に鶏を入れなかったか?」
山「覚えありませんね。こういうことは、山崎君に頼むのがいいかと…」
総「それもそうですね。ところで山南さん、さっきまで何してました?」
山「私を疑っているんですね…近藤君と将棋をやってましたよ。」
総「そうですか、ありがとうございます。」
歳「近藤さん、ちょっといいか?」
近「どうした、歳。」
歳「近藤さん、あんたさっきまで何していた?」
近「山南さんと将棋をやっていたが…どうかしたか?」
総「何でもないですよ。さっ、行きましょう土方さん。」
歳「押すんじゃねぇー!!」
総「いいから。ほら、早く行きますよ一君。」
一「ああ…副ちょ「誰だあぁぁぁ!庭に穴掘った奴は!!」…」
総「アハハハハ土方さんが落ちましたアハハ…」
歳「総司てめぇか!!」
総「いやですね、僕は道場からずっと一緒にいたじゃないですか。さっき通ったときは、なんともありませんでした。」
一「…ふむ…こんなことが出来るのは…」
歳「斎藤わかったのか!?」
一「はい…確証はありませんが…多分、山崎ではないでしょうか…」
歳「山崎がか?何でまた?」
総「山崎君のはずないですよ。」
一「…何をかばう?」
総「かばってませんよ。ただ、違うと言ってるだけです!!」
一「それをかばってると言っているんだ…副長…」
歳「ああ、山崎どこだ!!」
丞「…そんな叫ばんといてな。」
歳「山崎、今日は非番だったよな?」
丞「それがどないしたん?」
歳「お前だろ!奇妙なことをしてるのは。」
丞「なんでわいなんや?」
一「…姿が見えなく…気配を消すのがうまい。…監察方はとくにそうだ…」
丞「…凄い勘やな。確かにわいや。けど…」
総「なんで僕をみるんですか?」
歳「山崎、総司ぃ覚悟しやがれ!!」
丞「わいは悪くあらへん。いつもの恨み、晴らしただけや。」
近「歳、盗み聞きして悪かったが、今回は歳にも非はあるぞ。」
歳「ちっ…今日は許してやらぁ。ただし、山崎は不満があるなら直接、言いにきやがれ!!行くぞ斎藤。頼みたいことがある。」
総「…つまらないんです…」
近「なら、私と稽古をしよう。」
総「本当ですか?早くいきましょう♪」
丞「…わいは放置かいな…まぁええわ。」
───総司と丞の悪戯はこれで幕を閉じた…───